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外典・マガツヒ教創世記 ~働きたくないので弱小女神で宗教を始めたら、街を乗っ取る最悪カルトになっていた~  作者: 溝上 良
第2章 

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第40話 覚悟決めろや











「ちっ」


 舌打ちをして飛びずさるアバドン。

 身体には致命傷とまではいかないものの、無視はできないレベルの傷がついている。

 そして、アバドンよりも明らかに大きな傷を負っているアリドーラは、苦笑いを浮かべながら血反吐を吐いた。


「おいおい、反応速度が速すぎるだろ。今ので仕留められないのか。……お前ら、本当に小さなカルト集団か? その意味わからない化け物じみた挙動は、天使教の奴らを見ているようだ……」


 かつて見たことがある、天使教の戦力を思い出す。

 見た数もそれほど多くないし、実力のすべてを見たことがあるわけではない。

 だが、あれらは異常だった。

 よくもまあ、あんなものを抱えている宗教を信仰できるものだと思ったものだった。

 だから、アリドーラは天使教を信仰することをやめたのだ。

 そんな彼の言葉を無視して、シーサイスはアバドンを嘲笑った。


「ざまあないわね。油断しているからそうなるのよ。力をちゃんと使っていたら、そんなことにならなかったでしょうに」

「黙レ。お前の意見なんて聞いていなイ」


 心底不機嫌そうにうなるような声を漏らすアバドン。

 じくじくと痛む身体にイライラしながら、殺意をあふれさせつつアリドーラを詰問する。


「どうして生きていル? 即死しないのは理解できるガ、致命傷ダ。動くこともできないはずダ」


 その質問を受けて、アリドーラは笑って答えてやる。

 どちらにせよ、ここまで見られてしまっては、隠す意味もないからだ。


「俺は、そういう体質でな。どうにも、死にたくても死ねないらしい」

「は……?」

「首を絞める、体中に剣を突き刺す、火に焼かれる、身体を押しつぶす。色々と試したが、どうにも死ねない。しかも、身体も巻き戻るように回復する。面白いと思わないか?」


 人間のみならず、生物であるならば絶対に避けられない末路である、死ぬということ。

 アリドーラは、そんな生物の常識の外側にいる存在だった。

 常人であれば当然死ぬような致命傷を負っても、彼は死なない。

 それを聞いて、シーサイスとアバドンは唖然とする。

 どこぞの教祖様と聖女様は、『化け物だあああああ!』と大慌てしていた。


「死なない……? そんな人間が……」

「何もない場所から毒を使ったりするやつもいるんだ。そういう人間も、たまにいるんじゃないか? まあ、どこまで不死性があるのかは俺もよくわかっていないんだ。苦痛は感じるから自分の身体で実験する気にもならないし、ここまで成長していることから寿命はあるのかもしれない」


 それを聞いたアバドンとシーサイスは、顔を見合わせて頷いた。


「あっソ。じゃア、お前の四肢を切断して一生窓のない小部屋で監禁してやル」

「監視するのが面倒だわ。重石をつけてどこかの水中に沈めましょう」


 まったくの無表情で不死の人間にも効きそうな攻撃を一瞬で考え出す二人に、アリドーラの頬が引きつる。

 彼自身が思いついて絶対にされたくないことを、当然のように言ってくるところが悍ましい。


「……なんでそんな残酷なことを考えられるのか問いただしたいところだな。俺もそれはされたくないから、全力で抗わせてもらおうか」

「なっ!?」


 驚愕したのはシーサイス。

 先ほど自身の猛毒で仕留めたはずの私兵たちが、当たり前のように起き上がり攻撃してきたからである。

 当然死んでいるものだと思っていたシーサイスは攻撃を避けることができず、アバドンに負けず劣らずの傷を負うことになった。


「シーサイス! お前がちゃんと殺したか確認していないじゃないカ!」

「私の毒で死なない……? まさか……」


 アバドンの怒声にも反応することなく、シーサイスは汗を垂らしながら思案する。

 手心なんて加えていないから、間違いなく死に至る毒を与えた。

 今までの敵は、必ず死んでいた。

 なのに、目の前の私兵たちは血反吐を吐きながらも立っている。

 そこから推測されることは一つだけだった。


「ああ、俺みたいなやつがそんなにいるわけじゃない。ただ……」


 シーサイスの表情を見て、アリドーラはにやりと笑った。


「俺は、この不死性を他人に分け与えることができる。数はそれほど多くはないがな」

「不死の軍団……」


 アリドーラは自身の不死の能力を、他人に分け与えることができる。

 これは、あまりにも非常識な力だった。

 何をしても死なない敵が、軍団となって襲い掛かってくるのである。

 敵にすれば、これほど恐ろしいものはない。


「そう。だから、天使教からは距離をとっているんだよ。あいつらからしたら、天使以外の不滅の存在を認めるわけがない。絶対に殺されるだろうからな」


 ただし、この能力は万人に受け入れられるものではない。

 異質なものとして忌避されるだろうし、そもそも世界を掌握している天使教はこれを認めない。

 不滅の存在は天使のみであり、他の人間が存在してはいけないのだ。

 それこそ、アリドーラの力のことが露呈すれば、天使教の武力。

 神聖騎士団が動きだすことだろう。

 さすがに、あんな人智を超えた連中を相手にするつもりもないので、アリドーラは今までひた隠しにしていた。


「まあ、そういうわけだから、お前らもこれを知った以上死んでもらうしかないんだ。おとなしく死んで、それで俺の街を返せ」


 にじり寄ってくるアリドーラたち不死の軍団。

 それを前にして、ライアーは……。


「(……もうやるしかないぞ、ユーリエ。覚悟決めろや)」

「(い、いやよ!)」



過去作のコミカライズ最新話が公開されました。

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下記のURLから飛べるので、ぜひご覧ください。


『自分を押し売りしてきた奴隷ちゃんがドラゴンをワンパンしてた』第14話

https://magcomi.com/episode/12207421983858902427


『自分を押し売りしてきた奴隷ちゃんがドラゴンをワンパンしてた』第10話

https://manga.nicovideo.jp/watch/mg1088163


『人類裏切ったら幼なじみの勇者にぶっ殺された』第9話

https://manga.nicovideo.jp/watch/mg1046954

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