第41話 道のり
朝日が道を明るく照らす中、マリアは誰もいない道を疾走していた。
整備されている道はダンジョンよりも走りやすく、進むスピードはいつもよりも早い。
街が見えなくなってきた頃、マリアの進む先には木々が生い茂る森が見えてくる。
まだ開拓されていない大森林で道もないため、馬車も通る事ができない。普通は迂回して進んだ方が早い上に周りが木ばかりで方位磁石などが無ければ方向がわからなくなる迷いの森である。
しかし、マリアは屋敷を出る時にイザベルに聞いた砦の方向に向けてただひたすらに真っ直ぐに進んでるのである。
「曲がったらお姉様の砦が分からなくなりますわ! そのまま行きますわよ!」
そう言って、マリアは普通は人が入ることのない森へと突っ込んでいく。
真っ直ぐに進むために邪魔な木々を殴り倒し、ただひたすらに最短距離を進んでいく。
「お母様に選んでもらったドレスがあって良かったですわ! 少しははしたないですけどね!」
普段着ていたドレスよりも丈が短いフィッシュドレスのスカートを木の根などに引っ掛けないように片手で膝上まで捲り上げ進む姿は人には見せられないとマリアは思いながらも、そのままぐんぐん森を進んでいく。
「邪魔ですわ!」
木々の他にも森に住む肉食動物がマリアを獲物と見て飛び出してくるが、メイスの一振りでどこかへ飛んでいく。
「明かり? 森を抜けますのね!」
迂回するより何倍も早く、森を抜けたマリアはそのまま休憩もせずに砦へと向かう。
平坦な道に戻ったのでスカートから手を離し、進むスピードは更に上がる。
その道中で商人の馬車や辻馬車とすれ違ったりするのだが、ドレス姿でヒールを履いて、なのに馬よりも早く爆走するマリアを見た人々は驚いて目を向いて口を開けた。
「見えてきましたわ、あれが砦ですわね」
国境を守る堅牢な砦は普通の建物とは違って分かりやすく、遠くから見てもすぐに分かる。
砦からは煙が上がっており、まだ戦が続いている事がわかる。
「お姉様、お母様、無事でいてください。マリアが参りましたわ!」
マリアは気合いを入れて、ラストスパートとでも言わんばかりに走る速度を上げる。
「敵国の方々、いてこましてやりますわ! 御覚悟なさいませ!」
こうして戦場に似つかわしくないドレス姿のマリアがメイスを振り回して戦に参戦するのであった。




