頑張るリクトリ
一方そのころ我らが主人公は
授業の課題、身体能力の測定を終えていた。
クロンガから自習を告げられたパープルレッドの生徒だったが
授業の終了までの残りの時間あるイベントに集まっていた。
「おい。放浪人!いい機会だお前と俺どっちが強いか
雌雄を決っしようじゃん!」
グランドの中心、パープルレッドの生徒に囲まれている中
放浪人とリクトリがお互い構えあっていた。
「おーいいぞ!リクトリ」「やれやれーどっちが強いか気になってなんだ」
「教頭に勝ったのがまぐれじゃないって証明しろ」「むしろ負けたれ俺と戦え」
生徒達のヤジが飛ぶ。
「いいね。リック男見せろー」
「二人共頑張ってくださーい」
ユオとアムも楽しそうに応援している。
「今まで俺はミツザワやお前のせいでたいしていいところがなかったが
それも今日まで。お前を倒して今度こそ俺はミドルオレンジいや
トップクリーンに上がりきってやる」
リクトリはステップを踏み何度か放浪人の前に拳を継いだし挑発。
「面白い。お前とは一度も手合わせしたことがなかったからな」
放浪人はニヤリと笑う。
「いいか。お互い魔法を使うのは無しだぜ!今は持っていないが
もちろん武器もな」
「いいのか。それだと俺が有利になるんじゃないか」
「っけ。随分と舐められたもんじゃん。お前をそれで倒してこそ
本当の勝利ってもんだぜ。そしてその瞬間いじられキャラからさよなら」
いつも以上に気合が入るリクトリのパフォーマンスに盛り上がる
パープルレッドの生徒達。
「悪くない。お互いの力を体で体験するとは
今年のパープルレッドの生徒は骨がある奴がいるみたいだな」
クロンガがその光景を感心するように見守る。
「いいか。一発だ。一発どこかにクリーンヒットさせたら勝ちだ
あとログちゃんのアドバイスもなしだぞ」
「構わん。いいだろう」
「よっし」リクトリは小さなガッツポーズをする。
「なるほど一発勝負かーそれならリック勝目あるかも
よーしじゃあ私が開始の合図しまーす」
ユオが楽しそうに立ち上がると回りの歓声も高まっていく
「おお盛り上がるぅ。これは負けられなくなった」
リクトリが益々気合いが入り拳を握りしめた。
「悪いアム。ログを預かっていてくれ」
「あっはい」
放浪人もログを外しアムに投げ渡すと手を数回
握り感覚を研ぎ澄ます。
「お二方。頑張ってください。勝敗はちゃんと
私の方でジャッジしますので」
アムがログを放浪人達に向けて準備が整うことを
確認したユオが手を二人の前に出す。
「はーい。じゃあいくよ」
その言葉を聞くと二人は真剣な顔になる。
「レディー…ゴー」
カーン!
誰かが持ってきたのかどこからか鐘の音がユオの合図と
共に鳴り響いた。
「ウッシャ!かかってこい放浪人」
リクトリはステップを踏み挑発するように動くリクトリ
しかしそう簡単に挑発に乗る放浪人ではない
一発クリーンヒットを受けたら負けということもあり
下手に手を出してカウンターを受けてわ元も子もない。
こいつの戦い方がわからない以上下手に手だしできないな。
そう考えた放浪人はリクトリを注視してタイミングを計る。
「ヘイヘイ。どうした。どうしたビビってんのかー」
何もしてこない放浪人に対してリクトリも攻撃を誘導するように
挑発していく
「それならお前から攻めてきたらどうだ」
放浪人もクイクイっと手を仰ぎ挑発をする。
「へっ!いいじゃん。やってやろうじゃん」
しかし意外な答えが返ってくる。すると
リクトリは右足に力を込めるとぐんっと勢いよく
放浪人に突っ込んでくるとお互い攻撃範囲まで近づいた。
「確かに早いがこの程度!」
すかさず放浪人は腕を振り上げリクトリの顎を狙ったアッパを
繰り出す。
「悪いが一撃で終わらせる!」
「へっと俺を甘くみてもらちゃー困るぜ!」
そう言うとリクトリがその場から飛び引き
放浪人の拳が上がり切るまでギリギリでかわし
そのまま体をのけぞり手で地面を着く
「なに!」
あまりにも柔軟な動き!リクトリはそのまま足を引くと
「お前こそこれで終わりだ!食らいやがれ」
腹部目掛けて蹴りを繰り出した。
「なんの!これしき」
放浪人は反対の手をうまくリクトリの足蹴りを払う。
「うおお、こいつ弾きやがった」
塞がれたリクトリは放浪人に払われた勢いを利用して
足を回しブレイクダンスのように体を回して立ち上がった。
「へっどうよ!」
少しずれたバンダナを戻しながら決め顔。
「ダンスが……うまいんだな」
「感想それだけかよ!もっとスゲーとかあるだろ!」
放浪人の軽い感想に不満を漏らすリクトリ。
「いいぞリクトリー」「グルグル回る技で翻弄するのか」
「おまえなら奴に勝てるかもしれん」「次はどんな技を見せてくれるんだ」
しかしまわりは盛り上がった。
「あんな動きできるなんてすごい」
「だねー。わたしも教えてもらったことあるけど
なかなかうまくいかないんだよねー」
「ユオちゃんもできなかったなの?」
「いやいや。あの柔軟な動きは真似できないって」
アムの言葉にユオは手を横に振る。
「っちそれにしてもやっぱり身体能力は高いな。
初見で俺の一撃を躱せるなんて滅多にいねえぞ」
「なるほどだから一撃勝負か。残念だったな。今ので倒す
チャンスだったのにな」
「へっそんなことないぜ。俺の柔軟な動きはそう簡単に
見切ることは無理無理」
「なら今度は俺が攻める!」
放浪人が地面を蹴り懐に飛び込むと先ほどのお返しと
ばかりに腹部を狙った攻撃!
流石の速さに対応するのが難しかったのか
咄嗟に身を翻しかわしたつもりがシュッと音が鳴るくらいに
リクトリの腹部をかすめていく
「っくお!だがまだ決まってないぜ!」
ジワリと来る痛みに耐えながらもリクトリは手をつき放浪人の
足を払おうと回転しながら蹴りを繰り出した。
放浪人はその場から飛び後ろに下がると
すかさずリクトリが手を勢いよく地面から放し中段蹴り
その隙をついて放浪人も拳を突き出し脚をはじく
その勢いを利用して今度は反対方向から蹴りを繰り出してくる。
反撃をしても今度はうまく対応した連続攻撃
「うつべし!うつべしぃぃ」
一発クリーンヒットしたら負けというルールのせいか
普段の放浪人も下手に攻められず隙ができるチャンスを
狙って耐え続ける。しかし耐えれば耐えるだけ勢いが増していた。
「さらにうつべし!もっとうつべし!とにかくうつべし!」
体制を整えようにもとにかく攻めるリクトリの猛攻。
それに対してギリギリのところで回避と防御する放浪人。
思いの他リクトリの優勢の様子だが皆既に授業終了しているのにも
関わらず戦いを見入っていた。
「おお。リックやればできるじゃん。これはもしかするともしかするか」
「ギリギリの戦い。どっちが勝つんだろう」
「これもっと人を呼んでどっちが勝つかってやったら儲かったかも」
ユオとアムは思わず興奮する。
「すげえ。すげえ。もしかしたらこいつらならミドルオレンジに上がれるかも」
「そうだ。そうすれば俺達の学園内での評価も上がる!」「うおー二人共頑張れ!」
「おい。6番今そこつけただろ!」「リクトリ!さっさと決めちまえ!」
「どっちもまけないでー」「顔は避けてー顔はー」
静観していたパープルレッドの女生徒も二人の戦いに興奮し始めた。
「だから俺は元々はミドルオレンジだっつううの!」
どんな時でもツッコミをいれるリクトリ。
アムの手の中でログがその様子をデータとして観察する。
「先ほどの拳の速度……やはり最初に取ったデータより
身体能力が落ちています。マスターの体に何かあったのでしょうか」
底知れぬ不安を覚えるログであった。




