リノアスは何処2
「久しぶりー久しぶり」
トップクラスの授業がないため気分転換にいつものベランダに出た
サーナの肩にシショウが飛び乗った。
「シショウまた学園に遊びに来たんだ」
「そうだ」
サーナは肩にのったシショウを撫でベランダから見える
セインエイツの街並みとその先を見つめた。
旅から戻ってきて学園のここから眺めるのがいつもの日課になっていた。
「相変わらず流暢にしゃべ…鳴くわね」
隣にいたチグサは不思議そうにシショウを眺める。
「それにしてもシショウは一体どこから来たのかしら
この辺りの生物情報にも似たような生き物はいなかった
もちろんサイガに聞いたけど彼も知らないようだし」
チグサはシショウを撫でながら観察するように羽の手触りを
確かめる。
「もしかしたら新種なのかも」
「新種ねー。 確かに海の向こう側にはまだ知らない
新種な生き物がいると聞くけど。それでもどうして
海から遠い砂漠に一匹だけ飛んでいたのかしら」
「わたしの推測だとーそうね仲間とはぐれたとこ確かそのころ砂漠に隕石が落ちたって聞いたし
磁場の影響とかなんかで、それかシショウがドジで偶々はぐれたとか」
サーナの言葉に反応したのかシショウは
「タワケガ!」と鳴き軽くサーナをどつくとチグサの肩に飛び移った。
「あら。私の方に来たわね。このまま私が飼おうかしら」
「ええーシショウー浮気者」
サーナが肩を落とすとチグサはクスリと笑う。
「冗談よ。それより次の授業まで少し時間があるけどどうする」
「うーん。そうね」
サーナは腕組みしながら考える。
「あのパープルレッドの授業でも見に行く今は武術のクロンガ先生だし」
「ええ!いっいや。いいわよ!そんなのそれになんで私が
授業している放浪人を見に行かなきゃならないのよ」
「そうなの?気にならない?」
「気にならない」
「そう。でもここでボーっとしてても何も身にならないわよ」
「うっそういう意味なんだ」
サーナが赤面する頭を手で作った氷で冷やす。
突然の行動にチグサも驚いた。
「ちょっといきなりどうしたのよ」
「いや気にしないで。もやもやした時はこうするのが一番」
「頭の血止まりそうね」
チグサがため息をつくと肩に止まるシショウを見た。
「だったら図書室に行きましょ。あそこ色々な書物あるから
時間をつぶせるし有意義に過ごせるわ」
チグサの提案にサーナは頷いた。
「そうね。あれだけの種類の本があったら時間はつぶせるわね
…そうね一度シショウがどんな生き物か調べるようかな
それをいつか来るレポートの課題にしようかな…よし」
サーナは手すりを勢いよく放すと廊下に戻った。
「んじゃ。早速いきましょ」と言うと図書室に足を向け歩き出す。
「まったく。思い立ったらすぐ行動するんだから困ったものね」
チグサはシショウと目配りしながらいう。
「まったくだ」
「本当にあなた鳥なのかしら…」
チグサの疑いの眼差しに耐えきれなかったのか
シショウは羽をばたつかせ空に飛んで行った。
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図書室に向かっていたサーナ達だったが
近くを通りかかった時数人の女生徒の声が聞こえた。
「あなたここがどこだかわかっているの!?」
甲高い女性の声。
サーナとチグサは顔を見合わせ室内を除くと
緑色の制服を着用した複数の生徒が赤い制服をきた
女子生徒を取り囲んでいた。
「ちょっとどうしたの」
その異様な光景にチグサはすぐ後ろに立っている女子生徒に
声をかけた。
「あっチグサさん。助けてくださいよあのパープルレッド勝手に
私たちトップグリーン専用の室内に勝手に入ってきているのです」
「おまけに出ていけって言っても無視していますの!」
「ていうか無反応で本を読むのをやめないんです!」
「男子の俺らが無理に追い出せませんし女生徒は気味悪がって
手もだせないですし」
「何とかしてくださいよ」
緑色の生徒たちは寧ろ助けを求めている感じだ。
一斉に助けを求められチグサはええっと困惑。
「あー慕われるって大変だわね」
さも他人事のようにサーナは笑う。
「いや慕われるのはいい事でしょ」「そうですわ貴方ももっと親身になりなさいよ」
「そうだそうだ」「お前もチグサさんの友達ならもっと頑張れ」
「ツンデレノームネ」「寒雷の魔女」
その言葉にサーナは青筋を立てる。どうやら気にはしていたらしい
「こらー誰よ。寒雷の魔女とか言った奴!あと誰がノームネよ!凍らせるわよ」
冷気を纏いながら怒り狂うサーナ
「図書室では静かにしなさいサーナ。ほら落ち着いて」
チグサは深いため息をつきながらサーナを馬をあやすように
なだめた。
「ちょっとこっちにきてくださいませ」
品のいい女生徒に手を引っ張られ問題の女性の前に連れてこられた。
「……っえ。あなた」
その姿を見てチグサは驚愕した。
「どうしたのチグサ驚いた顔しちゃ……て」
後から見たサーナもその姿に驚愕する。その人物は先ほど自分が
放浪人と共に注意した学園から名前を登録されていない
リノアスだった。
「あなた放浪人と一緒にいた子じゃない。確か今パープルレッドは授業中でしょ
それにどうしてトップグリーン専用の部屋にいるのよ?」
「……」
サーナがリノアスに声をかけるも反応がない。
ずっと手に持っている本を目で追っている。
「ちょっと聞いてる」
サーナに肩を叩かれたリノアスがゆっくり上目づかいでサーナ達を見上げ
そして辺りをキョロキョロ見回した。
「……わたしのこと見えてる」
「見えるも何もみんな注目してるわよ」
サーナが呆れた顔をする。
「……本に集中しすぎた」
そういいいくつか本を重ね持っていこうとした。
「ちょっとあの子本をどこに持っていく気!?」
一人の女生徒が声をかける。
「…部屋に持ってく」
特に悪びれる様子もない彼女。
「ちょっとなんだこの子は特に悪びれてないぞ」
「そもそもパープルレッドがこの部屋にいる事態おかしいのに」
「しかもこの子名前登録されてないぞ」
「えーほんとう。ってことは学園の退学候補」
「とりあえず出したらまずいな」
緑色の制服を着た生徒達はリノアスを図書室から出さない
ように出口に立つ。
「ああ。だから注意したのにサーナの友達と言いどうして
聞いてくれないのかしら」
チグサは額に手をやり眉間に皺を寄せる。苦労人ですね
「どうしましょうチグサさん、先生に言いつけましょうか」
一人の生徒がチグサに耳打ちをする。
「流石にそれは…」
どう助け船を出そうか考えているチグサ、するとふとリノアスの持っている
本のラベルに目が入った。
そこにはかなり複雑化された見たことがない文字。
タイトルが見えなくなっているほどボロボロになった本
チグサはヒョイと積まれている本の一番上を手に取った。
そこにはチグサの予想通りこの世界では使われていない
文字。魔法陣が記されていた。
書いてある内容もほんの一部分しかチグサはわからなかった。
「どうしたのよ。チグサ」
サーナに訪ねられハッと我に返ったチグサは立ち往生している
リノアスに声をかけた。
「ちょっとあなた、この本なんだけど」
「……あっ忘れてた上にのっけて」
ズイっとチグサの前に積み重なってある本を突き出した。
「その前にあなたこの本の内容を理解できるの」
チグサの言葉にリノアスは首を傾け頷いた。
「……なんとなく」
「なんじゃそれ」
簡素な答えにサーナは呆れた。
しかしその言葉にチグサは納得するとふっと笑顔をこぼし
「ここは私に任せてもらえないかしら」
部屋にいる生徒に声をかけた。
「っえいいんですか?先生に報告しなくて」
女生徒が訪ねるとチグサは「ええ」と頷いた。
「この子私の知り合いなの。本を持ってくるように頼んでね
そしたら珍しい本ばかりだから思わずみてしまったのね。
まぁそういうことだから彼女は悪くないの悪いのは彼女を使ってしまった
私の責任だし許してくれないかしら」
その言葉にまわりの生徒は胸をなでおろす。
「なーんだ。そういうことだったのかーどうりでおかしいと思った」
「チグサさんの頼み事だったのですか」
「そうですわね。そうじゃなかったらパープルレッドが
ここの部屋に入るはずないですしね」
生徒はバラバラと散っていく。
「ちょっと何嘘ついてるのよ」
サーナがチグサに耳打ちをする。
「いいのよ。それよりも」
チグサは本を持っているリノアスに近づき重ねて持っている本を数冊
持ちあげる。
「運ぶの手伝うわ。そのかわりあなたの部屋を見せてもらって構わない
かしら。もちろん先生に黙っているって条件で」
リノアスが首を傾けジッとチグサの顔を観察するかのように
眺めたあと。
「…わかった」と一言返した。




