初日の授業
歓迎会が終わり十分体を休めた生徒たち
次の日には通常通りの学園生活がはじまる。
座学。学年ごとに分けられた教室で
魔法や魔術だけではなく数学など我々の世界と変わらない
授業が行われていた。
もちろん座学だけではなく武術やスポーツなど体を動かす訓練。
そしてそれぞれ学科ごとに別れる選択授業がある。
武術科。魔法科。いくつかの科が分かれているが
基礎として全ての学科をこなさなくてはならない。
「いいですかん。そもそもあなたがたん魔法の基礎は自然を
利用したんものですがん」
教頭もわざわざ教壇に立ち黒板に魔法の基礎としての内容をみっちり書いた。
「ここに書いてある内容をもとに応用して新たな魔法を形成していくん
この学園が科に別れていてもん全ての授業を必修する
理由が多くの知識をつけるんためん」
長話の中放浪人は欠伸をした。放浪人だけではなく何人かの生徒もだが
「だるいね」
放浪人の隣に座っていたユオがぼやく
「まったくだ。もっとも俺は理解できなくてだが」
「あの教頭くせのある喋り方だからねー真面目に理解しようと
してるのはうちの姉ぐらいだよ」
ユオが前を指さすと必死にノートを書いている
アムの姿
「そう言えば今朝もランニングしてたな。お前ら本当に姉妹か?」
「顔が似てるだけで生き方はまるで違うからねー姉は朝方。私は夜型」
「そんなもんか」
「ところでさーさっきからホーロに熱い視線を送っている人が
いるんだけど」
「斜め後ろの席の奴だろ」
放浪人のたちの席の斜め後ろに座るシーズニングが
睨むように放浪人を監視していた。
「そういえばあの後特に何も言ってなかったけど何かあったの?」
「あったな。詳しく知りたければはログにデータをもらえ」
放浪人は肩をすくめた。
「それでは、この定義を答えてもらいましょうかん
ええとどれどれどうしようか天の神様の言う通り」
教頭は机に座る生徒を物色し指を差した。
「ではそこの番号1番んリノアス答えなさいん」
教頭は前の席のリノアスを指名した。
「……?」
リノアスは首をかしげる。それもそのはずさっきまで
カクリカクリと居眠りをしていたのだから。
しかもノートも取っておらず教科書のページも
授業が始まったところしか開いていない。
「魔術の基礎は…」
「リノアスちゃん。そこじゃないここだよ」
隣に座っていたリクトリが助け船を出す。
「……魔石を使ったー」
「もういいですん!聞いてないならんちゃんと聞きなさいん!」
青筋を立てる教頭。
「まったく。これだから落ちこぼれのパープルレッドは!
何をやってもんダメですん!」
「……」
リノアスは大人しく座る。
「どんまい、どんまい。俺も途中からよく聞いてなかったからさ」
「よければわたしのノート貸しますよ」
小声で両隣に座っているリクトリとアムがリノアスをフォローする。
「教頭先生の言う通りだ。さっさと諦めて退学したらどうだ
パープルレッド」
トップクラスの集まりの席に座るシーズニングが笑うと
何人かの生徒が笑う。
「なんか嫌な感じ」ぶうっと不機嫌そうなユオ。
するとフッと放浪人が鼻で笑う。
「なんですかん。受験番号6番なにか言いたげんですがん」
教頭は食ってかかる。
「いや。試験とは言えパープルレッドの俺に負けたあんたは
どうなんだってな」
「なっなんですとん!」
教頭は声を荒げた。後ろでは何人かの生徒が笑っている。
「そうだよなパープルレッドだからって全部ダメはねーよな」
「というか差別ひどすぎない?あんな言い方し無くても」
「俺も話聞いてなかったしな」
数人がつぶやき始めた。
「おおん。ぐぐぐぐん。差別はしていないんのん。
リノアスんちゃんと授業はきくようにん!」
そういい再び黒板に書き始める教頭。
「へえーあの人面白いのね」
トップクラスの席の一番後ろにいたチグサが笑う
「でしょ。まぁ頭は悪いんだけど」
余計なことを付け足すサーナ。
「でもあまり教頭に目をつけられるのはよくないんだけどね」
「うーん。確かに生徒会の人間。教頭と繋がってるから
もしかしたら面倒なことになるかも」
サーナはチラリと前の席に座る腕章をつけた生徒に目を向けると
数人ノートに放浪人の行動をメモしている。
「この間生徒会に入ったシーズニングって人もずっと彼のことチェックしているようだし
注意したほうがいいかもね」
「というか。もしかしたらあのバカもう何かしたんじゃ…」
もうすでにしていたとは夢にも思わないサーナだった。
チャイムが鳴り響き授業が終わる。
教頭はさっさと教室を出ていき。
生徒は解放されたように伸びをする。
「いやーホーロは絡むね」
ニヤニヤしながら放浪人を見る。
「俺はただ気にらなかっただけだ」
放浪人はため息をつき頬杖を突く
「ちょっといいかしら」
すると後ろの席の階段からチグサが降りてくる
「お前は?」
「わたしの友達」
隣にはサーナがいる。
「おいあの6番トップクラスの二人に話しかけてるぜ」
「マジか早速制裁か?」
「あっいやあれはチグサさんだ」
「なんだチグサさんなら大丈夫だな」
生徒がざわめく。
「いや。なんでチグサだけなのよ」
サーナは不満そうな顔を向ける。
「何かようか」
「ここじゃ。注目されて話ができないから悪いけど廊下に出てくれる」
チグサはチラリと目配りをする。そこにはシーズニングが
様子をうかがうように聞き耳を立てていた。
「ふん。なるほどな」
「あとそこの貴方も」
チグサはリノアスに声をかけた。
「……わたし?」
「そうよ」
「……わかった」
リノアスは渋々と立ち上がると階段を上がり廊下に出ていった。
「ありゃりゃ行っちゃった」
「いきなりどうしたんだ?サーナちゃんならまだしも
その友達を連れてくるなんて」
「さぁーもしかして告白かも」
「いやいや!そしてらリノアスちゃんも呼ばないだろ」
ユオにツッコミを入れるリクトリ。すっかりツッコミ役が
定着してしまった。
「もしかしたら授業のことで何かマズイことをしてしまったとか?」
「うーん。そうかも」
ユオはチラリとシーズニングを見た。
「めっちゃガン見してるし」
シーズニングは教室からです放浪人をジッと見ていた。
「おい。なんだろうなトップクラスから突然呼び出しなんて」
ミツザワの隣の席にいた男が話しかけてくる。
「大体予想はついている。俺もあいつらに話そうと
思っていたからな」
「へぇー流石ミツザワだな。んでなんのことだ」
「ふっここじゃあ教えられないな。俺も今は目をつけられる
事は避けたい」
「目をつけられる…もっもしかして」
ミツザワはチラリとシーズニングを見た。
シーズニングの顔は何か気にくわない物を見ているかの表情。
「たったしかに不味いかもな。あいつ最近上級生にも
噛みついているって噂だし」
視線に気づいたのかシーズニングがミツザワに視線を
返した。
「やべ。こっち見た」
隣の男はサッとそっぽを向く。
「なんだミドルオレンジの新入生何か言いたげだな」
「別にないさ」
「あまり俺を怒らせない方がいいぞ。平和な学園生活を送りたいなら
自分の身分を考えて物を言え」
するとミツザワが眉を上げる。
「おかしいな。学園の平和を守るのが生徒会じゃないのか」
「ぐっ貴様揚げ足をとるな!」
シーズニングは教室内に響き渡るぐらいの力で机を叩き睨みつける
「子供だな…安心していい。俺は特にお前らに迷惑をかけるつもりはない」
「それでいい!」
「ただ。あいつはどうだろうな。もしかしたらお前ら生徒会の考え方を
変えてしまうかもしれないぞ」
「そんなことありえないな。あのパープルレッドの名前すらない奴が」
「そういう考えが足元をすくわれるんだ。風の噂じゃ
あの6番に負けそうになったと聞く」
「なんだ!そのガセネタは!」
そう言うとミツザワはシーズニングの罵倒の最中
次の授業の準備を始めた。
「おい。あいつ何か言ってるぞ」
「ほおっておけ。俺は学園での問題行動は犯していない
あいつが何と言おうと無意味だ。
それにトップクラスにいられるのは今だけだ
それまで好きにさせてやるさ」
俺があいつを蹴落とすまではなっとつぶやき
ミツザワは笑った。
しかし彼が一番気にしてるのはそこじゃなかった。
何故同じ新入生組でなんだか俺だけ仲間はずれじゃないか、
この流れいつか存在を忘れ去られるのではないかっと
見えない不安が彼を襲う。




