表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遥か彼方の放浪者 ~The one chosen   作者: Fuyu
第二章
91/321

勝っていたのは?

「言い訳はしなくていい。今後このようなことはしないように」


「はい。すいません」


シーズニングは急いでヒロトに駆け寄ると頭を下げる。


「全くこの腕章は我が高貴ある学園でも選ばれた者だけが


つけられる由緒正しいものだ。それを忘れてはならない」


ガッとヒロトはシーズニングの肩を掴んだ。


「部下が失礼な事をしたな。まだ入ったばかりの新人なんだ


今日はこのへんでかえってくれ」


ヒロトが放浪人に向き軽く会釈する。


「断る。まだ決着をつけていない」


「威勢がいいのは嫌いではないが君のクラスは本来ここを使って


いい人間じゃない。このことを教師に言ったらどうなるか


わかるだろ。こっちは穏便に済ませようのしているんだ


ありがたく受け取っておけ」


ヒロトの言葉に放浪人は鼻を鳴らすとステージの下に降り


おちている剣を拾った。


「それでいい」


「おまえ名前は」


放浪人が背を向け問いかける。


「馬鹿野郎知らないのか!この方はこの学園の生徒会長!


ヒロト・ジャスティス・ダンドリュウムさんだ!あと敬語を使え!」


シーズニングが熱弁するとヒロトはポンポンと肩を叩く。


「別に構わない。気にしないそれぐらい。ただ君も学園生徒なら


秩序ある学園生活を送ってくれ」


「残念ながらお前の節操に付き合う義理はない」


そう言い残し放浪人は会場を後にした。


「生意気な新入生だ。覚えておこう」


ヒロトは頷くと客席を見上げる。


「報道部。わかっていると思うが今回の事を学園ニュースに流したら…」


「安心してくださいよ。こんな中途の試合を流すようなことは


しませんって。ではでは私も退散させてもらいますよ」


ソレアはリノアスの手を掴むとさっさと客席出口に歩いて行った。


「相変わらずの逃げ足の速さだな。それにしてもサイガ。


君のような男が分かり切った試合を見に来るなんて。


学園ナンバー1は暇なのか」


嫌味っぽく笑うヒロトにサイガは特に気にせず肩をすくめる。


「お前も変わらないな。そう見下していては見えるものも見えないぞ」


「別に見下してはいない。ミドルオレンジにも武術や魔法がトップクラスに


匹敵する実力者がいるのを知っている。ただパープルレッドではな


今までそんな人間みたことがない。それならとっくに昇級しているからだ


新入生ならなおさら」


「お前は実力テストを見ていないのか」


「見ないな。時間の無駄だ。そんなのを観戦するくらいなら


学園の秩序を守るための取り締まりをしていた方がましだ」


「そうか」そう頷くとサイガは出口に歩いていく。


「そうだ一つ言い忘れていた。あの試合止めて正解だったぞ」


「なんだと」


シーズニングが驚き声を荒げるもヒロトが制止する。


「シーズニングそんなはったりに引っかかるな。


あの試合最後の方だけ見たが確かにナイフを弾かれたが


君は物理無効の魔法を付加していた。怯んだすきに


すかさず攻撃をすれば勝っていた」


「そっそうですよね」


ヒロトの言葉にシーズニングは納得する。


「お前は何も見えていないな」


「なんだと」


「やはりお前は互いに競い合う俺の好敵手にはなれない」


少し寂しそうな表情をするサイガはそのまま出ていった。


「っち。サイガめ。お前も変わらず嫌な奴だ」


ヒロトはサイガの背中を刺し殺す勢いで睨むその様子に


シーズニングがおどおどする。


「あっあの」


声をかけられるとパッと表情が変わりいつも通りの余裕な顔をする。


「おっと。そうだった。シーズニング。さっきも言ったが


ダメじゃないかいくら就任して嬉しかったとはいえ。


勝手にパープルレッドをステージにあげては」


「すいません。ですがあの男見た通りあの態度で


いつか問題を起こす前に対処しようかと」


「彼の名前はなんというのです?」


「学園で登録されている名前は6番です」


「退学候補生か。ならそれほどマークしなくてもいい


ほっとけば勝手にいなくなる。この学園を乱す奴は


常にいなくなるのが筋。いくぞ夜の見回りだ」


「はい…」


しかしシーズニングはどうも腑に落ちない点があった。


あれだけ動ける奴が退学候補なのかと、


嫌な予感を感じつつ前に行くヒロトの背を追うのであった。


---


夜の学園通り放浪人は不機嫌そうに寮までの道を歩いている。


「マスターよく耐えましたね」


「フン。せっかく入った学園を初日で追い出されたくないからな」


「だったら。もう少し態度をですね…」


「残念ながら俺はこうなってしまったんだ今さら変えられん」


ログの言葉に特に気にせず放浪人の歩むペースは変わらない


「不完全燃焼って感じですね」


後ろからの声にチラリと目線を送る放浪人。


後ろにはリノアスとソレアが歩いてきていた。


「なんだ。お前たちか」


放浪人が肩を落とす


「なんだとは失礼ですね。そう思いませんリノアスさん」


「……」


「うわ。本当に無口。まぁ今回の件は記事として出せないからいいけど


本来もっと話してもらった方が記事は書きやすいのですがね」


ソレアはため息をつくも顔を上げ放浪人の横に近寄った。


「それでどうでした。トップクラスの実力は新人としても


かなりの実力差を感じたのでは」


質問に放浪人か肩をすくめた。


「肩透かしもいいところだな。あの程度でトップクラスになれるのか」


「またまたー強がりはカッコ悪いですよ。現に生徒会長が止めなければ


貴方のエルフの剣は今ごろとられて私に脚色をくわえた記事を書かされる


所じゃないですか」


「お前こっち側じゃないのか」


「残念ながら報道部は中立ですよ。多少話を盛ったり


場合によってはどっちかに偏りますけどね」


「報道の鏡だな」


放浪人は鼻を鳴らす。


「…とられなくてよかった」


「取らせる気はないがな」


リノアスの言葉に放浪人が頷く。


「それにしてもまさかその手袋も魔具でしたとは」


「剣とは違って普段は普通の手袋だよ」


「エルフ製の手袋と剣!よく手に入れましたね。そこんとこ


詳しく聞かせてもらいたいのですけど」


「教える気はない」


しつこいソレアを振り切ろうと放浪人の歩む足が速くなる。


「あらら。ノーコメントですか」


先ゆく放浪人を諦めソレアは自分も寮に帰ろうと


踵を返したその時。放浪人はハッと何かを


思い出すように振り向いきソレアを呼び止める。


「これどこに戻せばいいんだ」


「これ?…おとと」


そう言うと放浪人はソレアに何か小さな物を投げ渡した。


辛うじてキャッチして確認して見ると


「えっ…これって」


ソレアがそれを見て驚愕した。赤い魔石だ


ステージ外なので色はくすんでいるが


ステージ内だと十分一回使えそうだ。


「外で使えるか確かめる為につい持ってきたがあのステージ意外


使えないみたいだからな。返しといてくれ」


「あっはい。わかりました」


「たのむぞ」


そう言い放浪人とリノアスは目の前の寮に歩いていった。


魔石を見つめて立ち尽くすソレア。


あの時、放浪人とシーズニングがぶつかり合った時にこの魔石を


すでに握っていたとしたら。そしてヒロトが止めていなっかたら


勝っていたのは……。


ソレアは顔を上げ歩いて行く放浪人とリノアスの後ろ姿を見て


ニヤリと笑いバンドのレンズのシャッタを鳴らす。


「これは、これはこれからは当分話題に困らないことが


なさそうですね」


これからの学園生活。なにか面白い予感を感じる


ソレアだった。




第二章   完   第三章に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ