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遥か彼方の放浪者 ~The one chosen   作者: Fuyu
第一章
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勝つための魔法

「どうしてんですかん?ドンドンせめていいんですよん」


教頭は手から槍を取り出し近づいてくる。


「なーに。ちょちな鎧どう叩き壊してやろうか考えているだけさ」


「ホントん生意気ですんね!」


教頭は鉄でできた槍を次々と投げていく。


放浪人はギリギリのところで回避しながら徐々に距離をつめる。


「はぁぁぁ!」


放浪人がボロックの時と同様


鎧に何発か拳を叩きこむも傷一つついていない。


「くっこれでもダメか!」


「ヨホホホ。わたしにぃこのような攻撃は効きませんん!」


すかさず教頭は槍を振り放浪人に攻撃していく。


「ならば!」


放浪人は手を広げ足を踏ん張るとそのまま鎧に衝撃を与える


ように攻撃する。


「衝撃なんてきかないん!これはそこらの鎧とはわけが違うんよ!」


教頭は放浪人を見下すようにせせら笑うとすかさず攻撃する。


---


「どういうことミッツ。ホーロが負けるって」


「あの鎧は魔法や魔術を使わないとどうしようもない」


ユオの問いにミツザワが応える。


「でもあいつたしか適性テストには問題なかったんだろ」


「放浪人は魔法の適性はあるが実際魔法を使えない」


「どういうことだ」


「適性があってもそれなりに訓練をしないと魔法は使えない


いや訓練をしていても使えない奴もいる。


放浪人が魔法や魔術を使った所見たことあるか?」


その言葉に皆顔を強張る。


何度か過ごしているが放浪人が魔法を使った所など


誰もみていない。ましてや魔法や魔術の事が記されている


筆記が壊滅的な事を見るとかなり不安しかない


「でも放浪人さんには桁外れな武術力がありますよね」


アムの言葉にミツザワは首を振る


「無理だな。先ほどから何度か攻撃をしているが


効いていない所をみると教頭が本気の時に着用すると


言われる魔具、物理攻撃無効を無効にする鎧だ」


「ってちょっと待ってよ試験でそんな強いの普通使わないでしょ!


この学園武術にも力を入れているし」


「本来ならな。実技試験は担当する教官で決められる。


例え破れても筆記や適性テスト、武術他にも俺達見たいな推薦組ならある程度で


結果を残せれば合格なのだがロクに時間がない状態で試験を受けしかも一般枠となると


放浪人が実技試験で敗れたあと果たして合格できるかどうか」


ミツザワは少し考えステージを見た。


「…だがいい機会かもしれない。あいつが俺の見込んだ男なら


これぐらいの逆境はねのけられる」


「と言ってもよーキツイんじゃねーか」


リクトリは頭をかく。


「魔法が使えれば逆転のチャンスあるってこと?」


「恐らくな。物理攻撃無効といっても魔法や魔術といった


属性でのダメージは通るはずだ。せめて同じ魔具を持っていれば」


ミツザワは放浪人を見る武器となりそうなのは背中に背負っている剣だけ


後は魔具らしきものはもっていない。


「持ってないです。どうしよう」


アムは不安な表情で声を上げる。


「うう。ホーロなんとかしてよ」


珍しくユオも弱気な発言。


「……」リノアスはその様子を横目見ていた。


試合は教頭が優先で進んでいる。


放浪人は何度か拳を鎧の隙間や顔に叩きこむも


全くの無傷それどころかカウンターを喰らい


ドンドン放浪人のHPバーは減っていく。


教頭は絶好調。間髪入れずに槍の攻撃!


放浪人は辛うじてかわす一方だ。


「なんだ。手も足も出ないじゃないか」


「というか。あの鎧見たことないぞ。もしかして噂に聞く


教頭の魔具か!あの6番そんなすごいのか」


客席にいた。生徒もざわめきだした。


「フン。とんだ肩透かしだな。教頭はあの6番を合格させる気なんてない


圧倒的力で我が学園に来ようとする虫をつぶそうとしているだけさ」


腕を組んでいる男は鼻で笑う。


「ねえ。ちょっとあなたと知り合い不味いんじゃない」


圧倒的な試合になっていきチグサがサーナを訪ねる。


「そうだな。先ほどから魔法や魔術を使っていない所を


みると使えないのか?」


「……みたことがない」


放浪人と会った時、手合わせした時も魔法を使う所なんて見ていない…


「そうか。そうなると6番負ける可能性が大きいな」


「そうね。最低でも魔法いえ魔具を持っていれば


話は別なんだろうけど。それにしても教頭も人が悪いわ


明らかに武術系の受験生に武術の効かない鎧をつかうなんて」


「あの教頭は昔から気に入らない受験生に対しては厳しい人だからな」


サイガはため息をつく。


「サーナ残念だけど彼は」


諦めた方がいいとチグサが言おうと顔を見たが


サーナの表情は諦めてはいない勝つと信じている目をしていた。


---


「フンフン。どうやらん。もうすぐギブアップのようですね」


「まだあきらめていないがな」


「フンでは諦めた方がいいですん。貴方が何度拳を振ろうが


私には勝てないん」


教頭はそう言うと放浪人に槍構える。


「あなたは確かに武術はいい腕をしているかもしれませんが


所詮通用するのは小さい町程度学園ではそんなもの通用しませんん!」


「ほう。そんなにすごい奴がいるのか」


「当たり前ん。だがそんなこと気にしなくていいのん!」


教頭が手に持っている槍を引っ張ると突然逃げ場をなくすように


放浪人の背後に岩でできた壁が出てきた。


「これでコソコソ逃げられないんん。これで終わりん」


すると教頭は槍を前に持っていき突っ込んでくる。


「世界の広さにおしつぶされるのん!」


流石にピンチな放浪人!どうするっと身構えた時。


(……右手を使って岩をイメージして)どこからか声が聞こえる。


(誰だ?)しかし今は考えている暇はなく


放浪人は地面に手を置いて必死に大きく固い岩をイメージする


すると手が光、地面から鋭い岩が正面に生えてきた!


「ギョヒ!」突然現れて岩に驚き教頭は


放浪人に向けた槍を反らしてしまう。


「なななにーん。魔法を使えるのん」


今まで魔法や魔術を使わなかった放浪人が魔法を


使い驚きを隠せない。それは教頭だけではなかった


それを見ていた自分の知り合いも驚いている。


「魔法か」だが一番驚いているのは自分が魔法を使えたことだろう。


(今まで練習しても使えなかったのにしかもイメージしただけで)


(……わたしのおかげ)


また声が聞こえた。


「だれなんだ一体」


「い、いきなり何をいってるん?絶望のあまり幻覚を見てるん


それとも薬でもキメてるん」


大丈夫んこいつという顔をする教官。


どうやらこの声は放浪人しか聞こえてないみたいだ。


それに聞き覚えのある声。


放浪人はチラリとミツザワ達がいるところを見ると


そこには皆放浪人の試合を見つめる中一人だけ


目を瞑っている姿。リノアスだ。


(もしかしてリノアスか)


(……そう)返事をする。


(なぜ俺の中で会話ができる)


(……さっき腕を掴んだ時私の意志とリンクした)


(器用なことできるんだな)


放浪人は教頭に向き合う。


(……あの鎧に物理は通用しない。魔法や魔術、魔具を


使わないと通用しない)


(それは知っている…だから魔法を使えるようにしたのか)


(私がリンクしている一時だけだけどそこまで多様な


魔法は使えないし精密さは無い)


(なるほど、それは助かる。自分の力ではないのが


悔しいところだがな)


放浪人は地面に右手をつけ岩をイメージする


すると鋭い岩が地面から隆起していく。ランダムに


「ふん。まるでコントロールがなっていないん。


それに岩の出現速度もドンドン落ちていきているねん


おまえがピンチなのは変わりないんん!」


自分の勝ちは揺るがない教頭。


(……悪いけどこれ以上協力は無理そう)


(十分だ。助かった)


放浪人がリノアスに礼を言うと同時にリンクが切れる感覚。


すると右手の光がなくなる。


放浪人は地面から手を放すとゆっくり立ち上がり


その手で自分の背中にある剣の鞘に手をかけた。

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