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遥か彼方の放浪者 ~The one chosen   作者: Fuyu
第一章
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試験の時

「なななんとん!」


教頭は目を疑った。自分の見ている先には


来るはずがない放浪人とリノアスの姿があったのだから。


「何を慌てているのです」


クロンガは教頭をチラリと横目で見た。


その目はまるで自分のした行動を見透かしているように


「クロンガ先生これはどういうことですか」


教官がクロンガに訪ねる。


「彼らは学園のジャーバンドに偽の情報を送られ会場とは違う


場所に誘導されたらしい」


「そんなことが」


「真偽についてはわかりません、実際バンドの情報を見せれもらいましたが


こちらの送ったとおり正しい情報でした」


教頭は冷や汗かくもすぐに安堵の表情をした。


「それでは彼らが嘘をついている可能性が高いんですねん


どうせ落ちこぼれの彼らのことですからん逃げようとしたけどん


心変わりしたんに違いありませんん」


「そうかもしれませんね」


「でしょうん!そんな優柔不断で回りに迷惑かける者は


我が学園に必要ありませんん!」


教頭は強く拳を握りガッツポーズをとった。


「しかし気になる名前を聞いたのですが」


「気になるなまえ…」


「ええ。ブラゴフという男に騙されたと」


その名前を聞いた瞬間回りの教官もざわめき始めた。


「ブラゴフって確か我が学園の卒業生では」


「ええ。確か障壁魔法の優秀生だったと聞きましたが


ただ随分前の卒業生で現在どこで何をしてるか


聞いたことないですね」


クロンガは顎に手を当てて考える素振りを見せる。


「おかしいですね。まだ入学してもなく面識のない


二人が何故ブラゴフに襲われたのか。どう思います教頭」


「あーそれはー不思議んですね。嘘をついている


可能性があるんね」


と苦し紛れで声を漏らした。


「理由はどうあれここはわたしの判断に任せてもらいましょうか」


「ですがクロンガ先生彼らに筆記や魔術のテストをしなくてよいのですか?」


するとクロンガは手に持っていた封筒を渡した。


「ちょうど前の試験会場であった時、遅れながら全てやらせた


実技試験があることを考慮して通常の時間より少し短めだが


あの二人は了承した」


「なるほど。そのやる気を見るに嘘をついているとは考えにくいですね」


回りの教官もクロンガの話に同意し始める。


「ええちょっとん待つんのいいですかんこんな嘘も


誠もわからないん遅刻するような輩にそんなことを…」


すると受験生から集めたジャーバンドの一つが光始める。


『まぁ。そこまで言うのならん。優しいアムに免じてんん


試験途中で来た場合はー。途中になりますが受けることをん


許可しましょうん』


音声が流れた。その声はまぎれもなくロドベル教頭の声。


「あれんれん!」教頭は焦り回りを探るも見つからない。


「ほう。流石ロドベル教頭お心が広い」


クロンガは腕を組み満足気に笑う。


「そうですね!いやー心が広い」


「素敵!カッコいい!」


他の教官もうろたえ始める。


「あっそのどうもん…」


「それでは実技試験をするということで決定ですね」


「えーとそのうんまぁ」


教頭はブツブツ言いながら教官達に背を向ける


すると机の上に先ほどクロンガの持ってきた封筒を見つけた。


開けて見るとそこには魔法で既に採点が行われている。


「リノアス…あの顔も出さない奴ねん……あっこれはんダメねん


実技試験がダメでも最低でも合格ねん」


リノアスの結果を見てガクリと肩を落とす。


そしてもう一枚放浪人の結果を見た時…


「おっほ…これはん!」


いいものを見つけた表情!落ち込んでいた口元がニヤリと笑う。


「それでは実技試験は私がリノアスをえーと放浪人は…」


後ろで誰が実技試験を担当しているか話しているのを聞く


「それではん。わたしが放浪人んを担当するんのん」


と言いサッサか客席通路を降りていく


「えっ教頭みずからですか!」


驚いた他の教官に振り向き教頭は真剣な顔をする。


「クロンガ先生んがそこまで言うならん見て上げるだけですん


しかしあのようなん生意気な生徒はん、入学してもんロクなことがないん。


そういうことを他の受験生にんわかるん教育を込めてんいくのん」


そういいステージに向かっていく。


「あっ試験用の魔具じゃない!教頭先生せめてこれに」


「いらないん!」


拒否られた。


「クロンガ先生良いのですかあれで」


バイツがぼそぼそとクロンガに訪ねる


「まぁいいだろう。教頭先生もあれでも責任ある立場


これを機に少し変わるかもしれん」


クロンガはステージに歩いて行く教頭を眺めた。


---


「もう遅いよ。ホーロなにやってたのさ」


「ユオちゃんの言う通りだぜ全く!俺らに迷惑かけやがって!」


ユオとリクトリが後から来た放浪人に詰め寄った。


「ああ。まぁすまないな。色々あった説明すると少し長くなる」


なんて説明したらいいか。放浪人は頬をかいた。


「まぁまぁ二人共とにかく来たんだからそれぐらいにしといてやろう」


「そっそうですよ。とにかく間に合ったのですから」


するとアムは放浪人の隣にいたリノアスに目をむけた。


「放浪人さん、この人は?」


アムに訪ねられ放浪人は隣に目を向け頷いた。


「ああ。もう一人の受験生」


「……」


リノアスは何も言わずに黙っている。


「おい、なかなか可愛いじゃん。俺リクトリ!よろしくな」


「……り?」


「そうそうリクトリ!」


「……リノアス」


「おお。リノアスちゃんか!名前が何か似てるし俺達結構


相性いいかも」


リクトリのテンションが上がる。しかしリノアスはフイと


そっぽを向いた。


「なんかこの子あんまり愛想ねえな。俺何か悪い事したかな」


リクトリはボソッと放浪人の耳元でつぶやいた。


「終始こんな感じだ。気にするな」


するとアムとユオがリノアスに近づいた。


「あの私アムっていいます。よろしくお願いしますね」


「因みに私がユオだよ。双子で顔が似てるからって間違い


ないでね」


二人はリノアスに笑いかけた。するとちょっと恥ずかしく


なったのか顔を赤らめる。


「よ……よろ…しく」


不器用に頭を下げた。


「どうやら女の子同士だとすぐ打ち解けるらしいな」


ミツザワが感心するように見ていた。


「ところで放浪人。試験は大丈夫なのか。筆記や適性とか


受けてないだろう」


「あのクロンガって名前の教師と丁度あってな理由を説明したら。


少しの間全工程をやらしてもらったまぁ出来はいいとは言えないが」


放浪人は肩をすくめた。


「それは大丈夫なのか」


「さぁな。だがクロンガの話だとこの実技試験でよい結果を残せば


いいと言っていた。その言葉を信じるしかないさ」


するとキーンと音が会場に響き渡る。


「受験番号6番放浪人!受験番号6番放浪人!これから


実技試験を開始します。ステージにお上がりください」


女性のアナウンスが流れた。


「噂をすれば早速か」


放浪人は一呼吸する。アムとユオが放浪人に向かう


「放浪人さん頑張ってください」


「まぁー気楽に頑張んなよーホーロ!」


ユオは放浪人背中を叩いた。


「おっいいねユオちゃんじゃあ俺も頑張れよ放浪人!」


リクトリも背中に一発。


「じゃあ俺も行ってこい放浪人!」


ミツザワも同じところに叩く。


「…お前らな」放浪人が怒る。すると皆ドッと笑う。


その笑顔を見て放浪人は言う気も伏せ歩いて行こうとした時。


リノアスに腕を掴まれた。


「なんだ。お前も気合入れたいのか」


リノアスは首を横に振った。


「……お礼」


「お礼?そんなものどうでもいいついでにそうなっただけだ」


「……それでも少し」


そう言うとリノアスの手から小さな光が出ると一瞬で放浪人の


全身を駆け巡る。


そしてリノアスは手を放した。


「何をした」


「……勝てるおまじない」


後ろに下がり小さく頷くリノアス。


放浪人は軽く腕を振る。特に変わったことはない


いつも通り体の動きが少し鈍いだけだ。


だが何かそれを埋めるようなすっきり感もある。


「ありがたくもらっておく」


そう言うと放浪人は同じ受験生に見守られながらステージに向かっていった。

「( ^ω^)・・・」

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