試験開始
受験宿舎から少し離れた大きく立派な建造物。
入り口ドアには『試験会場』という看板が飾ってあった。
中の一室。机が横並びで置いてある部屋で
4人の受験生が机に座り話している。
「あいつ一体どこにいったんだ。もうすぐ始まる時間だぞ」
ミツザワは腕についているバンドを確認しながら
ソワソワしていた。
「放浪人さん、急に宿舎を出てるなんて何かあったのかな」
アムは心配そうにドアを見ていた。
「もしかしてあいつ受からないと思って逃げたんじゃ…」
「そんなことあるわけないだろ。あいつが逃げるなんて」
「確かにそうだろうけど、そういえばもう一人もきてねえな」
リクトリは辺りを見渡すも自分の知っている人間以外いない
「もしかして寝坊してんじゃねーだろうな」
不意にアムが立ち上がった。
「わたし、呼んできます」
慌てた様子で行こうとするアムの手をユオが掴む。
「もう始めるからやめといた方がいいよ」
「で、でも…」
「案外もうこっちに向かってきてるかもしれないし
今は自分の試験の心配した方がいいよ」
アムは、何かを訴えようとするも言葉を飲み込み
シュンと落ち込んだ感じで席に戻った。
「しかし、ユオおまえ放浪人が心配じゃないのか?」
首をかしげ訪ねるミツザワに
「ホーロが逃げるわけないじゃん」
っと笑いながらユオが応えた。
すると廊下から部屋に近づく足音が聞こえた。
「おっと噂をすればなんとやらじゃん」
「やっときたか」
リクトリは内心ホッとしたのか安堵の表情を浮かべる。
「足音は一つかどっちだ。放浪人かそれとも例の1人か」
「二人ともこれますように…」
アムは手を握り祈る
そう皆が注目するドアが開いた。
現れたのは……ロドベル教頭だ。
「皆さんん。ご機嫌うるわしゅんってあれ
みんなどうしたん」
部屋にいた全員ため息をついた。
「なんだ教頭かー」
「なんだとはー失礼ん」
ユオの言葉に不満な顔をした教頭はさたくさ
教壇の前に立ち部屋の回りを見渡した。
「これでん、全員ですんね」なぜか満足そうな顔。
するとミツザワが手を上げた。
「あの後、二人がきていないのですが…」
「二人?ああそうですんね。きてませんね
それがどうしたのですかん」
特に気にする様子もない教頭の態度にユオは首をかしげた。
「気にならないんですか」
「気になりませんん。学園の試験に落ちる不安にんかられ
当日逃げ出す受けずに逃げ出す受験生はめずらしくんありませんん」
平静を装いながらも気分がよさそうな喋りをする教頭に
アムは手を上げる
「あの。試験少し待ってもらうことはできないですか」
「ダメですん。時間通りもう始めますよん。
試験のスケジュールんが詰まっていますん。
たった二人の受験生にそこまでできませんんー」
思わず高揚していう教頭だったがアムの落ち込む姿を見ると
罪悪感にかられたのか咳ばらいをして落ち着かせた。
「まぁ。そこまで言うのならん。優しいアムに免じてんん
試験途中で来た場合はー。途中になりますが受けることをん
許可しましょうん」
その言葉にユオは小さくガッツポーズをとり。
アムと目を合わせた。
「言質とったね。ナイス」
「わたしにできるのこれぐらいだから」
小さい声で合図するとアムも小さくガッツポーズ。
「それにしても教頭嫌に気分よくねーか?」
「ロドベル教頭を見る限り放浪人ともう一人の奴に対して
嫌っている感じがあったからな」
「もしかしてあの教頭が何かしたとか」
「おいおい、いくら何でもそんなことしないだろう
変に疑うものじゃない」
疑われていることに焦った教頭は誤魔化すように手を叩いた。
「私語は慎みなさいん。いいですか!試験というのはん。なれ合いではありませんん!
蹴落とし合いですん!そんな他人の心配するよりもん自分の心配しなさいん!」
そう言われ一同沈黙する。
「いいですかん。今から筆記試験を開始するん」
そう言うと教頭はプリントを空中で操作しそれぞれの席に置いた。
「行きましたねん。名前と番号を確認してん。間違いがあれば
教えるのん。1分後開始するよん」
ミツザワ達受験生は解答用紙を確認し特に何も言わなかった。
それを確認して1分後、教頭は辺りを見渡し
「ないのんね。では開始ん」
っと叫んぶと皆テストに挑んだ。色々思うことを持ちながら。
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「さて。受験資格があるものは今ごろテストは開始しているだろう。
お前たちはサッサと自分の故郷にでも帰るのだな」
ブラゴフは時間を確認すると放浪人達をシッシと動物を
払うように手を振った。
しかし放浪人とリノアスはその場から動かない。
納得していないのだからしょうがない
「どうした。ここにいてもしょうがないだろう早くここから出ていけ」
「本当の試験会場はどこだ」
「それを聞いてどうする」
「聞くまでもないそこにいくだけだ」
「ほう。ダメだと言われて行こうとするのか。お前も同じ意見か?」
ブラゴフがリノアスを頷くことを確認すると頭に手を押さえながら大声で笑う。
「なるほど。最後まで貴様らは諦めないのだな心の中は受かりたいと
思っているのだな!」
「何がおかしい」
睨みつける放浪人。
「いやいや。すまんな。今まで同じように反感を持った受験者は皆同じようなことを
言ってたのをおもいだしてなぁ」
するとブラゴフは懐から二つ折りにされたA4サイズの紙を見せつけるように取り出した。
「気に入った。ここに名前を書くがぁいい。それさえすれば俺が教師に掛け合ってやる
試験を受けることを許可してほしいとなぁ」
そう言いながら紙を広げた回りには細かく見たことのない文字が刻まれ中心には
『再試験届』と一筆書かれていた。
「こんなものを俺達に書かせてどうするつもりだ」
ブラゴフはほくそ笑み
「お前たちは生意気だが学園に入りたい気持ちが伝わった
俺はそういう人間には弱いんだ。それに試験会場に今からいってももう間に合わん。
ならば俺が掛け合い特別処置で初めから試験が受けられるようにしてやる。
さぁ受けとれそして己の名を書くがいい」
そう言いながら紙を放浪人に差し出した。
目の前にある再試験届、しかし放浪人は受け取らなかった。
「何をためらっている。俺も忙しいんだ。受け取らず落ちることを
受け入れるならそれでもいいが、受けなおすなら早く受け取れ。
俺の気が変わらんうちになぁ。6…5…4」
ブラゴフがカウントし始める。
「3…2…1……ぬぁ?」
すると突然ブラゴフの手から紙が離れ風をまい。リノアスの手に渡った。
「ほほう。思わず我慢できずに横取りしたかグハハハ
いいぞ。そのやる気とても素晴らしいぞぉ」
満悦そうに笑うブラゴフから目を離し放浪人がリノアスを横目で見た。
リノアスはジッとその紙をまるで観察するように上から下にと目を動かしいる。
「安心しろ。そんなに急がなくてもお前ら二人分のぉ名前を書いていい。
ちゃんと責任もって俺が再試を……」
「……うそ」
リノアスの言葉にブラゴフの大笑いしていた声がピタリと止まる。
「嘘だと?何を言っている。俺はお前らが気に入って……」
ブラゴフから言い訳がましい言葉より早くリノアスは手にしている紙の両端を掴むと
ビリっと盛大な音が鳴るくらい真っ二つに破った。
「き、貴様ぁ!なんてことしてくれる!」
唐突な行動にブラゴフは唾を飛び散らせながら教壇から降りてリノアスから
紙を奪い返そうとするもそこからまた破り続け粉々にする。




