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希望と前進の始まり!

長くここまで読んでくれた方に感謝してます。

サーナの指摘に放浪人は固まった。


「なんのことだ」


目を反らしながらいう放浪人のサーナは……腹部に容赦ない一撃拳を叩きこんだ。


「みぞおち!」


サーナの拳の大きさは丁度いい具合に腹部の弱点にクリーンヒットする。

鈍い痛みが体を伝うまさに必殺の一撃拳!サーナ神拳(普通の拳)

放浪人は腹部を押さえながら後ろに下がった。


「いきなり腹部を殴るな」

「それはこっちのセリフよ。手加減してどういうつもり」


サーナは殴った手を一度振りながら放浪人に詰め寄った。


「殴られてわかった。痛みなんてそんなにないんだから攻撃してきなさいよ。剣がぶつかった時も力で押し切らないで後ろに逃げたりして…いやそれより馬鹿なあんたが加減なんて、そこまで弱くみられてるの気分悪いわ」

「いやべつにそういうわけじゃ」


何か言いたそうな顔で頭をかく放浪人にサーナはため息をついて


「もういい今日は帰る。色んな意味でガッカリしたわ」


そう言って背を向け部屋を後にしようとする。するとログが点滅し始めた。


『サーナさん。お待ち下さい。マスターは……』


何かを訴えかけようとしたログを放浪人は手で押さえた。


「まてよ。サーナ」


丁度ドアの取っ手を掴んだサーナは反応して振り向いた。


「何よ。まだなにかあるの?」

「さっきは悪かったな。確かにお前の言う通りだ」


放浪人は声をかけながらサーナに近づいてきた。


「ふーん。やっぱりそうだったのね……」

「だからもう一度勝負しよう。今度は加減なんてしない」

「……本当に?」

「ああ。今度はちゃんと拳を使う、約束する」

「約束」


放浪人がこつんとサーナの額を小突くとサーナはその手を掴み流れるように捻る

アームロック決めた!しかし放浪人は顔色一つも変えない


「……そんなに痛くないはずでしょ」

「わかってる」

「もし次同じことしたら外で同じことするからね!」


サーナは放浪人の手を放すとドアに背を向け、またさっきと同じ場所にもどっていく

放浪人は肩をすくませた。


「まったくあいつ不器用だよ」

『マスターも人の事言えませんよ。本当は力を出し切れないんですよね』

「気づいていたのか」

『あの戦いの後から異様に体の動きが鈍っていました。最初は疲労と思っていましたが』


放浪人は頭を掻き自分も定位置に戻っていく


『やはりサーナさんに事情を説明してまた後日でも』


ログが言い終わる前にいいやと放浪人が首を振り


「あいつは学園の生徒だ。俺なんかに時間をとらせるわけにはいかん」


そう言いながら自分の腹部を軽くなで拳を強く握った。


「それにあいつから気合の一撃をもらったんだ返さないとな」

「ちょっと。いつまでログとぶつぶつ話してのよ!こっちはもう準備が終わってるわよ」


すでに剣を用意したサーナが不機嫌な声を上げた。


「なに作戦タイムってやつだ」

「作戦?」


首をかしげるサーナを見て放浪人は不敵の笑みを浮かべお返しとばかりに指を差した。


「お前の氷の魔法をどう打ち砕くかな!」


一瞬キョトンと目を丸くするサーナだがいつも通り自身満々の放浪人を見て安堵の表情を浮かべた。


「やっぱりわたし甘くみられてるわね」


サーナは氷の剣を掲げる。すると急に気温が下がり氷の粒が剣の方に蓄積していく


「あの程度氷は、私にとってほんのちょっぴりばかりのお遊びよ。本気はもっともーとすごいから」


自信満々の言葉に放浪人が天井を仰ぎ楽しそうに笑った。


「ちょっとなに笑ってるのよ!」


サーナは作りかけた氷の塊の一部を抜き取って放浪人に向かってぶん投げた。


「ありがとうなサーナ」


放浪人は礼を言うと自分に向かってくる氷に拳をぶつけた。


「なら俺は全力で氷を壊すのみ!」


グッそのまま拳を振りぬくと氷は粉々に砕け散った。粉々になった氷は空中を漂い地面に落ちていく。


「やっと使ったわねご自慢の拳」

「当たり前だ。そうしないとサーナに勝てないからな」


放浪人がぐっと拳を握り構えた。いつもの猪突猛進の姿にほっとしたサーナは楽しそうに笑うと


「じゃあこれで遠慮なく私も戦えるわね」


一気に氷を作り臨戦態勢に入った!すると放浪人は口を開いた。


「なぁサーナ」

「なによ。流石に怖気づいたなんて…」

「この試合がおわったら。一緒に飯でもどうだ」


放浪人の何気ない言葉にサーナの顔はみるみる赤くなっていく


「えっええ!そそれっでデー…」

「すきあり」


動きが止まり慌てふためくサーナの隙をついて放浪人は一気に距離を詰め懐に入りこむと拳を振りぬいた、


「あぶな」


サーナは咄嗟に氷の剣でガードするも体に衝撃が伝わりズズズと地面を引きずらしながら後ろに押し出された。サーナの上に表示されたゲージが若干減少する。


「ちょっといきなり攻撃するなんてずるいわよ!ゲージも減っちゃったし」

「なにいっている。勝手に慌てふためいたのはサーナだろ」

「なっなんですってーー!」


サーナは顔を真っ赤しながら手を前にかざすといくつもの氷を出現させ一気に放浪人めがけて氷の塊を発射させた。

向かってくる氷を放浪人はまとめて蹴り落とす。


「どうだ。これで文句ないだろ」


ドヤ顔でいう放浪人がサーナをみると顔を伏せプルプルと体を震わせていた。


「この…この」

「なんだ感動し…」

「バカチンがぁぁ!」


サーナがダンと音が鳴るくらい足で強く床を踏み込んだその瞬間!サーナの足元の地面からどんどん氷が盛り上がっていく!それは小柄のサーナの体を持ちあげていき高く高く天井近くまで上がっていった。

温度が急激に冷えたのか白い靄が放浪人の辺りに一面広がる。


「急激に寒くなったな」


痛みはないものの体温の変化を直に感じていた放浪人の真横から急に氷の塊が!

放浪人は先ほどの戦いで落とした剣を足でけり上げると氷の塊に当てた!氷は発射角度を変え。

当たった剣はくるくると宙に浮かんだところを放浪人がキャッチした。。


「氷がすぐ作られていく」


気がつくと放浪人を取り囲むように氷の塊がただ寄っていた。


「冷たい空気は重いのよ。私より下は氷の世界。逃げ場はないわ」

「なるほ通りで体の動きが鈍くなっているわけだ」


立ち止まるとたちまち全身に氷が張り着いてくる。徐々に放浪人の上に表示されているゲージが減っていく。


「流石にこの技を受けて身動き取れないのはしょうがないわよ。今の状態なら拳を使わないっていっても許すわ」


お返しとばかりにサーナは勝ち誇った顔で笑う。

絶対絶命!だが


「悪いな。俺は諦めるつもりはない」


放浪人の顔は諦める顔ではなく剣を構え目をつむる。


「自身満々ね。じゃあいくわよ!氷のつぶての攻撃を……」


っとサーナが腕を上げた瞬間


「いっけええ!」


放浪人は手に持っていた剣をサーナめがけてぶん投げた。

剣は円を描きように回り靄を切り真っ直ぐサーナに向かってきた!


「ちょっ嘘でしょ!」


咄嗟にサーナは上げた手を前に出し氷の障壁を作った

剣は鈍い音をならし氷の障壁に突き刺さる。


「あいつ何考え…」


一瞬。剣で目を離したその一瞬の間にサーナの視界から放浪人が消えた。


「どこに」


慌ててまわりを探し出したサーナだが


「ここだぁ」


声は彼女の真下から聞こえた。

そこには氷によって作られた絶壁の壁を蹴りサーナの元に近づく放浪人の姿。


「この程度登って見せる」


氷を蹴り無理やり足場を作りながら着実に近づく放浪人。


「ほんと馬鹿なんだから」


サーナはそのおかしな光景に笑うと氷を蹴りジャンプするとパチンと指を鳴らした。

その瞬間また先ほどあった氷が一瞬にしてなくなった。

足場を無くし重力に引っ張られるよう地面に落ちる放浪人だが体制を整え何とか着地する。


「っち。氷を消したか…だがサーナも落ちてくるはず…だ」


サーナを迎え打とうと顔を上げた放浪人の目に飛び込んだ光景はひらひら落ちる雪と大きなとても大きな氷の塊だった。


「これを受け止めたらあんたの勝ちでいいわよ」


サーナはなんと氷で天井に足を固定していた!そして剣を地面に向けて氷の塊を作っていたのだ!

どんどん集まり巨大化する氷の塊放浪人の足元には先ほどから振っている雪があっという間に積もり動きを押さえている。


「マスター…降参しては、タイフン一閃すら使えないのにこんな大きな氷壊せませんよ」


ログの心配そうな声。しかし我らが放浪人ここで諦めることはない!

彼は冷え切った空気の中、深呼吸し右手に力を込めた。


「悪いな。俺はここで逃げたらダメなんだ」


いつのころかの遥か彼方の遠い記憶の片隅にある雪が降りどこまでも凍てつく氷。

そこからすべてが始まった。

神と出会い死んでいるのに何回も死ぬぐらい修行をいくどなく繰り返しそしてついに目の前にはあの時を思い出す雪と氷、運命というのはどうしてこううまく舞台を用意してくれるのか


「神は……いや運命は変えるきっかけを作った」


だからその気持ちに応えてやろう。っという言葉それにこたえるかのように放浪人は右腕を引いた。

ログが強く振動する。


「マスター。サーナさんからです」


腕から音声が流れた。


『放浪人。絶対合格して学園に来なさいよ』


放浪人はニヤリと笑うと「約束する」っと応えた。


「行くわよ!放浪人」

「こぉぉぉい!そんな氷砕いてやる!」


サーナは自分を止めている天井の氷を消した。すると氷の塊の一緒に地面に落ちてくる。

ドンドン近づく大きな氷の塊。

放浪人は臆することなく。今度は勝つ!という強い意志と共に右手を開き力の限り腕を振った。


今度はあの氷の世界に負けない為にあの時の自分に別れを告げて

雪積場所で放浪人の右手は勢いよく氷の塊と対峙した!






----------冒険編 第6章   完     ---------















                セインエイツ学園編に続く

とりあえず冒険編終わりです。

本来は5章で終わりにしようか悩んだのですが

異世界にきてサーナとの出会いが放浪人の始まり

だったので最後は彼女にピリオド打たせる形になりました。


学園編なので今度はセインエイツ中心になりますが

彼はまた冒険をすることになると思います

なんたって放浪人なんですからね

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