来たぞ!セインエイツ
セインエイツ
海沿いにあるとても大きな街。
インフラ整備はもちろん完備しており
新鮮で美味しい食べ物もある綺麗で美しい場所。
観光やそこに住み着く人間もとても多い
入り口付近の門の前周辺は観光客用の
店が多く出店している
食べ物、道具、家具、ご当地の土産近くにセインエイツに
いくつかあるテレポート施設もある為多くの人で賑わっている。
そんな人気のある入り口付近のある一つの店
路地の裏で地元住人しか知らなそうな小さな店。
そこで放浪人は出された食べ物を一心不乱に
食べていた。
目の前で食べる放浪人を尻目にサーナは
ログに興味津々でいじっていた。
「喋るジャーバンドなんて初めて」
サーナは自分のバンドを操作し設定項目を見るも
音声機能なんてどこにも記されていない
「これ、ソルシエール様がつけていた奴よね」
「そうです。わたしの元所有者はソルシエール様です」
ログが反応する。
「ちなみに私の名前はログです。よろしくお願いします」
「すごい。わたしの言葉にも反応してるまるで生きてるみたい」
ますます興奮するサーナ。すると食事をしている放浪人を
ジッとみつめる。頼み事あるという顔で
「あのーさー。わたしのジャーバンドと交換しない」
「しない」
「えー奢るからさ。ねっお願い」
「……」
手を合わせ頼みこむサーナをほおっておき再び食事に戻る放浪人。
「もう。ケチ」
無言の拒否態度にサーナは不貞腐れ頬を膨らます。
「不貞腐れるな。正直ログがいなければ俺はここにたどり
つけなかったんだ。俺にとってこいつは必要なんだよ」
「そうなの…そうね」
「納得するの早いな。まぁいいが」
うんうんと首を縦に振るサーナに放浪人は半ばショックを受けながら
ログを受け取った。
「サーナさん私はミストレス様に作られたものです
もしかしたら頼めば同じように改造してくれるかもしれませんよ」
「ほんと!休日に行こうかな」
今思えば少し懐かしい店内を思い出す。
「元気かなミストレスさん」
「さぁな」と興味なさそうに肉を口に入れ食べる放浪人。
「そういえばあんた今までどこに寄り道してたのよ
ここまで結構かかったみたいだけど」
「舗装された道を通らないでクライアバル王国によってきた
その内討伐クエストをしていたから遅くなった」
放浪人が説明する。
「ふーん。もしかしてお金を返すため?」
「ああ。そうだ」
放浪人は食べ終わり最後に水を一気飲み干した。
「ということでログ、サーナに金を送ってくれ」
「わかりました」
ログは点滅すると所持金と表示された数字が一気に減り
サーナのバンドに表示されている金額に足された。
「こんなに?別によかったのに」
「約束しただろちゃんと返すっておまえもそのために
こっちにこいっていったんだろ?」
「あのこと?」
サーナは思い出す自分がテレポートで転移される前
放浪人に言ったこと
『セインエイツまでちゃんと来なさいよ
わたしあんたが来るまでシショウと待ってるから』
「いやあれは別にお金を返して欲しいっていったんじゃなくて」
サーナが首を横に振り否定すると放浪人は首をかしげた。
「じゃあなんだ」
「なんだってそりゃーえーっと」
サーナは口ごもりみるみる顔や耳が赤くなっていく。
「やっぱりお金ね。ちゃんと返してくれてありがと」
プイとまた顔をそむけるサーナ。
「どういたしまして」
放浪人はニヤリと笑う。
「ところでさ。クライアバル王国に寄ったんだよね」
「これが証拠」
放浪人は背負っていた剣をサーナに渡した。
「へーこれがエルフの剣なんだ」
サーナは手にした剣を珍しそうに見まわした
「厳密には練習用と聞いた。本物はもっと頑丈だったな」
「いいなー。エルフの人が偶に学園に講習できてくれるんだけど
魔道具とか剣なんかはなかなか出回らないのよね」
「学園にエルフの人間がいるのか」
「一応数人在籍はしてるわよ。ただ教育科目が違うから
会う機会ないけど」
フーンと放浪人は手袋を眺め
確かセインエイツ学園の事に来たことあるような
発言を聞いたような気がするがとレティを思い出す。
「クライアバル王国かぁ。あそこもいってみたいな
綺麗なところだった?」
「まぁ綺麗だったな。流石エルフって感じだ」
性格は少し問題あるが顔はよかったことを思い描いたのか
ポケと少し呆ける放浪人。
「ちょっと何ぼーっとしてるのよ」
「ん?いやゴホン何でもない」
放浪人はサーナから剣を返してもらった。
「ところでセインエイツ学園に入ろうと
思っているんだが」
「ほんと!」
するとサーナは嬉しそうにテーブルに手をつく
「ああ。それでどうやって入学できる?
紹介してくれるような話をしていたが」
「うっ実は」何やら言いづらそうに口ごもる。
「あの後学園に帰ったあと少し経ってから先生に報告しようと
思ったんだけどあることがあって報告してないの」
「あること?なにがおきた」
するとサーナが黙って放浪人を指さした。
唐突な事で放浪人はまわりを見渡すもそこには誰もいない
「あんたよ。あんた」
俺か?とまるで見覚えのない顔に
サーナは深くため息をつく
「テレポート場でのことよ」
「テレポート場?なんのことだ」
「まだ思い出せないの。えーとログはわかる」
放浪人が話にならないのでログに頼るサーナ
もちろん優秀なログはバッチリわかっている。
「テレポート場と言うとあの事件の事ですよね」
そうそれよ!サーナは深く頷き同意した。
「流石ログ。放浪人より役にたつ」
「一言余計だ」
ログが過去のデータを検索すると
映像を表示する。そこにはテレポート場で
警備員ともみ合う見覚えある男の姿
『がああああああああ!腕が!おれるーー!』
音声が店内に響き渡る。
放浪人は慌ててログを手で押させつけて即座に映像を
消すも店の人間は二人をジッと見ていた。
「おい。まさかこれのせいか」
「そうよ。というより関係者だとわかったら私まで
テレポート場使えなくなるじゃない」
「そういうことか。それならしょうがない」
放浪人は納得する。
「ということは俺は入学テストは受けられないのか」
「そんなことないけど」
問題があるのかサーナは口ごもる。
「テスト自体受付所に行けば受けられるわ
丁度試験受付期間だからそれは問題ない」
「なら早速受付に行って申請すればいいじゃないか」
「でも、かなりの狭き門よ。本来この受付期間は中等部の
飛び級で受けにきたか教師の推薦で来たのがほとんどよ」
「つまりエリートか」
「そうよ。それに推薦組は特別枠が設けられるから
普通より合格率が高いの。だから私も推薦しようと
したんだけどもう推薦期間おわてて…」
サーナがガクリと肩を落とす。よほど言えなくて
落ち込んでいるみたいだ。
「それに落ちた人間は最低2年まで受けられないの
特に20代だと場合によっては受ける資格を失う」
「それで試験受付期間はいつまでなんだ?」
「えーと丁度半月ぐらいかなそれを過ぎると来年になるわ」
放浪人は意志を固める。
「なら。受けるしかないな」
「ちょっと人の話聞いてた合格率低いのよ
特にフリーで受けるなんて」
「受かる時は受かるし落ちる時は落ちるんだ
悩んで今あるチャンスを捨ててもしょがない」
「確かにそうだけど」
「安心しろ別に俺は落ちてもさほど気にしない
また別の目標を探しに旅に出るだけだ」
「旅…」サーナがつぶやいた。
「わたしもう一度先生に行って推薦枠とってもらう」
サーナは机に手をつき立ち上がる。
突然のことで驚く放浪人
「おい。もう遅いんだろ」
「でも……」
「それに別に俺が受かろうが落ちようがサーナが気にする
ことでもないだろ」
「それはその…私がここまで誘った責任あるし」
「そういうものなのか」
「そういうもの!」ズイと放浪人にサーナは嘆息して詰め寄った。
「俺は落ちる気はないから安心しろよログもサポートしてくれるしな」
「はい。マスターできる限りサポートします」
「なっだからそこまで気にするな」
納得いかない表情をするもやがて深くため息をつくと
店の出口に向かい歩いた。
「じゃあ。早く行きましょ。今から行けば
受付の締まる時間に間にあるから」
そういい残し店から出て行った。
「あいつ何熱くなってんだ」
「マスター。もう少し…いえ何でもありません」
放浪人がつぶやきに呆れ声を漏らすログであった。




