架空の世界!抜け出せ!
放浪人は気が付いた。
「ここは…」
放浪人がいる場所そこはさっきとなにも変わらない
草木が生える森。そして生き物の声。
「気配がもどった…」
いやそれより気になることがある
ザガンだ!放浪人はまわりを見渡すもザガンの姿はなかった。
「マスター大丈夫ですか」
ログの声に返事を返し放浪人は腕を上げる。
「ザガンはどこにいったかわかるか?」
「すいません。さっき復帰したのでわからないです」
「復帰?何かあったのか?」
「急なノイズで現在地がどこかわからなくなってしまって
それの修正をしていました」
「現在地がわからない…ということは」
「はい。かなり酷似していますが恐らく
さっきいたところと違うところです」
空を見上げると雲がないのに太陽の光さしてない
いや。太陽自体はなかった。
しかし暗くもなく色は若干ぼやけるものの辺りを見渡せられる。
「どうやらネムニがいっていた。空間魔法ってやつか」
すると草むらから狼のような生き物が出てきた。
「グルルルル」っと放浪人を威嚇している。
「あの森の異変は奴の仕業ってやつか」
放浪人は背負っていた剣を抜いた。
すると狼はビクンと身を震わせる。
「なんだかマスターを恐れているみたいですね」
「そうみたいだな…というかこの狼どこかで」
狼を観察する。…見たことがある
四つ足の大きな体。鋭い爪に牙
「コーバルウルフです」
「ああ。そう言えばそんなのいたな」
コーバルウルフは唸り声を上げるだけで近づいてこない
「俺の剣を見て警戒しているみたいだ
間違いないエナルの時か」
たまたま巻き込まれたのだろう
放浪人はコーバルウルフと目を離さず背負っている袋から
食べ物を取り出すと
「ほら取ってこい」
コーバルウルフの頭上めがけて投げた。
「グルルル!」
食べ物に気づくとそれを追いかけ森の奥に消えた。
「倒さないですか?」
「ここで倒したら血の匂いで他の生き物が近づいてくる」
放浪人は剣をしまった。
「そこに誰かいるんですか?」
すると背後から男性の声が草木の音とともに聞こえてくる。
放浪人は声のする方向に体を向けると
剣の持ち手を掴み身構える。
「どうやら俺以外にも人間がいるらしい」
草木をどけながら男が姿を現す。
気弱そうな顔つきに栗色の髪
服装はスティッカと同じ服
恐らく治安維持の人間だろう
「よかった人がいて」
男はホッと胸をなでおろし放浪人に近づいてくる。
「おまえ。ここで何している」
がもちろん警戒する放浪人。男は焦る。
「うわああ。落ち着いてください。
僕は治安維持の者です。なまえはイドル・オーヴァイド
パトロール中に急にここに飛ばされてしまったんです。敵意はありません」
イドルは手を上げ敵意がないことをしめしながら
放浪人の顔をジロジロとみた。
「ああ。あなたは放浪人さんですね」
緊張の糸がほぐれたのか胸をなでおろすイドル。
「なぜ俺の名前を知っている」
「組織の人間なら大体の方が知っています
あと僕あなたのファンなんです」
「……どうやら嘘はついていなさそうだが」
純粋な瞳に放浪人は剣から手をはなした。
「会えるなんて光栄です!あのアームロックすごかったです」
「やめろ」
放浪人は露骨に不機嫌になった。
「あっいや。すいません。でも他にも森に生息する
狂暴なモンスターを倒すクエストをこなしたり
プルランさんと互角に渡りあったりと
治安維持限定の情報がよく乗せられてます」
腕を上げ放浪人にきらきらした瞳を見せた。
流石にすこし照れた放浪人は咳払い。
「情報筒抜けだな監視されているのか。ほめてくれるのは素直にうれしいが今はそんな時じゃないだろう」
「すいません。そうですよね。僕つい。強い人にあこがれているもんで」
イドルは頭を下げて謝罪した。
「そう言うことはどうでもいいそれより治安維持の奴らに連絡とれないか?」
「すいません。ジャーバンドがここにきて全く起動しないんですよ」
「しかたない。俺の方でスティッカかネムニにも助けを求めるか」
「スティッカ君とネムニさんにあったんですか」
「ああ。森を歩いた時にな」
「そうなんですか。僕実はあの二人の変わりに派遣されたもので先輩とここにきていたのですがどうやらはぐれてしまって」
放浪人はログに話しかける。
「ログあの二人に連絡したいんだが」
「無理ですね。連絡範囲にネムニさんがいません」
「なぜネムニだけなんだ…」
「スティッカさんは登録してないみたいであの時ネムニさんだけが登録してました」
「いつだ」
「後ろについてきていた時です」
「…抜け目にない奴」
今まで使っていないが実はジャーバンドで連絡ができる
しかし我々が持つ連絡手段とは少々異なり条件がある大きくいって3つ
正規のマスターであること
連絡者が範囲内にいること(例外はのぞく)
互いのジャーバンドを登録してあることだ。
因みに放浪人はそれをよくわかっていない
「すっすごい!これが喋るジャーバンド!いったいどうなってるんだろう」
ログと放浪人のやりとりにイドルは興味深そうに眺めていた。
話し込むと面倒だなと思った放浪人は
「とりあえず見晴らしのいいところに移動する」
提案して森の奥にあるいて行くことにした。
「あっ僕もついていきます」
イドルも一人で取り残されまいと放浪人をおった。
ぼやけた色の森。無風で光がない景色。
まるで絵画の世界に入ってしまったような
感じにさせる。
「ここはいったいどこなんでしょうか」
イドルは不安げな様子で辺りを見渡していた。
「わかるのはザガンがこの世界を
作ったってことだけだな」
「ザガン?誰ですか」
「会ってないのか?」
「はい。調査で丁度森に入った時気づいたら
太陽がなくなっていて」
「どうやら巻き込まれたみたいだな」
かわいそうにと同情する放浪人。
「この世界に空間魔法だっけ何わかることあるか」
「ええと。空間魔法で間違いないと思うんですけど
こんな大規模の空間を作る人間がいるなんて」
「脱出方法は?」
「術者の意識がなくなるか出してもらうかどっちかだと思います」
「ってことはザガンを見つけるしかないようだな
顔に傷がある奴を見つけたら教えてくれ
俺が全力で叩き潰す」
放浪人は前にあるいていく。
「それにしてもすごいですね。
そんな堂々と歩けるなんて僕なんて怖くて誰かがいないと
動けなかったんですよ」
「おまえ。本当に治安維持の人間か?」
「いやー。僕は先輩や同期の正義感あふれるスティッカ君や
天才のネムニさんと違って落ちこぼれなんです」
「落ちこぼれ?」
「そうなんです。適性能力を見込まれて
治安維持に入ったのですけど。全くダメダメで
所詮捨て駒なんです」
「…悪いが落ち込むのは出てからにしてくれないか?
さっさとここを出るにはお前の協力がいる」
「えっ僕ですか!」
イドルは驚いた表情で放浪人をみた。
「俺は魔法の知識はない。
だからお前を頼るしかないんだ」
「そっそうなんですか」
「ああ。今はお前の協力が必要なんだ頼む」
「ぼくが…」
そう言うと放浪人はさっさと森を進み始めた。
少し歩くと丁度切り開かれ切り株だらけの場所についた。
なにか鋭いものでその部分だけ切り取られた木の跡。
「あれを!」
イドルが指さした。
そこには切り株が道のように連なった先に
大きな建物があった。
石を積み上げて作られたようなまるで神殿のような形。
「あのようなものこの森にないはずです」
イドルが断言する。
放浪人は確信したあそこにザガンがいると
すると大きな羽音がなる。
上空を見上げると大きな鷹のような顔に翼。
四つ足でライオンのような胴体の生き物が
前足二本の鉤爪に馬に似た生き物を掴んでいた。
「ランドフォースが捕まってる。
それにしてもあの大きな翼の魔物はなんだろう見たことがないな」
イドルが頭をかしげる。
「マスターわたしの方でもデータがありません」
しかし放浪人はその生き物に見覚えがあった。
「まさか…グリフォンか」
グリフォンそれは我々の世界で知られている伝説上の生き物
「グリフォン?あの魔物そう言う名前なんですか?
流石放浪人さん!物知りなんですね!
あっもしかして海の向こう側の生き物なんですか」
「…まぁそんな感じだ」
ここの世界と違う世界の…
放浪人は口をつぐんだ。
グリフォンは必死に暴れる馬の抵抗もなんの
その神殿に入っていく。
「どうやらあそこになにかあるみたいだな」
神殿にザガンがいるのか?
放浪人とイドルは神殿を目指し歩いた。




