異変を探る!ネムニの直感
「それでは放浪人。俺たちはもう行く
ここら辺は今、何かが起こっている!
気を付けていくんだぞ!」
「ああ。わかった」
「そして次にあったらまた勝負しよう!今度は負けないぞ!」
「ああ。いつでもこい!」
放浪人とスティッカはお互いの拳を合わせた。
するとログが点滅する。
「スティッカさんも気をつけてくださいね」
「ああ!ではまた会おう!」
スティッカは暑苦しい別れの言葉をいうと背を向け
うおおおおっと叫び声を上げながら森の奥へをかけていった。
「フッ。あいつなかなか熱いやつだった」
「でも長生きはできなさそうですよ」
放浪人のつぶやきにどうでもいい感じに隣で返答するネムニ。
「というか。お前も行くんじゃないのか」
「正直。ついて行きたくなーいって感じですけど」
「いいのかそれで」
「久しぶりにセインエイツに顔を出すのも悪くないかと」
「ついてくる気か」
「厄介になります」
「好きにしろ」
放浪人はため息をつき
背を向けさっさと森の出口を目指して歩いた。
「うーん。クール。ギャップ萌えありっと」
エナルは放浪人についていきながらメモ用紙のような物を
取り出すとそこに色々書き込み始めた。
放浪人は立ち止まり振り返る。
「何をやっている」
「放浪ファンの方々に更新情報を提供しようと思って」
「やめろ」
「はい。やめまーす」
ネムニは唐突に素直な返答をしながらメモ用紙をしまった。
「随分素直なんだな」
「別にあなたに喧嘩売っているわけではありませんから
それに教えたいこともありますし」
「教えたいこと?」
怪訝な顔をする放浪人に彼女は「はい」と断言する。
「やる気はなくても組織の端くれ。
異変の詳細は教えた方がいいと思っています」
「そういえばスティッカも同じことをいっていたな」
放浪人はこの辺りの生き物がいなくなったと
熱弁するスティッカを思い出した。
確かに今でも生き物の気配は感じられない
「はい。でも彼はその原因はわかっていないですけどね」
「おまえはわかるのか」
「確証はありませんが断定はできます。どうです聞いも損はないかと」
ネムニの表情に嘘がみられない。
「わかった。じゃあ教えてくれるか」
「いいですよー。その代わり一つ質問に答えてほしいのですが」
「質問?」
「どうせ、最後までついていくことはできませんからね
少し経ったらスティッカ君がわたしがいないことに気づいて
連れ戻しに来ると思います。なので二人…
といってもログがいるので微妙ですが。
とりあえず邪魔されず話したかったんです」
先ほどの眠たそうな表情とは違う真剣な顔をする彼女
緊張の中平静を装い放浪人は口を開く。
「…でなんだ」
かなり重要な事か張り詰めた空気の中彼女は口を開く。
「彼女とかいらっしゃらないんですか」
「それ今、関係ないだろ」
「ファンの方々は気になるところです」
「いない。以上」
実にくだらない質問。肩透かしをくらった放浪人は脱力した。
「まぁ、緊張を和らいだということで。では本番。
今度は真面目に質問します。扉についてなにかしってます」
ネムニはその隙をつくように質問した。
「扉?」
「ええ。扉についてだったらなんでもよいのですが
どんな形をしているかーとか、どこの世界に繋がっているのか
どこにあるかとか教えてくれます?」
まるで彼が扉に詳しいのではないかと感じさせる口ぶり
しかし実際扉を見ていない放浪人は
「悪いが俺は何も知らないな」正直に答えた。
ネムニは放浪人の顔をジッとみつめる。
嘘かホントかを見極めるように
「うそはついてなさそうですね」
「何故それを俺に聞く」
「直感です。他にもあなた本当にこの世界の人ですか
と質問したいところですが」
突然の指摘。図星で放浪人は膠着するも
「くだらないことをいうんだな」という言葉をひねり出した。
「あーと。これは余計でしたね。機嫌損なう発言をしてすいません。
ただの感なので気になさらずに」
頭に手をやり謝罪するネムニに
「別に構わない」
間違いてはいないから。
放浪人はネムニを少し警戒しながら返事を返した。
気を取り直すみたいにネムニは咳払いをすると
「それじゃあ。異変について教えますね」
異変の説明を始めた。
「確信はまだですが、まわりの生物がいなくなった原因それは
だれかが空間魔法を使って生物を違う次元に閉じ込めた。
これで間違いないと思っています」
「空間魔法?」
そういうのもあるのかと放浪人は興味をしめした。
「ええ。モンスターの食事中に突然消えたかのような
痕跡を移動中に見つけましたし。探索魔法でついさっきまでいた
生物が忽然と消えましたそれ踏まえて考えた結果です
殺すにしても痕跡を綺麗に消しすぎますしね」
「なるほどな。それで誰がやったか犯人の目星はついているのか」
「そうですね。空間魔法を使える人間はそう多くありません。
ある程度絞れると思うのですが。すいません確信が
もてる人物はまだ。そもそも動機がはっきりしていません
快楽的殺しか乱獲してどこかに売ろうとしているのか
それとも何かの別の目的があるのか…」
「そうか…」
二人は立ち止まり考えている。
すると森の奥から草木をかき分ける音が聞こえた。
何かを感じ取るようにネムニはため息をつく。
「どうやら時間のようですね。スティッカ君が迎えに来たみたいです」
ネムニが後ろを振り返えるとすぐに熱血漢がやってきた。
「ネムニ君!なぜついてこない!」
若干息を荒げ体から湯気を出すスティッカはネムニを指さした。
「いやぁー。こっちの彼が断然クールで
カッコいいからついて行きたくなりまして」
「それはプライベートの時にしたまえ!
今は正義の仕事中だぞ!」
「あーめんどっちー熱血漢」
先ほどの真剣の顔はどこにいったか
ダルそうな顔をするネムニ。
「なにー!熱血漢のどこが悪い」
「はぁーわかりましたよ。じゃあこのロープを持ってください」
どこから出したのかネムニはロープを取り出し
スティッカに渡す。
スティッカはロープを持ったまま呆然。
「何をするためだい?」
「もちろん私を引っ張ってもらうためですよ
氷でソリと道は自分でを作りますんで」
ポンとネムニは手に持っている杖で地面を叩くと
水分が一気に集まりそして小さな氷のソリが完成。
「俺はトランスウルフじゃなーい!」
こちらの世界の犬ぞりのことらしい
スティッカはロープを地面に叩きつけた。
「そう言わずか弱い乙女を助けるのも
正義の務めですよ」
「ムムム。わかった!」
正義だったら何でもいいのかロープを再度拾う。
見事スティッカは騙された。
彼はソリにロープを括り付けて先端を手に巻いた。
ネムニはソリに乗り込む。
「あーそれと放浪人さん。セインエイツに
向かうなら注意してください。
被害があちらの方に向かっている感じがするんで」
「…わかった。気を付けていく」
ネムニの言葉に放浪人は感謝した。
「なにそうなのか!ならそっちに行った方がいいのでは!」
驚いた表情を浮かべ戻ろうとするスティッカだが
「いやボスがちゃんと私たちの変わりを派遣したんで
勝手なことはしちゃダメですよ」
ネムニに諭されてスティッカは肩を落とした
・・・が顔を上げ燃える瞳で。
「わかった!ならば放浪人君の強さを見込んで!
頼む!もし犯人を見つけたら倒してくれ!
正義のために!」
スティッカはグッと拳を握り放浪人に任せたぞと
言わんばかりに熱い視線を送った。
「ほらほら馬鹿言ってないでもう行ってください」
「グヌ。わかった。それでは!放浪人!今度こそさらばだ」
別れの挨拶を言い終えると足に力を入れ
ロープを肩にかけ力の限りソリを動かすスティッカ
動くソリから後ろに振り向き放浪人に手を振る。
「放浪人さん、ログさんまた会う日までおたっしゃで」
ネムニも別れの挨拶。
氷のソリを滑べらせながら二人は森の奥に消えていった。




