異世界の家族
「ところでエナルイン。僕は今現在この村に生えてある木に
ついて研究しているのだが気になることがあるんだ」
「気になること?」
カラトの言葉にエナルは首をかしげる。
「ああこの木はこの村にもともと生えていなかったんだ
村長によると当時この村はモンスターの被害は
後を絶たずこの村に住んでいる村人は
モンスターと対抗するため体を鍛えていたんだそうだ」
放浪人とプルランの激しい攻防を聞きつけ
町の筋肉もりもりの村人が野次馬のごとく集まってきた。
「小僧!腕が下がってるぞ!上げろ!上げろ」
「先生の奥さん!いいぞ!そのままやっちまえ!」
血の気が盛んな応援をしている。
「でも突然光と共にこの木が生えてきてそれ以降
モンスターはこの村に近づくことはなくなったようだ」
「光?」
エナルの驚いた反応を見るとカラトはやっぱりかと確信する
「僕はこの木の話を聞きつけてプルランと共に
北の街から引っ越してきたんだ。
僕の仮説では、この木は異世界から転移してきたと考えている」
「転移!うちと同じ」
「まだ確証はないけどね。でもエナルの話を聞いて
かなり可能性が高くなったよ。もしかしたら
この辺りのどこかに君が通ってきた扉という物が
あるのかもしれない……いやそれ以前に
あの木をもっと研究すれば違う世界に行ける扉も作れるかも」
「ってことはうちのいた世界に帰れるかもしれないってこと」
「まだ可能性の段階だけどね。あっそろそろ決着つきそうだよ」
カルトが指さした先をエナルがみると
放浪人とプルランが最後の一撃を与えるところだった
「これでおわりよ!放浪人ちゃん!」
「負けるかぁぁl」
ガキンと二人の拳と拳がぶつかりガキンとありえない音と
ともに煙が立ち込める。
グググとお互いの力が拮抗する!
「やるわね!見込んだ通り!
ここまでの実力をもっているなら学園の試験もきっと大丈夫よ。とっても私がいた違う学園基準だけどね」
汗だくで疲労がみえるプルランは優しく微笑みかける。
「プルランあんた…」
放浪人は一瞬躊躇するも
「はぁぁぁぁ!」
気を集中し足を踏ん張り腕を振りぬいた。
衝撃でプルランの巨体は飛ばされる。
「プルラン!」
エナルが叫ぶ。
プルランはそのまま地面に大の字で倒れた。
「フフフ。負けた。いい戦いだったわ」
悔いなしそんな顔をして目を閉じたプルランを
エナルは急いで駆け寄る。
「大丈夫!プルラン」
「大丈夫よ。少し疲れただけだから」
心配そうに見つめるエナルの頭を優しくなでた。
「久しぶりに発散できたかいプルラン」
カラトは手を差し伸ばし微笑みかけた
「ええ。すっきりしたわ」
その手を掴みプルランはよろめきながら立ち上がった。
その時!プシュウと空気が抜けるように
プルランの体は発光しながら服とともに
ドンドン細くなっていく!
「どうしたんだ」
「大丈夫かプルランさん!」
「この小僧が何かしたのか!」
村人が心配の声を上げる近づこうとするが
カルトは手を横にし動きを制止する。
「あら。たまった魔力がどんどん解放されていく…」
高かった身長も少しづつちぢみそして…
最後の光とともに美しい女性が立っていた。
放浪人はその姿に身を覚えがあった。
「写真の女だ」
「プルランさんですマスター」
あまりの変貌っぷりに誰もが驚愕!
エナルも慌てて放浪人の背中に隠れた。
その皆が驚愕し時間が止まる中カラトだけが
彼女に微笑みかけ抱きしめた。
「その姿に戻るなんていつ以来だい」
「フフ結構前だと思うわ」
首をかたむけ変貌したプルランが笑い返し
カラトから離れ放浪人に近づいてくる
「ありがとう。貴方のおかげで久しぶりにこの姿に戻れたわ」
美人のプルランは感謝を述べる。
美人に少し気押され照れくさそうな放浪人。
「まぁ。お互い全力を出し合った結果だそれより怪我は大丈夫か」
放浪人の問いにプルランは細い腕を上げ
「魔法が解けた時ついでに治った」
と胸を張っていった。
「そうかい」放浪人は安心と謎の敗北感に脱力。
ズルズルと尻もちをついた。
「俺はもう限界だ」
「でも答えは出たんじゃない」
ああと放浪人は笑いエナルを見上げ。
「エナル、俺も西の森に行く。いまさら慌てて
行ってもしょうがないからな送るぐらい付き合う」
「ホント!」エナルは一瞬嬉しそうな顔をするが
グッとこらえ頭を…横に振った。
「仲間に会うんじゃ。なかったのか」
予想外の反応に放浪人は目が点になる。
「気持ちとてもうれしい。けどうちここにいることにした」
エナルの言葉に振られた感じになる放浪人。
「ここでなにかやりたいことがあるのか」
「うん」と首を縦にふった。
放浪人はため息をついた。
「プルランわたしここにいていい」
「もちろん!好きなだけいていいわよ」
プルランはエナルを抱きしめた。
「おお!エナル好きなだけここにいてもいいぞ!」
「まぁ。エナちゃんここにいるのありがたいわ」
「わあーい。エナお姉ちゃん遊ぼう」
いつの間にか村の全員が集まりエナルを祝福した。
「エナルイン。僕も歓迎するよ」
カラトはプルランの肩を叩くその姿はまるで
「家族だな」
放浪人はつぶやくとそのまま大の字に倒れた。
腕についているログが点滅する。
「なにか寂しそうですね」
「疎外感を感じてやまないな」
「マスターにはわたしがいますよ」
「心強い」
エナルはプルランとカラトから離れ
倒れている放浪人に手を伸ばした。
「ホウロ!ありがとう。うち、おまえと会えてよかった」
エナルの太陽のような純粋な笑顔。
(まぁこういうのも悪くない)
放浪人は差し出された手を掴んだ。
次で終わりだ




