第61話 ローズ・ハットン、消滅……。
「素晴らしい……。力が、力がまだまだ溢れだしてくる……。それだけだけではない、力だけでなく、様々なアイデアが思いつく……」
白銀の雷圧をバチバチと行き渡らせ、部屋全域にエネルギー周波を展開。
魔竜のローズ・ハットンは左掌に帯状の詠唱文字がズラリと流れ、5メートルの程の大きさを誇る黄金の魔力球を具現化。
魔の極黄質……。威力は龍老樹を消滅するレベルだ。発動すれば、威力は高いが自身も巻き込まれる為、冷静な判断を下せる者は発動はしない。
「近づけない……。どうやって止めれば……」
周波に負け、鬼神化フェニックスはズルズルと後退。
「重力の雨撃ッ!!」
吹き当たる周波に、鬼神化・重力の魔王はフラフラな状態で立て直し、黒剣を掲げ、詠唱。
魔竜のローズ・ハットンの空域に無数の詠唱陣を描き、重力の雨撃の光線を一斉放射。
ーーーしかし……。
「ーーーーーッ!!」
重力の雨撃は、魔竜のローズ・ハットンの魔竜の極黄質にパキッと打ち消され、帰化。
術はない……。何をしようとも、周波に負け、魔竜の極黄質により、消滅。
ローズ・ハットンは確実な勝利、圧倒的なパワーに酔い、事故意識は最高に達している。
だが、最高は、突如として終わりを迎える……。
ビクン……。ビクッビクッビクッビクン、ゴキュ、バキッ、ゴキュッ!!
「なっ……。何だこれはぁ!!」
ローズ・ハットンは、何が起こっているんだ。と、理解不能な様子で絶叫し、グロテスクな音、激痛に、恐怖で表情が歪んだ……。
度重なる魔竜の魔力を開放した事により、肉体の維持が限界に達したのだ。
魔竜の魔力は、維持する為には魔力と肉体、意識のバランスが大切だ。奴は力欲により意識は崩壊し、魔力と肉体のバランスは、どうでもよくなった。魔力が逆流し、魔竜の極黄質を唱えた頃には、もう遅い……。
アンドラスから授かった強大な力は、術者を欲で支配し、肉体が限界に達した時、牙を向く……。
左腕、左肩、そして全身はバキバキと捻れ、至りるヵ所から裂口が発生し、魔竜の魔力により、変質した黒血が裂口から噴出。
(何が……。起こっているんだ?)
エライ光景に、鬼神化フェニックスは炎剣を構え、眺める。
(やっぱりな……)
鬼神化・重力の魔王は予測を的中させ、安堵の息を吐く。
「ギャアアアアアアアアアッ!!……」
ローズ・ハットンは腹部にボコッと現出した黒球に吸い込まれ、消滅……。
己のチカラに支配され、最終的には自己消滅により、幕を閉じた。人間として、最も惨めで、悪魔のチカラに弄ばれ、奴にとっては最悪な最期であった……。
「やったか……」
鬼神化を解くゼブラ。
ローズ・ハットン、強い戦士だった……。しかし、最期は支配されたチカラを開放してしまい、最後は戦士として判断を誤り、未熟な戦士である。
ーーーそして、奴を倒した2人は静かに退室し、部屋を後にするのである……。
ーーーパキッ……。
すると、2人が退室した同時に、部屋中央に設置されている通信の魔力水晶は役目を終え、渇いた音を響かせ、割れた。
ーーー〈1階中央広間〉ーーー
「ハァ……、ハァ……、ハァ……」
ムジカは上半身裸。全身から汗を噴出させ、息を切らしていた。
「おお、何て美しい。これ程、美しい人間に出会えるとは、何て幸運な事だっ!!。素晴らしい、実に素晴らしいっ!!、どうか、このセアル、真の美を学ばんとする為、貴方の弟子にしていただきたいっ!!」
セアルはバスタオルを脱ぎ捨て、全裸。
キラキラな瞳を輝かせ、ビシッと片手を掲げ、ラブコール。
何らかの勝負の末、2人の間に言葉では表しきれない絆が生まれてしまった。
「オーライ、ブラザーっ!!。意思はしかと受け止めたっ!!」
オカマムジカは蝶のポーズ。
「おお、有り難き、有り難き……。感謝するっ、マイマスターッ!!」
セアルは白鳥のポーズで片足を上げ、両手をグワッと広げ、感謝の意を表す。
ーーーそして、セアルは満足な様子を浮かべ、光の粒子となり、散り去り、場から立ち去る。
消滅したように消え失せたが、奴は弟子入りの準備をする為、一旦、魔界に帰ったのだ。
「さてと……。オイ、早く出てこい」
ムジカは元の人格に戻り、何かに察した様子で階段の上に目を向ける。
(あっ、バレた……)
ギクリとした様子でゼブラとヴァンは階段の物影から姿を現し、変にビクビクした足取りでムジカの所に向かう……。
何故なら、階段の影からムジカのバトルを目撃し、言葉では表しきれない程、あの世界観が面倒臭く、巻き込まれるからだ。出来れば見つかりたくなかった。
「よう二人共、無事でなによりだ。ワシはこの通り、心も体も綺麗のままだっ、ガハハハハッ!!」
上半身裸のムジカは蝶のポーズでクルクルと身体を回し、ハイテンションな歓喜を響かせる。
汗が……、汗が……。びちゃびちゃと、辺りに飛び散らせる。
(何で、上半身裸なんだぁ?……)
ゼブラは呆れた様子で表情を曇らせる。
(ここは変な奴がばっかりだな、コイツに関わってからはロクな事がない……)
ヴァンは面倒臭い様子で腕を組み、ゼブラと関わった事を後悔するのであった……。




