第60話 忍耐勝負
「いや、策はある……」
鬼神化・重力の魔王は全身に重力属性の黒の熱圧をジリジリと漂わせ、隣に立っている鬼神化フェニックスに、邪の装甲のローズ・ハットンを見ろ。と、視先を向けさせる……。
構える黒剣の刃身部はキラリと漆黒に照らし、切れ味と剣圧の重さを物語る。
「どこに策はある?。攻撃は避けられるし、直撃しても打ち消される。それに、察知力や能力の高さは俺達二人より遥かに上だ。そんな奴に、策なんてあるか?」
鬼神化フェニックスは邪の装甲のローズ・ハットンに狙いを定め、炎剣を構え、全身にメラメラと炎圧を漂わせる。
「キサマは鬼神化を使えるクセに、わからないのか?。見るのは奴ではない、奴の腕を見ろ……」
鬼神化・重力の魔王は邪の装甲のローズ・ハットンの腕に最大限に集中。
「腕?……」
言われるがまま、鬼神化フェニックスは奴の腕を最大限に集中し、視先を向ける。
ビクッ……、ビクビク……、ビクンッ。
邪の装甲のローズ・ハットンの左肩、左腕がビクビクと痙攣し、空間がグワグワと、歪んでいる。
「アレが、どうかしたのか?」
鬼神化フェニックスは、わからない様子で鬼神化・重力の魔王に視先を戻す。
「もういい。詳しく説明すれば、奴に感付かれる……。取り敢えず、奴のパワーを、ひたすらアップさせろ。それだけだっ!!」
ーーー鬼神化・重力の魔王は黒剣を掲げ、邪の装甲のローズ・ハットンの空域に重力を発生させ、詠唱。
邪の装甲のローズ・ハットンの空域に、無数の詠唱陣を描き、重力の雨撃の光線を一斉放射。
「ーーーーッ!!」
邪の装甲のローズ・ハットンは力を開放し、黒の熱圧を漂わせ、詠唱。
空中に描かれる無数の詠唱陣、放射される重力の雨撃をの光線を粒子煙に変え、消滅させる。
「ヤバいのが、来るぞっ!!」
ーーー鬼神化フェニックスは危険を察知し、鬼神化・重力の魔王の隣を紅炎のスピードで離れ、応戦体勢を立て直す。
「付与魔導術、魔竜の炎体」
ローズ・ハットンは黒槍を掲げ、詠唱。
全身に漆黒の炎鱗をパキパキと燃え盛らせ、ケタ違いな魔力を物語る黒の熱圧を漂わせる。
槍刃は白銀の炎を宿し、燃え盛る。属性は魔から魔竜に変化。
奴が竜属性の魔力を持っているのは、アンドラスに与えられた微かな力であり、力の開放により、竜属性の魔力が引き出された。
「何て奴だ……。どれ位、パワーを上げるつもりなんだ……」
鬼神化フェニックスは炎剣を構え、奴を眺める。
ビクン……、ビクビクビクッ……。
魔竜ローズ・ハットンの腕は、ビクビクと気持ち悪く痙攣し、脈を打っている。
「ーーーーーーッ!!」
ーーー魔竜のローズ・ハットンは白銀の槍を上段に構える。
鬼神化・重力の魔王に突っ込み、十数メートルの距離から数百発の槍突きを放つ。
「ーーーーーーッ!!」
鬼神化・重力の魔王は黒剣で受け流すが……、槍圧に負け、後退し、体勢を崩した。
「魔竜の牙撃ッ!!」
魔竜(ネクロドラゴンのローズ・ハットンは槍先に白炎の牙刃を造形し、体勢を崩した鬼神化・重力の魔王の胸元に渾身の槍突きを放つ。
「ーーーーーーッ!!」
魔竜の牙撃の一撃を与えられ、鬼神化・重力の魔王は吹っ飛び、壁に叩きつけられる。
胸元には白銀の牙刻が残り、白粒子がプスプスと噴き出ている……。
「ーーーーーーーッ!!」
ーーー鬼神化フェニックスは魔竜のローズ・ハットンの右側に移動し、突っ込み、数メートルの距離から炎剣を振るう。
「魔竜の尾撃ッ!!」
魔竜のローズ・ハットンは、竜の尻尾状にパキパキと燃え盛る白銀の炎の槍柄を振るい、鬼神化フェニックスを豪快に弾き払う。
ダメージは軽いが、体勢をグラつかさせる威力を持っている為、厄介だ。
「ーーーーーーッ!!」
ーーー鬼神化フェニックスは弾き払われ、地面に1回、2回、と叩きつけられ、転倒……。そして空中で体勢を立て直し、炎剣を構え直す。
「魔竜の地面変動ッ!!」
ーーー魔竜のローズ・ハットンは足をトンッと軽く踏み、詠唱。
屋内全域に地鳴り……、バキッと地面が割れ、裂け目が一斉に隆起。
凄まじい震動に、2人の鬼神化使いは、体勢を保つ事も出来ず、フラフラである。
「さて、終わりにしようか……」
魔竜のローズ・ハットンは左掌を掲げ、詠唱。
力に飲み込まれ、意識がない……。思考の中は破壊衝動が染み込み、全ての目的がどうでもよくなっている。今の奴の状態は、鬼神化の暴走より、タチが悪い。
「クソッ」
鬼神化フェニックスはフラフラな状態で炎剣を振るい、炎の斬撃を放つ。
しかし、魔竜のローズ・ハットンに届かず、全身からバチバチと漂わせる紫炎の熱圧に、吸収され、消滅……。
「ならば、重力の爆裂波ッ!!」
鬼神化・重力の魔王は黒剣を掲げ、フラフラな状態で詠唱。
胸部に紫の詠唱陣を描き、重力の爆裂波の光線を魔竜(ネクロドラゴンのローズ・ハットンに向け、放射。
ーーーしかし、震動で起動が乱れ、重力の爆裂波は鬼神化フェニックスに放たれる。
「テメェッ!!、どこを狙ってやがるっ!!」
鬼神化フェニックスは、重力の爆裂波を右側に跳び、ブーブーと立腹の様子でギリギリで回避。
重力の爆裂波は壁を破壊し、風穴を開かせる。
(外したか……)
残念な様子で鬼神化フェニックスを眺める鬼神化・重力の魔王。




