第62話 龍老樹の扉
ーーー〈地下階段通路〉ーーー
1階の中央広間の左側の端に、地下に続く階段通路の出入口。3人は地下階段の出入口を潜り、コツコツと足音を響かせ、降る……。
湿気が漂う為か、天井から雫が、ピチャッと冷たい音を立て、滴る。
一歩、一歩、足音を響かせると、壁に掛けられている松明から、青炎が自動的に点される。
地面には魔界軍の兵士の無数の足跡が乱暴に残り、禁忌の地は踏み荒されている状態だ……。
「魔界軍の指令は倒したが、まずは龍老樹の安否確認からだ。長年、放っておいたから、どうなっているか心配だ……。その次は屋上の広間に設置されている奴らの通信魔力水晶から、魔界側に偽の任務完了のメッセージ報告を通信し、コチラとの因縁を断たせる」
ムジカは説明。
ゼブラとヴァンは聞いているのか、聞いていないのか……、顔を反らし、沈黙。
(まぁ、いいか……)と、ムジカは首を軽く振り、納得するしかない。
ーーーそして最深部にたどり着いた……。
巨大な扉が威圧を漂わせ、灰色の塵を充満させ、3人の前にそびえる。
かつて魔界軍の兵士が入ってきた跡か、扉の辺りに鎧の白骨死体が散らばり、周辺には植物の太ツタがガッチリと無数に絡まっている。
「久しいな、この場所は……。しかし、ここまで戻ってくる時間に、無駄な血を流してしまった……」
ムジカは辺りに散らばる白骨死体を眺め、名残惜しい様子で呟く。
地下世界アストラルが、塔を放棄した同時に、龍老樹の扉は自己封印し、閉ざした。
「この先に、龍老樹が……」
ゼブラは巨大な扉を目を向ける。
「そうだ。この先に龍老樹が安置されている。しかし、部外者が中に入ろうとすると、扉からリサの魔力に命を吸収される。再び中に入るには……、ゼブラ、ユーギガノスの剣に選ばれし者であるお前なら、頼む……」
ムジカは言う。
龍老樹は、自身に危機が迫れば、あらゆるレベルの魔族、人間を消滅させる程の威力を持つ聖属性の自動守護壁を展開している。
かつての地下世界アストラルの血族ですら、魔界軍の侵攻により、入る事が不可能になった······。
ユーギガノスの剣に選ばれし者のゼブラなら、龍老樹の自動守護壁が受け入れるかもしれないからだ。
「わかった······」
と、セブラはコクりと頷き、返事。
少しも迷う余裕はない······。もし、駄目ならゼブラは龍老樹の自動守護壁に吸収され、白骨死体になり、一か八かである。
(頼む、開いてくれ······)
ムジカはドキドキとした鼓動を鳴らし、緊迫感を張らし、セブラを見守る。
額から冷たい汗、セブラの命運はいかに······。
「ーーーーッ!!」
セブラが龍老樹の門に触れた瞬間、門から黄金の光を輝かせ、黄金の粒子が全域に降り注ぎ、心地のよい雰囲気に包まれる······。
ーーーー待っていたぞ、我が子孫よ······。
すると、全域に謎の声が響き渡る······。
声質は老人の男性······。しかし、初めて聞く声だが、不思議と聞き覚えのある声だった。一体、どうしてだろう······。
「今、声が······」
セブラは思わず驚きの声を上げる。
「どうしたセブラ?」
セブラの声に、ムジカは尋ねる。
「声だと?、俺には何も聞こえないぞ。寝ボケているのか?」
ムジカは言う。
「えっ?······。そんな、確かに聞こえたんだ。ヴァン、お前も聞こえただろう?」
セブラはヴァンに向き、尋ねる。
「知らん。俺はそこまで危なくない」
と、ヴァンに冷たく返される。
ワケの分からん声が聞こえると言う事は、色々とヤバい奴を意味している。
「誰が危ない奴だっ?、誰がっ?」
セブラはムキに反論。
コイツに聞いたのが間違いだった······。
「止さんか。さっさと行くぞ······」
ムジカは仲裁。
これ以上、いざこざになると大事な所をワシ掴みにされ、止められる。
(おかしいなぁ······。確かに聞こえたんだだが······)
セブラは納得出来ない様子で頭をポリポリ掻く。
どうやら、謎の声はセブラだけしか聞こえないのだろうか······。
ーーーーそして3人は封印が解かれた門を潜り、龍老樹の部屋に入るのである······。




