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ユーギガノス  作者: やませさん
地下世界アストラル編
22/260

第21話 ゼブラ対ムジカ、適性検査と言う名の勝負

 ムジカとゼブラは剣を構え、中間距離から対峙。 互いの緊張感がピリピリと張り詰め、沈黙。


「はぁっ!!」


 気持ちに負けてたまるかと、ゼブラは突っ込み、剣を振るう。


(…………)


 ムジカは冷静な様子を浮かべ、察知。

 ゼブラが一回、二回と振るう剣撃を、彼は熟練の察知力で一歩、二歩と後ろに下がり、空を切らす。

 歴戦で積み重ねた経験が、ムジカの戦闘技術だ。ゼブラでは経験力がちがう。

 

「まだだっ」


 ムジカに狙いを定め、ゼブラは剣を振り下ろす。


「ーーーーッ!!」


 ムジカは右側に避ける。

 体勢を立て直し、近距離から剣突きを放つ。

 直撃すれば顔面貫通し、絶命。ムジカは殺すつもりで攻撃する。


「ーーーーーッ!!」


 ゼブラはギリギリに察知。

 ギリギリの瞬間。ゼブラは剣を上段に構え、ムジカの剣突きを刃身で受け止める。しかし、ゼブラは剣圧に負け、後退…。

 そしてムジカは斬りかかり、剣を振るう。


「ーーーーッ!!」


 ゼブラは苦悶の表情を浮かべ、二回、四回と振るうムジカの剣撃を受け止め、後退。

 ゼブラでは、ムジカの剣撃を受け止めるだけで精一杯だ。ムジカの剣撃は全て急所を狙って放たれ、技が早い…。

 下手に攻撃を返せば、ムジカの剣撃が急所を直撃し、戦闘不能になる。


「根性見せろ赤いのーーっ!!。それでも男かーーっ!!」


 演習グラウンドの端で見物する兵士達の野次の声がゼブラにブゥーブゥーと、飛んで来る。

 (終わったな…)と、ムサシは確信し、残念な様子で戦いを見物。


(打ち返したくても、返せないんだよ…)


 つばぜり合いの中、ゼブラは苦悶に嘆く。

 だったらお前らがやってみろよ、それで同じような事を言えるのかよ…。と、文句を言いたい。


「大人しくコスプレやるか?」


 ムジカはクスクスと笑い、期待。

 しかし、ゼブラは諦めない…。何故なら女装コスプレは絶対したくないからだ。


「まだ早いっ!!」


 ゼブラは不敵な様子を浮かべ、中間距離まで飛び下がる…。そして体勢を立て直し、額から汗を滲ませ、詠唱…。

 鬼神化を使うしかない。でなければ、勝てない。


 何が始まるんだ?…。と、ムジカはわからない様子で剣を構え、中間距離からゼブラを睨む。


「ーーーーーッ!!」


 ゼブラは鬼神化フェニックスに変身。

 グラウンドの端で見物する兵士達は鬼神化に驚き、どよめいている。

 鬼神化フェニックスの全身から陽炎の光が漂い、地面一辺に燃え広がっている。


「ほぅ…」


 鬼神化フェニックスの高い魔力に、ムジカは不敵な様子を浮かべ、一辺に燃え広がる陽炎に目を配る…。


「本気でいくぞ…」


 鬼神化フェニックスは翼部に炎羽、胸部に炎の甲冑を具現化させ、炎剣を構える。

 ゼブラの戦う理由はユリア。鬼神化は意思に応え、パワーアップ。


「こいつは手を焼きそうだ…」


 全感覚に張り詰める鬼神化フェニックスの威圧感に、ムジカは好戦的な笑みを浮かべ、詠唱。

 同時に全身から虹色の光圧が漂い、剣は虹色の光刃となる…。


「ーーーーーーッ!!」


 鬼神化フェニックスは突っ込み、中間距離からムジカに狙いを定め、炎剣を振るう。


「ーーーーーーーッ!!」


 鬼神化フェニックスの剣撃を喰らい、ムジカは両断された。だが、斬られたムジカは幻影。2つに分かれた幻影は地面に倒れ、消滅。


「何っ?」


 幻影を斬った鬼神化フェニックスは辺りを見回し、ムジカを探す。すると、地面からは白霧が漂い、一辺を曇らせる。

 先程までは白霧なんて漂ってなかった…。何が起こったのだろう。漂う白霧により、見物人が見えなくなった。


「フフフフフ……」


 ムジカの不敵な笑い声が響き渡る。

 すると、鬼神化フェニックスの周囲から、五体のムジカの分身が出現し、包囲。


 鬼神化フェニックスは冷静な様子で炎剣を構え、分身を睨む。


「お前に俺の虹色の幻影ミラージュを見破れるかな?。戦場で如何なる状況を見破れなければ、死ぬことになる…」


 ムジカの声が響き渡る。

 彼の能力、四属性魔力エレメントにより、白霧を発生させ、幻影を作り出す。

 四属性魔力エレメントは高い技術力を要し、ムジカにしか使えない。 

 

 声が止み、ムジカの分身達は鬼神化フェニックスは前後左右の方向から、一斉に襲いかかる。


「ーーーーッ!!」


 鬼神化フェニックスは炎剣を構え、突っ込む。

 

「ーーーーーッ!!」


 三体のムジカの分身は中間距離から一斉に剣を振るう。しかし、鬼神化フェニックスの剣撃に弾かれ、後方に吹っ飛び、消滅。


 鬼神化フェニックスの背後、数メートルの距離から二体のムジカの分身が一斉に剣を振るう。


「ーーーーーッ!!」


 鬼神化フェニックスは察知。

 瞬時に振り向き、炎剣を振るう。


ーーーーッ!!


 鬼神化フェニックスの剣撃に弾かれ、二体のムジカの分身は吹っ飛び、消滅。


「やるな…。しかし、目で見たモノを攻撃するだけか…。戦場で大事なのは判断力、少しの誤りで命取りとなる。俺の能力を見極めろ、そうすれば合格だ…。ちなみにフェイトちゃんはすぐに見破ったわよ、きゃあー思い出しただけでステキィーーッ!!」


 白霧の中、ムジカの声が響き渡る。彼は気持ちが高ぶると、裏ムジカの声になるのだ。


(こんな時は普通にしろっての…)


 鬼神化フェニックスは困惑した様子で炎剣を構え、警戒。すると…。


 白霧の中、ズラリと現れたのはムジカの分身。

 消滅した五体ではなく、幻影ミラージュにより、何十体も作り出している。

 ムジカの分身達は合掌し、詠唱。

 数多の詠唱陣から氷針が具現化し、鬼神化フェニックスに放たれる。


「ーーーーーッ!!」


 前方から放たれる氷針を、鬼神化フェニックスは炎剣を振るい、弾く。そしてムジカの分身達に向かい、前方に駆け走る。


 八体のムジカの分身は剣を構え、鬼神化フェニックスに斬りかかる。

 残りの分身達は両手を掲げ、詠唱…。


「ーーーーーッ!!」


 一体、二体、三体と、斬りかかるムジカの分身を、鬼神化フェニックスは自慢の察知力を活用し、潜り抜け、前進。


「ーーーーーッ!!」


 そのとき、五体のムジカの分身は剣を振りかぶり、鬼神化フェニックスに跳びかかる。


「ーーーーーーッ!!」


 鬼神化フェニックスは炎剣を振るい、ムジカの分身を五体まとめて吹っ飛ばす。

 吹っ飛ばされたムジカの分身は地面に叩きつけられ、消滅。


ーーーーゴウッ


 それは消滅と同時だった…。

 鬼神化フェニックスの一辺に無数の詠唱陣が展開。詠唱陣から炎球が現出し、爆発。一辺は燃え上がり、視界には燃え盛る光景が広がる。

 鬼神化の状態では熱さは感じないが、戦場の雰囲気が漂ってくる。


「目に映る者だけじゃダメか…。なるほど、これが戦場か…」


 鬼神化フェニックスは周囲を眺める。

 燃え盛る光景の中、幻影ミラージュより具現化した無数のムジカの分身が剣を構え、鬼神化フェニックスを睨む。

 ゼブラの合格条件、無数の分身から本物のムジカを探し出し、攻略せよ…。



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