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イマジナリゼロ  作者: 加賀美彗
終わる世界と始まる世界
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過去の因縁と託されたバトン

 刻矢とクリストファーは一歩も退かなかった。互いに翼で飛行しつつ、刻矢が剣で攻撃すると鱗に阻まれ弾かれてしまう。今度は撃つとドラゴンの腕で無数の弾丸を目にも止まらぬ速さで掴み取り、刻矢へ見せつけるかの様に手を開き弾をばらまいていく。

「その程度か?」

「なるほど、こいつに銃は通用しないのか。ならば――」

 刻矢は銃と剣を融合し銃剣モードへと変える。トリガーを引くと同時に発生する太い光線がクリストファーを捉え、一気に凍り付いた海へと墜落させていく。光が止むと相手は氷の上に存在せず、海には穴が開いているだけだ。

 しかし、別の場所から氷の塊を跳ばしつつ水柱が上がる。相手はやはり竜人――クリストファーだ。今度は青の鱗に覆われており、全体的に流線的なフォルムになっている。クリストファーは再び海へ潜ると、今度は凍った海から無数の氷の棘を生やし刻矢に発射してくる。刻矢は銃剣で棘を切り裂きつつエネルギーを込めて海を両断すると、海にハッキリとドラゴンの影が見える様になってくる。

「能力ごと姿を変えてくるナイトメアか。厄介な相手だ」

 今度はドラゴンの影が動く度に海が爆発し始める。高温に熱せられた海水が大量に降り注ぎ、海水が氷や船すら関係無く叩き付けられていく。

「今度は水蒸気爆発か。幾つ大技を持っているんだあいつは」

 刻矢はなるべく海面すれすれに接近してから攻撃を仕掛ける事にした。影に近づきつつ、銃剣にエネルギーの刃を発生させて相手を海ごと切り裂く。手応えはあったものの硬くて弾かれてしまう。更に大技を使わないと傷一つ与える事すら出来ないらしい。

 次は上空に雷雨が発生する。豪雨が翼の動きを鈍らせ、更に無数の雷が正確に刻矢を狙い貫く。刻矢はそのまま墜落し、海の凍っている場所に叩きつけられた。

 イマジナリゼロのお陰で死んではいないものの、全身の痛みで立つ事が出来ない。さすがナイトメアコードの生みの親だと感心しつつ氷の上を這いずり回る。

 攻撃が効かないならどうする事も出来ない。そう考えていると、海の中からドラゴン――クリストファーが現れる。どうやら、刻矢にとどめを刺すつもりらしい。

「これがコードの可能性だ」

「俺はまだ諦めない。ネオを止めるまでは折れないと誓った」

「その通りだ刻矢!」

 言葉と同時に柊未弦が飛び掛かり、クリストファーの顔を殴るが微動だにしない。異変に気付き駆け付けて来た様だ。未弦の他にも母の彼方と、麗那の親である英理も居る。

「ほう、懐かしの顔達じゃないか」

「その声、まさかクリス!?」

 神宮寺英理が声を聞いて驚愕する。まさか、学生時代の友達がナイトメアになっているとは思ってもいなかったからだ。

「そうだ英理さん。あいつはインフィニティコードで歳を取っていない。だから奴はコードも使える」

「あのインテリ君がナイトメアねえ? よくも私をモルモットにしたわね」

 英理が両手剣を出現させると、彼方は二丁銃をホルスターから抜き構える。彼方の目付きが鋭くなり、眼力だけでクリストファーを殺そうとしている様だ。

「テメェをスプラッタにしてやるから覚悟しろクソメガネ!」

「刻矢、クリスは旧友の俺達に任せて早く姫陽達を助けに行け!」

「解った」

 刻矢は傷付いた身体を見ると、ダメージをアヌビスの首飾りに吸収させる。そこから更に飛行し、姫陽達が居るタンカーへと戻っていく。

「行かせると思ったか?」

 しかし、目の前にクリストファーが立ちふさがる。刻矢には奴を止める力は無かったが――

「行かせるんだよ!」

 未弦が人間ではあり得ない高さまで跳躍し、クリストファーを再び氷の海へと叩き付ける。刻矢に向かって笑いながらサムズアップしつつ背中を押した。

 刻矢は未弦達の意志を無駄にしないためにも加速していく。刻矢はその間、絶対に間に合えとだけ考えていた。


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