表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イマジナリゼロ  作者: 加賀美彗
コードの存在理由
48/104

新たな一歩

「もう元気になったみたいだね」

「ああ、世話になった」

 刻矢は病院の院長に礼を言うと、背を向けて去っていこうとする。

 しかし、院長が一度呼び止めたため刻矢は振り向く。

「今日は学校を休んで家に帰りなさい。あと、お父上が神宮寺家で話があるそうだよ」

「解った。親父が? 何だろ――」

 刻矢はどのみち制服を持っていないため、言われた通り一度家に帰る事にした。

 すると、病院から出る途中見た事のある白い高級車が停めてある事に気が付く。刻矢はそれを神宮寺家の車だと認識した。

「やあ、刻矢君久し振り」

 車の窓が開き、オールバックの青年が気さくに挨拶してくる。聞き覚えのある声だと刻矢は考えるが、すぐに声の主を思い出す。

神宮寺辰彦(じんぐうじたつひこ)

「覚えてもらえて光栄だね。家まで送るよ」

「頼む」

 麗那の兄である辰彦の好意に甘えて、刻矢は助手席に座りシートベルトを締める。辰彦はエンジンを掛けると病院を後にした。

 車は順調に帰宅へと進んでいき、辰彦は慣れた動きでクラッチを踏みギアを切り替え加速していく。

「刻矢君、一つ聞きたい事がある。君がナイトメアや対策組織を知っている事前提で」

「何だ?」

「君が麗那の言うカラドリウスじゃないのかな?」

 刻矢は辰彦の言葉に「ああ」と答える。

 辰彦は納得した表情をした後、運転のため再び前を見る。

 帰ってから一度も会っていないにもかかわらず、辰彦は刻矢の正体に気付いていた。その事実に、刻矢は驚きを隠せないでいる。

「別にナイトメアだからって君を倒したりしない。むしろ、聞いてほしい事がある。柊博士が残した――コードの本質に迫る部分だ。柊博士も呼んでいる」

「コードの本質――イマジナリゼロか!」

「そうとも言うね」

 クロスに負けたあげく悠翔に別れを告げられた。

 だが、刻矢は陸人を諦めるつもりは無かった。

 悠翔のお陰で取り戻した最期の記憶は、絶望と悲しみに彩られた物だったが今は違う。願いが叶った刻矢にとって、もう一度四人で笑い合うために必要な物であると同時に新たなる未来への誓いだ。

 しかし、イマジナリゼロにたどり着くための一歩が踏み出せない。コードの本質。父が何故コードを作ったのか知らなければならない。

「よし着いた」

 辰彦が神宮寺家の門の前に停める。

 どうやら、後は自分で進めという事らしい。

「僕は仕事があるから一緒に行けないけど、君は柊博士の本当の気持ちを理解するために進んでくれ。君には知る権利があるから」

「俺は大切な奴らを守るための力が欲しい。だから前に進むしかない」

 辰彦は刻矢の意志を確認すると、安心した表情で去っていく。刻矢は目の前の門――の隣にあるチャイムを押すと、門がまるで最初から来るのを待っていたかの様に自動で開いていく。

 門の先には母の彼方が腕を組んで待っていた。両手に銃を持ち、銃口を刻矢に向けて狙っている。

「何のつもりだ?」

「何ってテメエで新しい銃の試し撃ちに決まってるだろ」

「どけ」

 刻矢の何気無い一言に彼方が威圧され、二丁の銃を落としてしまう。刻矢は銃を拾うと、彼方に背を向けて去ろうとする。

「刻矢、必ず帰ってきてね」

「約束する」

 刻矢は新たな武器を手にすると、右手を掲げて去っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ