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イマジナリゼロ  作者: 加賀美彗
コードの存在理由
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刻矢の起こした奇跡

「イマジナリゼロの理論……か」

 自室のベッドで柊未弦が後悔した表情で呟く。

 理論上は可能だが、人間では到達不可能と判断した禁断の力。イマジナリコードとゼロコードを同時に使う事で発動するとされる禁忌。

 未弦は彼方が反対した理由を良く解っていた。一つは失敗した時のゼロコードの効果による刻矢の死。そしてもう一つは、イマジナリゼロにたどり着き使い続けた場合に起こると予想される副作用だ。

 しかし、未弦は刻矢が絶望に押し潰された時、アフガニスタンで呟いたあの言葉を思い出し迷った。

 ――俺は……もう一度……――

 悲しみに満ちた言葉を聞いて、未弦は刻矢をナイトメアとして蘇らせるという禁忌を犯してしまった。刻矢があまりにも不憫だったため願いを叶えさせたかったが、あまりにも残酷で本当に刻矢にとっての幸せだったのかと今でも後悔している。

 家族にも内緒にしているが、あの時未弦の持っていたコードだけでは刻矢を救う事が出来なかった。

 確かに一度は死んでいるが、コードと願いだけでは刻矢を復活させる事は不可能だったであろう。ナイトメア達の攻撃と、彼らを討伐しようとするナイトメア対策組織と軍隊の攻撃を受けて、コードをもってしても助からない状態だったのたから。

 未弦はあの時だけ刻矢と周りの人達が、イマジナリゼロの理論にたどり着いたからこそ救う事が出来たと確信していた。

 皮肉にも死ぬ事でたどり着いたかも知れない理論。もしあの奇跡がもう一度起こるならばと思いつつも、世界はそう都合良くないと未弦は諦める。

 親友のクリストファー・ハーネックがコードでエゴの力を証明した事に対し、未弦はコードを作った本来の理由をあの日以外実現出来なかった。

 未弦はクリストファーとの思い出が一番楽しかったと振り返るが、彼の野心に気付きつつも止められなかった。自分達の研究の結果、彼方だけでなく息子の刻矢すらも傷付けてしまった。

「俺達の研究は多くの人を傷つけるだけで間違ってたのか? あの日の奇跡はもう一度起こせないのか? 俺は未だにその答えが出せない。なあ、教えてくれ刻矢」

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