侵食していく世界
柊一家と荒砂錐彦、猫のクロエとノエルが帰還し待機していた人達が歓喜の声をあげている。それを柊邸の屋根の上で見下ろしている存在がいた。
黒のローブを身に纏っているため全体像は不明だが、普通の人間とは大きく異なる“何か”を全身から放っている。
「やりますねえ柊刻矢。アークの予測通り、イマジナリコードを完全に使いこなしている様です」
ローブが若い男性の声で感心しつつ拍手をしている。どうやら今まで刻矢達の事をずっと見ていたらしく、行方不明中に何をしていたのかも完全に把握していた様だ。
「それにしても、柊博士がインフィニティコードを持っていないとは。では、何処へ――」
「良く働いたじゃないかクロス」
クロスと呼ばれた男が背後から別の男の声がしたため振り向く。
そこには強面の白人男性が存在していた。黒のタンクトップと迷彩柄のズボンを身に付けているのが特徴で、見ているだけで威圧感を感じる。
「これはこれはバハムート。今回はリヴァイアサンと一緒ではないのです?」
「リヴァイアサンはヨーロッパで別の任務だ。俺はお前達五人が、任務を遂行してるか見に来ただけだ」
「今は計画通りって所ですかね。パンサーとソイルは学区でコード配りのノルマを達成しましたし、フェニックスもカラドリウスと交戦しました」
クロスがバハムートへ計画の進行状況を丁寧に説明する。
それを聞いて納得したのかバハムートは頷いている。
「ご苦労だクロス。しばらくは好きに行動して良いぞ」
「では、私がカラドリウスと交戦しても?」
「良いだろう。ただし、絶対に死ぬなよ」
バハムートの言葉に納得したのか、クロスが笑いながらオレンジの光を放ち霧散していく。バハムートも灰色の霧に変化し姿を消した。




