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イマジナリゼロ  作者: 加賀美彗
コードの存在理由
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正体不明の世界

 刻矢達三人と二匹は川に水没した林の中にいた。マングローブと呼ばれている木々が無数に生えており、隣の根っこ同士が複雑に絡んでいる。木の太さは一般家庭の家くらいあり、高さは見上げるだけで目眩を起こしそうな程だ。

 巨大マングローブに反して間にある川はそこまで広くなく、女性でもジャンプすれば隣に移る事が可能な程の幅だ。

「おい、確か近くでコード・オンの言葉すら聞こえなかったぞ。お前らみたいに活気のある中での奇襲ならともかく。自宅には門の外と中に、不審者すら居なかったし」

 刻矢が不思議そうにナイトメアの世界を見回す。人がナイトメアに変身するためには必ず「コード・オン」という言葉を発しなければならないが、近くで自分達以外の声は聞こえなかったし人も居なかった。刻矢でもこういったケースは初めてらしく多少焦った表情をしている。

「まあ、僕もおかしいとは思ってるよ。六人もいて誰も気付かなかったんだからね」

 刻矢の言葉に錐彦も同意する。ナイトメアの力を実際に使い理解しているからこそ、今までのナイトメアとは違うと考えていた。イレギュラーに目を向けがちだが、そもそもこの世界を生み出したナイトメアは何だと刻矢と錐彦は考える。

「ナイトメアはエビやアロワナか?」

「淡水イルカというのも考えられるね」

 そんな二人の姿を彼方とノエル、クロエがマングローブの根に座りながら眺めていた。流石に空気は読めるらしく、二人の邪魔をしてはいけないと思った様だ。

「そもそも、ナイトメアは居るのかしらね。小物すら見えないし」

 そう言うと、彼方が手を伸ばし川の水を軽く叩いてみる。

 しかし、川からは何かが襲い掛かってくる事は無かった。水の中には何も居ないらしい。

「出てこないナイトメアか。厄介だな」

「手の出しようがないね」

 刻矢と錐彦は降参したらしくマングローブを背もたれにし座り込む。その姿を見て待ってましたと言わんばかりにクロエがやってくる。刻矢はクロエを抱き上げると彼女の定位置である右肩に乗せた。

 すると、今度はノエルが羨ましそうに刻矢とクロエを交互に見る。いつもは排他的なクロエだがおいでと言わんばかりに優しく呼び掛ける。ノエルは一瞬迷うが、ゆっくりと刻矢に近付き膝に飛び乗る。

「左肩じゃなくて助かった」

 そう言いつつ刻矢はクロエとノエルを撫でる。クロエは当然の事だとして堂々と構えているがノエルは嬉しそうに鳴いている。

「ノエルは空気が読めるお利口さんだから」

 彼方も刻矢の膝に乗っているノエルを撫でつつ二人と同じくマングローブに座る。

「レプリカだったら、そろそろ来ても良い頃だと思うんだけどねえ」

 錐彦が気楽な表情で景色を見ている。刻矢も同じ事を考えていた。レプリカだったら腹を空かせてやって来ても良いハズだ。そうでなければ注意力が無くなるのを待っているのか。あるいは遠くから見て楽しんでいるのか。今まで経験した事が無い現状を打破したいと刻矢は考える。右手を横にスライドさせ純白のナイトメアコードを出現させる。

「わあ、綺麗なコードね」

「意外と短気だなあ君も」

「やかましい。コード・オン」

 刻矢の身体が白い光に包まれ姿を変えていく。光が完全に止みカラドリウスへと変身した刻矢は上空を目指し羽ばたいていく。空に到達すると、刻矢は周囲やしたの林を見回してみる。

 しかし、特に変わった場所は存在しない。何の気配すらも感じない。仕方無いので、刻矢は一度下降し仲間のもとへ戻っていく。

「どうだった?」

「特に無かった」

「飛べるんだ、羨ましいわね」

 彼方が刻矢の翼を何度も触る。手触りが気に入ったらしく今度は頭を埋めてから満足そうな笑みを浮かべ始める。

「俺は羽毛布団じゃない」

 そう言うと刻矢は変身解除する。

「けち」

「けちで悪かったな」

 三人と二匹は再び振り出しに戻る。一方刻矢は外の奴等は大丈夫だろうかと心配していた。


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