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イマジナリゼロ  作者: 加賀美彗
コードの存在理由
21/104

優しい親子

「なるほど、化け物騒動主犯の一番と二番は刻矢君に倒されたってわけね。で、三番と四番――ああ、四番の通称はカラドリウスだったかしら? この二体は未だに存在していると」

「そうよママ」

 神宮寺麗那(じんぐうじれいな)が立ったまま、木製の机の向こう側でデスクワークしている母親・神宮寺英理(じんぐうじえり)の言葉を肯定する。

 麗那は現在天宮学園の理事長室にいる。赤いカーペットと黒のソファ、机と資料用の棚しかない正にオフィスレディの部屋と言った場所だ。

「まあ、オリジナルに出会って死ななかっただけましだと思った方が良いわ。人の心や記憶に興味がない場合は、暇潰しと称して殺しに掛かってくる奴もいるから」

「大丈夫よ。ナイトメアの空間に死なない程度居てから逃げ回れば、ナイトメアの毒素が体内に蓄積されて強くなるんでしょ」

 麗那が自信満々な表情で胸を張るが、母の英理は解って無いわねと首を横に振る。

「逃げ切れなかったあなたが言うかしら」

 英理の言葉で痛い所を突かれた麗那が気まずそうな表情を浮かべる。それを見た英理が深くため息をつく。

 英理は正直娘の麗那に戦ってほしくなかった。普段クールな雰囲気で顔には出していないが母親としての愛情からだ。また戦って傷付いてほしくない。それが本心だ。

 だが、娘の代わりとして刻矢(ときや)に戦わせてしまった事にも心を痛めていた。英理は元々が非情になりきれない性格のため、刻矢に対し申し訳無いと思っていたのだ。

「こんな時に彼方(かなた)未弦(みつる)が居てくれれば……」

 無い物ねだりだとは解っているものの英理は二人の親友の名前をつい呟いてしまう。親友の柊彼方は星神町西区の何処かに住んでいるという情報はあるものの、情報屋ですら口を割らないため実質的に行方知れずだ。

 問題は柊未弦。自分達を裏切った“あの男”さえ除けばナイトメアコードの知識に関して右に出る者はいない。

 柊未弦の情報は掴む事が可能だが現地に行ったら既に居なかったという場合が多い。いくら長年つるんでいた幼馴染みでも天才的思考ゆえに未だ何を考えているのか解らない男だ。

 加えてナイトメア対策組織日本支部の現状。アメリカの本部――セフィロト社から見捨てられほぼ孤立無援といってもいい状況だ。

 本当の意味でこの町の住人でナイトメアと戦えるのは柊夫婦とその息子刻矢。そして自分自身だ。あとは未だ野放しになっているナイトメアその物だろう。

「今後も課題が多いわね」

「ママ、大丈夫?」

「え、ええ平気よ。大丈夫、麗那は私が守るから」

 たとえどんな手を使ってでも。英理は心の中でそう呟いた。


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