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拝啓、勇者さま ~勇者と幼馴染の手紙の記録~  作者: 文月 ふな


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4 王国暦376年7の月3の週 リリーへ

 リリーへ。


 返事速過ぎ。さすがに驚いた。

 通常の手紙はもう少し往復に時間がかかるらしいけど、今は王城が気遣ってくれて、村と俺の手紙は迅速に配達されるように手配されてるらしい。本当に良くしてもらってるよ。


 リリーも父さん母さんも元気そうで何よりだ。父さんたちからの返事も受け取ったよ。次の手紙は……まあ、できるだけきちんと書くように努力する。一応。


 ここで王都の話を少し。

 王都は、当然といえば当然だけど、村とは規模が全然違うな。人は比べ物にならないくらい多いし、大きい建物もたくさんある。その最たるものが王城なわけだけど、街中にも大きな劇場とか神殿とか病院とか商店とか、とにかく見渡す視界のどこかには必ず大きな建物が存在してる感じだ。王都に来た当初は圧迫感を感じることもあったけど、最近はもう慣れたよ。むしろ大きな建物は目印になって便利だな。


 その中で俺がよく行くのは、王城と、王城に隣接してる騎士団の訓練場と、あと神殿かな。どれも勇者としての勉強や訓練に欠かせない場所だ。

 休日は疲れて寝てることも多いから、城下街にはあまり行ってないな。今度余裕がある時に討伐仲間に連れて行ってもらうのも良いかもな。


 討伐仲間の魔術師のケインは穏和で、親しみやすいよ。訓練中だけじゃなく休日も気安く交流できる貴重な友人だ。性格は穏やかなのに魔術の天才で、小さい魔物ならケインだけでも簡単に倒せるすごい奴だよ。


 他には騎士団に所属してる剣士のアドリーという奴がいるんだけど、こいつがとにかく強くて、訓練中に何度もぼこぼこにされてる。村では俺が一番強かったけど、所詮井の中の蛙だったんだなと痛感させられた。剣の技術も胆力も俺なんかじゃ到底及ばないくらいの剣士で、本人は気さくで良い奴だ。……少しだけ筋肉馬鹿で、スイッチが入るとまるで変態みたいな筋肉話が始まるという欠点はあるけど。


 毎日の訓練は確かに大変だけど、その分きちんと成長している実感もあるから、実はそんなに苦痛ではないんだ。何より、新しく剣術や魔術を学べることが楽しいと感じてる。まだ魔王と戦う実感があまりないからそう感じるだけかもしれないけど、思いのほか俺の王都生活は充実してるよ。


 もちろん、時々無性に村が恋しく感じることもある。それでも、今こうして村を離れて過ごす時間は、村の平和な未来を守る為に必要なものだと分かってる。だから、頑張れる。

 魔王を討伐し終えて村に帰る頃には、リリーも立派なレディになっているらしいしな。想像もできないけど、楽しみにしておくよ。


 さて、長くなったのでこれくらいにしておくか。残りの討伐仲間の話はまたの機会に。


 ククより。


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