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拝啓、勇者さま ~勇者と幼馴染の手紙の記録~  作者: 文月 ふな


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30 王国暦377年1の月1の週 リリーへ

 リリーへ。


 騎士団の奴には幼馴染の話はした。やんちゃでお転婆で口うるさい幼馴染がいるって。それでしたり顔してただけじゃないのか? 別に変なことは話してないぞ。


 俺にやたら厳しいマルク爺さんは正直苦手だったけど、やっぱり腕は確かだったんだな。もちろん俺の才能もあると思うけどな。なんにせよ、ちゃんと結界が張れててよかった。


 随行する騎士団に新聞記者も一人混ざってるんだ。勇者の魔王討伐状況を国民に知らせるためらしい。多分そいつが書いた記事じゃないかな。

 言っておくが俺は帰ったらリリーの面倒を見ないといけないから、パトリシアの相手なんてしてる暇はないぞ。そもそもパトリシアはアドリーのことが好きなんだ。しょっちゅう受けてる相談もアドリーのことだし。


 新聞記事には時には脚色も必要かもしれないけど、事実と大きく異なる記事を書くなら記者はこの辺で置いてくか。


 というのは半分冗談だが、どっちみちそろそろ騎士団とは別れて魔の森に入ることになると思う。

 そうなるとさすがにギルド網を使って手紙を届けてもらうのが難しくなる。


 実はケインが魔道具を作ってくれたんだ。手紙と一緒に送るけど、この箱の中に送りたいものを入れると、俺が持ってる対の箱に転送される仕組みになってる。逆に俺の箱に入れたものは、リリーの持つ箱に転送されるそうだ。今後は手紙はこの箱の中に入れてくれ。でも付与されてる魔術の発動の為の魔力回復に数日かかるらしいから、一度送ると一週間くらい待たないと次を送れないそうだ。使ってくれると嬉しい。


 ククより。

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