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拝啓、勇者さま ~勇者と幼馴染の手紙の記録~  作者: 文月 ふな


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2 王国暦376年7の月1の週 拝啓、村の幼馴染どの

 拝啓、幼馴染どの。


 手紙、受け取りました。お察しの通り、俺は現在、王都の王城で日夜訓練に明け暮れています。それを言い訳にするわけではないけれど、本当に日々が怒涛の勢いで、なかなか落ち着いて筆を執る時間がありませんでした。気が付けばもう半年も経っているという事実に、俺自身愕然としています。


 さて、こちらも堅苦しい言葉はなしにして。


 リリー、元気にしているか? 昔からお転婆だったお前のことだから、きっと今も毎日村を駆け回っているんだろうと思うが。


 俺はやっと王都での生活にも慣れてきたところだ。こっちに来たばかりの頃はどこへ行っても人だらけで、目が回りそうになってたよ。今まで十七年辺鄙な村で生きてきた身だからな、一生分の人に会った気分だよ。

 王都に来た頃は村との違いに戸惑うことも多かったけど、周りの人に支えられながらどうにか少しずつ馴染んできた感じだな。日々の訓練にも追われて、否応なく慣れたと言えなくもないが。


 今は王の計らいで、毎日騎士団と一緒に剣や魔法の訓練を受けさせてもらってる。一緒に魔王討伐の旅に出る予定の仲間たちも訓練に参加していて、少しずつ打ち解けて来てると思う。背中を預けあう仲間なわけだから、できるだけ仲良くなっておきたいよな。


 件の仲間たちについては、詳細はまた今度俺の余力がある時に書こうと思う。


 そんな感じで、王都での俺の暮らしは今のところ順調だ。半年間手紙の一つも書かなかったことは悪かったと思ってる。一応両親への手紙も同封したから、今頃は父さん母さんの手に渡ってるんじゃないかな。俺もだいぶ余裕が出てきたから、今後はもう少しこまめに手紙を書くようにするよ。

 じゃあまたな。


 王都でしごかれ中のククより。



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