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星神機ミソロジア―孤独を抱く瞳に白翼の道標を―  作者: 巴 雪夜
第六章:彼らの想いを胸に

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第36話 どうか、見守っていてほしい

 再び格納庫に戻ってみれば、ザフィーアは整備員たちに励まされていた。


 研究員たちはデータの確認作業で忙しそうにしている中、整備員が「大丈夫だよ」や、「安心して」と声をかけているのが聞こえてくる。


 何となくというよりも、絶対にこれだろうなといった原因をアルフィルクは察して、ザフィーアの足元へと歩み寄る。



「グラナートなら無事だ」


『本当かっ!』


「嘘を言ってどうするんだよ。ちゃんと確認してきたから安心しろ」



 冗談にもならない嘘なんてつかないとアルフィルクが言い返せば、ザフィーアは深く息をついたように「そうか」と言葉を発した。


 アルフィルクの言葉に整備員たちが「ほら、言っただろ」とザフィーアに声をかける。



「お前、ちょっとは落ち着けよ。整備員たちに迷惑をかけんな」


『そうだな。アルフィルクが確認してくれたのならば安心だ。大人しく整備を任せよう』



 ザフィーアはすんっと大人しくなる。兄弟の無事が余程、嬉しかったのだろう。安心したといったふうに。



「いやー、助かった。ザフィーアが大人しくしてくれなくて、整備が進まんでな」



 整備長がははっと大きく笑う。これでグラナートのほうに向かえるわと。



「グラナートのことは任せとけ」


『あぁ、頼む』



 整備長がグラナートの元へと向かっていくのを見送っていると、入れ替わるようにポラリスがやってきた。


 駆け足でアルフィルクの元までやってきて、「大丈夫」と拳を作って胸元まで上げる。


 どうやら、身体検査に問題はなかったようだ。元気というのを伝えたかったのだなと、アルフィルクは気づいて「よかったな」と肩をぽんっと叩く。



「グラナートたちは無事だ」


「よかった、無事で」



 ポラリスもほっと息をつく、胸に手を当てて。ザフィーアを見上げて「よかったね」と笑みを見せた。


 あとは目覚めるのを待つだけだ。グラナートの解析が進めば、フィーニスコアの居場所だけでなく、何かしらの情報が手に入るかもしれない。


 これからなのだとも思うが、今は作戦が成功したことを喜ぼう。アルフィルクは首から下がっている星のペンダントに触れた。


(俺たちを見守ってくれ)


 あんたの意思は無駄にはしない。アルフィルクはぎゅっとペンダントを握りしめる。


 それからゆっくりと離して、ザフィーアと話すポラリスに目を向けた。


 少し前までは感情が読めなかったというのに、今では顔に出るまでにポラリスは明るくなっている。


 成長なのか、変化なのか。アルフィルクには分からなかったけれど、泣き顔よりは良いと思った。



「アルフィルク、どうしたの?」


「別に。ザフィーアは整備員に迷惑かけんなって思っただけだ」


『それは、申し訳ないと思っている。が、グラナートを心配するのは当然だろう』


「だからって、迷惑かけていいわけじゃねぇだろ」



 アルフィルクが誤魔化すようにそう言えば、ザフィーアは迷惑かけた自覚はあるようで、言い返すことができずにうむと呻る。


 話を聞いていた整備員たちの笑う声がして、少しばかり周囲の雰囲気が和らいだ。



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