祈り想って、唄う side.フォルティア
異星の民に年月を数える習慣はなかった。ただその日その日を大切に過ごしているだけ。
水の惑星――アリアに降り立ってから年月を数えるようになった。一日、二日、一ヶ月……一年と。
故郷の星が滅びてから十六年間、ずっと一日を数えていた。星海に眠る友たちを想いながら。
たった一人と一機の親友だけしか自分を知る存在はいない。寂しいと悲しいと泣きたくなったことは、行くとどなくあった。
けれど、泣くことはしなかった。救ってくれた友たちの優しさを無駄にはしたくなかったから。
ユーストゥスがフィーニスコアの元へと行ってしまって、自分の不甲斐なさに怒りを感じた。
何故、どうして、気づいてあげられなかったの。
あの子の優しさに助けられてしまった。
一人にしてしまったのだ、わたしたちは。
助けなくては、絶対に。巻き込まれてしまったこの星の子と共に。
また一人、巻き込んでしまった。ザフィーアが民間人をパイロットとして、選定して。
この星の未来を託された子。訳も分からず、生きる意味など知らずに。
彼もまた被害者なのだ。多くの人々を巻き込んでしまっている。
(これはわたしたち星人の咎なのでしょう)
フィーニスコアを産み落としてしまったことへの罪。その全てを受け止めなくてはならない。
(必ず、打ち倒さなければならない)
フィーニスコアを打ち倒し、この星を救わなければならないのだ、わたしたちは。
『オリジンビリーブ調律――』
オペレーターの指示が耳に装着されたインカムから聞こえる。
いくつもの機器が配置されている室内の中心にオリジンビリーブは鎮座していた。
女神のような出で立ちで複数の翼をゆっくりとはためかせている。いくつもの帯を纏う彼女の足元にフォルティアは座っていた。
機器に繋がれながら、フォルティアは瞼を閉じる。オリジンビリーブの調律を始めるように。
ユーストゥスが、シリウスが、グラナートが助けを求めている。
彼女たちを助けるために、ザフィーアたちが戦ってくれている。
失敗は許されない。すっと大きく息を吸って、フォルティアは深く吐き出した。
不安がないわけではないの、だって怖いって思うのは生きとし生けるもの全てが抱く感情だから。
(わたしは信じているわ)
戦っている彼らを。だから――
「わたしたちも応えましょう」
信じてくれている彼らの想いを胸に。
フォルティアはゆっくりと瞼を上げて真っ直ぐにモニターを見つめた。
星海に眠る友たちよ。
どうか、彼らにこの歌を届けてほしい。
想いを背負い、オリジンビリーブは唄った。




