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定められた物語<ログストーリー>  作者: 霖雨 晴流
第二章 岩石の国と何かに限りなく似た物
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Rb.24 四癒奈の憶測

「まず、事件のおさらいからはじめましょうか~♪現在サフラーに起きている二つの事件、そのうちの一つは何も盗まれていない窃盗事件、もう一つはその窃盗事件の犯人と思われる無関係の人が次々と逮捕されていく冤罪事件、ですね~♪その二つの事件について深く考えてから、犯人の特徴について考えましょうか~♪」

「窃盗事件と冤罪事件………考えなくても、二つとも変な事件ではあるよな…」

「そうね。何も盗んでいないのに窃盗と言われ、さらには無関係の人が捕まえられていく…よく考えてみれば、窃盗というより不法侵入なんじゃないかしら?」

「まぁそうですね~♪その話はあまり関係がないのでここまでにします~」

「関係ないのか?」

「完全にないとは言い切れませんが、二つの事件においての重要度は低いです~犯人は大胆な事をしていますから~」

「その口ぶり、四癒奈ちゃんは犯人を知ってるの?」

「憶測ですが、大体目星はついていますよ~」

「ついているなら、教えてくれてもいいんじゃないかなー………」

「それはめっ!ですよ~!ちゃんと自分で考えてくださ~い♪」


 四癒奈は少しかがんで人差し指を前に出し、笑顔で注意するポーズをとる。


「さて、おさらいもしましたし~、お次は冤罪事件について深く考えてみましょうか~♪」


 すっと元の姿勢に戻った四癒奈はそういって両手を合わせる。


「皆さんは、冤罪事件がなぜ起きているのか、疑問に思った事はありませんか~?」

「なぜ、起きている…のか…ですか……窃盗事件、の犯人の容姿…が偶然、一致しているから……です…よね…?」


 耐笑が少し言葉が詰まりながらも答える。


「そのと~り~♪でも、不思議だと思いませんか~?窃盗事件が多発しているのに、犯人の容姿は冤罪で捕まえられた人たちにそっくり…犯人の容姿が、まったく一致していませんよね~♪」

「言われてみればそうだな…でも、なぜ兵士達はその事に疑問に思わないんだ………?」

「そこは~……14にもよくわかっておりません~………」


 四癒奈は頭を下げる。


「その話はいったん置いておきまして~、窃盗事件の犯人と冤罪事件の犯人、一致していませんよね~?それは、なぜだと思いますか~?」

「………………………犯人が、変装している…って、事?」

「そのと~り~~♪」


 四癒奈は軽く拍手する。


「この国に住む方々は皆、どうしてかその事に気付いておりません~…ですが選ばれた数字(ポインター)である14達は別です~♪」

「……犯人が変装して国民に冤罪をかけている事はわかった。でも、事件の頻度が高くないか?犯人って複数人いるのか?」

「いえ~~犯人は一人、多くても二人ですね~♪」

「えぇ………………………??」


 四癒奈の言葉に、耐笑と踊子が混乱する。


「一人か二人………?どうやって変装用の服を作るんだ……?二日三日の間でできるはずがないだろ………」

「これは14の憶測なんですが~~犯人は本当に大胆な方法で変装しているんです~~♪」

「大胆って……?」

「それをお教えするには、もう少し覚悟が必要ですね~♪」

「覚悟………覚悟って、なんの………覚悟……………ですか…………………?」

「それはですね~~~………現実と向き合う覚悟………ですかね~♪」

「現…実…」


 零がぽつりと言う。


「犯人は誰なのか…気になるのはよ~くわかります~♪でも、今はまだ、我慢のお時間ですよ~♪もうすこし、覚悟を決めてから、真実をお話しましょう~♪」


 四癒奈は笑顔で話し続ける。


「続いては、犯人の倒し方、ですね~♪」

「倒し方って…変装を暴いたら終わりじゃないの?」

「いえいえ、決してそういうわけではありませんよ~~♪14達は相手が変装する事は知っていても、変装する力については全く知りません~♪故に、変装が暴かれて本来の姿を現したとしても、すぐにどこかに隠れて変装する可能性もあるんです~~♪」

「そうか、まだ漠然とした情報しか取り入れていない状況か………」

「あ~でも~、倒し方と暴き方は近いかもしれません~~♪それでは、倒し方を説明する前に、暴き方をお教えしましょうか~~~♪」

「変装の暴き方………思いつきそうにないな…」

「いえいえ~とっっっても簡単で、誰でもできる事ですよ~♪」

「わ、わたしにもできる………ですか………?」

「もっちろんです~♪」

(誰でもできるほど簡単な暴き方………いったいなんだ…………………?)


 零が考えていると、四癒奈の口からは想像できない言葉が飛び出した。


「それは~~『相手を直接ぶん殴る!』です~~~~♪」


「「………………………えっ?」」


 あまりにも暴力的な方法に、四人の思考が停止した。


「えっ、まってまってまってまって、殴…………………るの………………………?」

「はい~♪思いっきり殴ります~♪」

「その…………何か比喩みたいなものではなく……………?」

「いいえ~♪拳で、顔面を殴るんです~~~♪」

「いやおかしいだろ!?そこまでする必要はないんじゃないのか!!??」


 満面の笑みで話す四癒奈に、零はテーブルをダンッ!!と強く叩き、身を乗り出す。


「いえいえ~、これにはちゃんとした理由があるんですよ~~~~~♪」

「理由がなかったら本当におかしいわよ……………」


 零は席に座り、猫は少し身を引いた。


「まずお聞きしたい事がありまして、皆さんは変装する魔法をお聞きしたことはありませんか~?」

「ない………ですね…………」

「ないわ。」

「ないな~」

「リベルタージュでもそう言った魔法は効いたことがないな。」

「そうですよね~、14も聞いたことがありません~♪」

「それが、犯人を暴くことの何と関係があるのよ。」

「それは後でわかります~♪アリスこと有栖川さん、あなたはリベルタージュで戦ったイロカ・ヴァレさんは、どのような魔法を使っていましたか~?」

「どのような………言霊魔法っていう、誰も聞いたことのない魔法だけど………」

「なるほど~、そして、彼女は一般人と違う変わった物を持っていましたよね~♪それは、何でしたか~?」

「一般人とは違う変わった物………?」


 零は少し考え、数秒後はっとした表情を見せた。


「もしかして、紫色の血!?」

「そのと~り~♪」

「な、何それぇ………?すっごく怖いんだけど………………」

「イロカはリベルタージュの事件発生時、彼女自身が流す血と彼女が斬った人の血がすべて紫色になるという不気味な力を持っていた………もしかして犯人も同じだって言いたいのか………!?」

「そのと~り~♪」


 零は驚いていたが、冷静になって眉をひそめる。


「いや、本当にそうなのか………?イロカだけが特殊だったとかじゃ………………それに、血を見るだけならわざわざ殴らなくてもいいだろ……………」

「その可能性は捨てきれません~……ですが、やってみる価値はありますよ~~?とりあえずボッコボコにすればいいんです~!!」


 天使のような笑みで四癒奈は言う。


「言いたい事はわかったわ………言い方に難ありだったけど………………でも、犯人の特徴がわかるにしても、どうやって探せばいいのよ。手当たり次第に血を見せてなんて言えるわけないじゃない。」

「そ~ですね~♪ですので、お次は犯人を絞る方法について考えましょうか~~♪」


 四癒奈は両手を合わせて言った。


「犯人を絞る方法………ですか……………十王さんは、もう、犯人が誰なのか…わかっている…はず…じゃ………」

「14はただ憶測を話しているだけです~♪それが本当かどうかはわかりません~♪もし14が考えている犯人が当たり出なかった場合、ふりだしに戻ってしまうんですよ~~?」

「ふりだし…」

「とても大変ですし~とても迷惑なので~そうはなりたくありませんよね~?」

「そう……ですね…………」


 耐笑が少し眉を下げると、四癒奈は垂れた兎の耳を上にピンッと伸ばし、頭上に「!」を浮かべたかのような動きを見せる。


「あぁ!そうでした~!犯人を絞る方法を考える前に~犯人はどのようにして変装しているのか考えましょうか~♪」

「魔法で変装しているって、さっき四癒奈は言ったんじゃないのか?」


 零の答えに、四癒奈は兎の耳を垂れさせて静かになる。


「そ…そ~でしたっけ~……」

(四癒奈の耳………どうなってんだ………?)

「あれは四癒奈ちゃんが変装する魔法を聞いたことがあるかって聞いただけじゃないの?」

「あっ……そうか………でも、犯人が短時間で変装用の服を作れるとは考えにくい。ならば魔法で作っているとしか考えられないんだけど………………」

「う~ん、一理ありますね~♪容姿を真似するだけの目的ならば、無理にこだわる必要はありません~♪夜は誰もが視界を奪われる時間、あまり見えていなければ、目の前にあるものが本当に服かどうかわかりませんよ~♪」

「つまり、布で作ったんじゃなくて、紙や泥で作ったって事なの?」

「紙は可能性がありますが、泥はわかりませんね~………………」

「二日三日で服を作るならば…………ありえるか?」

「………………いいえ、それは不可能よ。」


 零が悩む様子を見せると、猫がきっぱりと否定した。


「それは、どうしてですか~?」

「窃盗事件は各地で起きているのでしょう?犯人は紙で服を作っているとしても、場所を変えないといけないはずよ。移動時間を考えると、服を作る時間なんてあるのかしら?」

「空間魔法のテレポートを使った、とかは?」

「それも難しいと思いますよ~?ヴォルカンに住む魔法使いなら可能性はありますが、この国に住む魔法使いは長くても二つ隣の村までしか移動できません~♪実は二週間前、サフラーの最北東の村で、その二日後に最南の村で事件が発生したんですよ~♪」

「最北東の次に最南…………それは難しいな…………」

「そ~ですね~♪」

「で、では……本当に、魔法を使って変装している………と、いう事ですか………………?」

「その可能性が、ひっじょ~に高いですね~♪」

「なるほど………………変装魔法…ねぇ……なかなか厄介な魔法だけど、何か欠点があるんじゃないかしら?」


 四癒奈は猫の言葉に反応し、耳をピーンと縦に伸ばす。


「おぉ~!!す~るどいですね~~!そのと~り~♪実はその魔法の欠点が、犯人を絞る方法に関係しているんですよ~~♪」

「魔法の欠点が………?」

「はい~♪この世界に完璧な魔法は存在しません~♪必ず、どこかに欠点はある物なんですよ~♪実際、言霊魔法にも欠点はありましたよね~♪」

「確かに、言霊魔法は強いけど、命令を聞かなければ魔法の影響を受けない欠点があったな…」

「そ~ですね~♪変装魔法も同じで、強い魔法には大きな欠点があると14は思います~♪」

「欠点とは言っても………どういった欠点があるんだ………………?」


 零の言葉に合わせて、猫は顎に手を添える。


「魔法って、イメージすれば発動されるのよね?魔法を使って服を作るのなら、まずは服をイメージできるようにしないといけないわよね?」

「そ~ですね~♪でも、イメージするのは服だけでしょ~か~?」

「…?暗いなら、別に服だけでもいいんじゃないか?仮に見つかったとしても、被り物をしていれば顔は見えないんじゃないか?」

「はたしてそ~でしょ~か~?変装をするにしても、誰に変装するのか、という考え方は重要だと思いますよ~?」

「そうね。被り物をしない人もいるし、一人一人体格が違うわ。だから、容姿もしっかりと変装しないと簡単にばれてしまうわね。」

「そのと~り~♪」

「た、たしかに………」

「では、どのようにして容姿と服装の情報を得ていると思いますか~?」

「地道に、こっそり…調べていると…怪しまれて……すぐに、ばれてしまう……です…………よね……」

「かと言って堂々としているのも、ばれやすいと思うだけれど…………」

「大胆、堂々……情報………」


 零ははっとした様子を見せる。


「もしかして……『アパタイト』のライブ………!?」

「おぉ~!そのと~り~!!」


 四癒奈は拍手した。


「『アパタイト』のライブに関連している間、ファンは『アパタイト』に目線が集中します~♪犯人には絶好のチャンス、ですね~♪」

「………………でも、犯人は絞れないんじゃないかしら?もし四癒奈ちゃんの言っている事が本当なら、犯人はライブにほとんど参加しているって事になるじゃない。どこでライブするかわからないのに、ライブに言って情報を集めるなんて難しいわよね?」

「一度のライブで多くのファンが来るから、情報は多く得られるんじゃないか?」

「いいえ~♪犯人はすべてのライブに来ていますよ~♪」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??どうやって来てるの!?そのファンすごすぎでしょ!!??」


 四癒奈の言葉に踊子はテーブルに身を乗り出す。それに対し四癒奈はこてんと頭を傾け、笑顔で言った。


「14は、『犯人はアパタイトのファン』とは、一言も言っていませんよ~?」

「えっ………………?」

「いるじゃ~ないですか~♪『アパタイト』のライブにすべて参加している、大胆な行動をしている方々が~♪」


 四癒奈の人を試すような口ぶりに、零と猫は真実に気付いた。


「もしかして犯人は……『アパタイト』………………なの………………?」

「そのと~り~♪♪よくその結論にたどり着けましたね~♪」

「そ、そんなわけないでしょ!!??」


 四癒奈が再び拍手する中、踊子は興奮気味に反論する。


「あの、あの二人が、犯人なわけがない………………!!!そんなはずが………………!!」

「落ち着いてください踊子さん~♪14はただ憶測を言っているだけです~♪間違っている可能性もありますよ~♪」

「でも、『アパタイト』が犯人ってなると、納得はするけど…………それだと、『アパタイト』はライブ中にもかかわらず犯行に及んでいるって事じゃないか?」

「いいえ、今のところ、事件はなぜかライブの日だけ起きていないわ。」

(なんだその都合のいい情報……)

「とにかく~♪犯人は『アパタイト』である可能性が高いんですよね~♪」

「だから、現実と向き合う覚悟が必要って言っていたのね………」


 踊子は席に座り、冷静を取り戻す。


「確かに、覚悟は必要だったな…」

「そう…………ですね…………………」

「もしかして、倒し方についても、覚悟は必要なのか?」

「ここまで話しておいてなんですが~、倒し方については説明しなくても大丈夫そうですね~♪」

「まぁ、私は何ともないけど、『アパタイト』のファンである踊子ちゃんは、辛いでしょうね………」

「………………」


 猫は少し絶望したような踊子に目をやる。


「『アパタイト』はライブを通して人の容姿や服装を知り、得た情報を基に変装魔法で変装し、犯罪をする………これが、14の憶測です~♪」

「大胆だな…」

「そ~ですね~♪」

「でも、問題はどうやって捕まえるか、よね………当然、本人に言ったところで、否定されるでしょうし…………」

「場合…によっては、ファン…の方々、を敵に……回しますよね………」

「ご安心くださ~い~♪ここで、犯人を暴く方法が、役に立つんです~♪」

「………………っ!『アパタイト』を、殴る!?」

「そのと~り~♪」

「いえ、血を見せてくださいって、頼めばいいんじゃないかしら………………」


 頭上に「!」を浮かべて話す零と、拍手する四癒奈に、猫は少し引き気味にツッコミを入れる。


「その方法が、一番ですね~♪」

「じゃ、次のライブの最終日に『アパタイト』に聞くとするか…………」

「それもそうですが、時間はそう待ってくれないみたいですよ~?」

「………………どういう事?」


 四癒奈はギルドの出入り口に目をやると、突然バンッ!と大きな音が響き、兵士が声をあげた。


「動くなっ!!八幡 踊子はどこにいる!?そいつが窃盗事件の犯人だと情報が入ったぞ!!」

「………………………………えっ?」

次の話は6月24日に投稿予定です。

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