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定められた物語<ログストーリー>  作者: 霖雨 晴流
第一章 自由都市と言霊
13/18

Rb.12 準備の時間

 二日後の朝……


「はぁ~やっと包帯とベッドから解放された~」

「体が動かせる………」

「完治を果たしたとて油断はするな。我々の肉体にはまだ戦の残響が刻まれている。しばしは静寂の檻に身を置き、力を研ぎ澄ますといい。」

「そうだな。それはそうと、まさか完治するまで三日かかるとはなぁ。」

「逆に、三日だけで完治できただけいいんじゃないか?回復魔法がなければもっとかかっていたんじゃないかな。」

【とりあえずリベラ王に会いに行こ!!】


 六人は王室へ向かった。




 六人が王室に入ると、ボディビルポーズをとったリベラ王がいた。


「おおおおおおおおおお!!!!ついに、ついに復活したか!!」

「やべっ!あれが来るぞ!」


 零、二菜、三奇、四炉は力斗と正哉の後ろに隠れる。リベラ王は体を動かす。


「苦難を乗り越えし者達よ!!」


 リベラ王が二度目のボディビルポーズをして衝撃波を放つ。


「リベルタージュに平和をもたらした者達よ!!」


 リベラ王が三度目のボディビルポーズをして衝撃波を放つ。


「よくぞ!!」


 リベラ王が四度目のボディビルポーズをして衝撃波を放つ。


「よくぞ!!!」


 リベラ王が五度目のボディビルポーズをして衝撃波を放つ。


「よぉぉぉくぞイロカヴァレを倒してくれたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 リベラ王が六度目のボディビルポーズをして衝撃波を放つ。


「感謝するぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!」


 リベラ王が七度目のボディビルポーズをして衝撃波を放つ。


「くっっっ…………!!」

「強っっ…!!」

「体勢を崩すな…!耐えろっ!」


 零達は力斗と正哉にしがみつき、衝撃波に耐えようとする。衝撃波が収まると、王室はもはやただの何もない屋上となっていた。


「…………む、今日は一段とやってしまったな。すまない。」

「いえ、いいんです……」


 リベラ王は壁と玉座と机を吹き飛ばしただけでなく、床にも亀裂を入れていた。零が話す直後、王室だった場所の床が崩れ、七人は宙に浮く。


「「……………………えっ?」」

「む?」

「あっ……………」


 七人は重力に従って落下する。


「わあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「おわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「きゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


 王室は地上から非常に高い場所にあり、真下に別の城の部屋の屋根があるとはいえ、人が落下死するには十分な高さだった。二菜は叫びながらも武器石(ウェポンブロック)を杖に変え、魔法を唱える。


「風魔法 ウィンド!!!」


 七人の真下に魔法陣を出し、そこから真上に向かって強風を放つ。するとリベラ王以外の六人の落下速度が低下し、それと同時に風も弱まる。


「ふぅ、よか」


 二菜が安堵した直後、リベラ王は風の影響を受けず、屋根を破壊する。


「……………………えぇっ?」



 六人は魔法陣の上で浮遊したが、リベラ王は屋根を突き抜けて部屋の中に落下した。


「リベラ王ーーーーーーーー!!!!????」


 零、力斗、二菜、四炉が叫ぶと、リベラ王は何事もなかったかのように着地した。


「やってしまった………………まさかここまで破壊してしまうとは…………」


 骨折では済まないほどの高さから着地したにも関わらず、リベラ王は依然として元気そうに周りを見渡す。


 二菜は部屋の床に魔法陣を出し、そこから風を出して六人をゆっくり落下させる。六人が無事に着地すると、部屋の扉から兵士が飛び出す。


「国王様!!何か事件でも起きましたか!?」

「む、あぁすまない。これは私が壊してしまった。すまないが、修理をお願いできるだろうか。」

「そうでしたか。それでは、修理班を呼んでまいります!!」


 兵士はそう言って敬礼し、部屋を出た。


「………………さて、まさかここまで壊れるとはな。私も思わなかったぞ。危険な目にあわせてすまなかったな。」


 リベラ王は右手を自身の後頭部に置き、少し困ったように苦笑する。


「二菜のおかげで死なずに済んだぜ…………」

「足元の世界が崩壊し、虚無へと叩き落されるその刹那、あぁ、ここで命運は尽きたか、と魂が静かに終焉を悟った…」

【床が壊れて高い場所から落ちる時、本当に死んだかと思ったよ…………】


 三奇と四炉が体を震わせ、今にも倒れそうな顔で言う。二人の尻尾は少し膨張しており、『驚き』と『恐怖』を表しているようだった。


「すまない……あまりにも気分が高揚してしまってな………場所を変えるとしよう。天井のない場所は開放感があってよいとは思うが、これから話す事にこの場所は合わん。」


 七人は部屋を出てエントランスホールに向かった。




「改めて、有栖川 零、一ノ瀬 力斗、御守 二菜、速水 三奇、術勢 四炉、九十九 正哉よ。リベルタージュを救ってくれてありがとう。本来ならば私が解決すべき大問題であり、最悪君達の命を落とすかもしれない非常に危険な依頼だったのだが、見事、君達は達成した。本当にありがとう!この国を代表して礼を言わせてもらう。」


 リベラ王が深々と頭を下げ、零と二菜と四炉が慌てる。


「リベラ王!頭をお上げください!!」

選ばれた数字(ポインター)には国の問題を解決する力を持ち、魔王討伐を目指す。それに、都市の平和につながるのであれば、依頼を受けて当然だと思います。」

「しかし、この事件についてはイロカ・ヴァレの気持ちを全く考えていなかった私にも責任がある。その事についても謝罪させてほしい。」

「解決できたのならもういいんじゃないですか?それに、おそらくイロカの性格を変えさせたのはおそらくこのカードが原因でしょうし…」


 零はそう言って『74』と書かれたカードを取り出す。


「それでも、私は君達に謝罪したい。すまなかった。」


 リベラ王は頭を下げたまま動こうとしない。


「カード…性格…魔法…」


 三人が慌てる中、正哉はぶつぶつと独り言をつぶやいていた。


「正哉、どうかしたか?」

「ううん、何もないよ。」

【そういえば、毒道の森って紫色の道があるからそう呼んでいて、時間がたてばあの道は元の色に戻るんですよね?それだと毒道の森が毒道じゃない森になってしまいます!リベラ王、あの森の名前を変える予定はありますか?】


 リベラ王が顔を上げ、三奇が書いたホワイトボードを見る。


「あぁ、名前を変える予定なんだが、どんな名前にしようか悩んでいてな。いずれ募集をするつもりだ。」

【そうなんですね。】

「じゃあ、俺達が森の名前を決めるのはどうですか?」


 零の提案にリベラ王の表情が明るくなる。


「本当か!?それは助かるぞ!」

「でもよ、あの森の名前どうするんだ?道も整備されて少しは明るくなるだろうし、そうなったらいたって普通の森になってしまうぜ。」

「いや、実は思いついている。あの森に毒のような道があったけど、時間がたてばなくなる…つまり解毒されたって事になるんじゃないかと思って。だから解毒の森って名前はどうですか?」



 ・・・。



「…あれ?」

「う、うーん…………どうだろ…………」

「案としては悪くはないんだけどね…」

「俺はいいと思うぜ!!」

「我も異論はない。」

【悪くはないと思うよ!】

「では、もしほかに案がなければ、その名前にするとしよう。」

(なにこの微妙な空気……!?なんか、恥ずかしくなってきた………)


 零は顔を赤らめた。


「まぁこの話はいったん置いといて、君達はこれからどうずる予定だ?もし、時間があるならばパーティーでも開こうと思っているのだが。」


 リベラ王の言葉に数人の目が光る。


【パ、パーティー…………!!!】


 零は何か言おうとしたが、一瞬頭痛が再発する。


(また……!?)


 しかし頭を抱える前に頭痛は収まる。


(な、なんだったんだ今のは………?そういえば、一昨日もこんな事があったような……)

「零はどうするの?」


 零が過去の事を既視感を覚えていると、二菜が零を見て言う。


「俺?どうしようか………俺はなるべく早いうちに隣の国に行きたいんだが………」

「む、もうサフラーに向かおうと思っているのか?岩石の国と言われるサフラーはこことは景色も気温もも何もかもが違う。考えなしに行くよりも、一週間ほど時間をとって準備はしておいたほうがいいと思うぞ。」

「そう、でしょうか…俺はイロカとの戦いに感じた事を少しでも忘れないように次の戦いに生かそうと思っていて……」

「ふむ………有栖川 零はサフラーでも事件が起きていると思っているのか?」

「えっ?いや、決してそんなつもりは…」

「いや、合っているぞ。」

「合っている…?」


 リベラ王の言葉に零は首をかしげる。


「君達はここから魔王城へ向かうわけだが、その道中で最短でも三つの国を渡ることになる。東に進むだけでも、サフラー、フィシ、ヴォルカンの三つの国を渡る。ヴォルカンは現在事件が起きているとの方向くはないが、サフラーとフィシでは事件が起きている。サフラーの地中や地上にある岩石の中には宝石が山ほどあってな、宝石の国とも呼ばれている。だが、近年、何者かが他人の家に侵入し、宝石を盗むという事件が多発している。だから君達が解決する問題はおそらくそれだろう。次にフィシに起きている事件なのだが、これは100年以上前から発生している事件でな……フィシは自然に囲まれ、家や門、ありとあらゆる物が植物でできているのだが、それらの植物が突然大きさが変化したり、魔物になってしまったりなど、おかしな事件が発生している。あと、最近は少子化が問題になってきているそうだ。詳しい事はまだわからないがな。」

「そうなんですね…」

「あぁ、奇妙な事に、国ごとに環境が全く異なっているから、その国に行くのであれば。それなりに準備はしておいたほうがいい。私から言える事はこれくらいだ。後は君達で決めるといい。」

(準備…準備かぁ……)

「準備が必要とおっしゃいましたが、具体的にはどのような準備が必要なんですか?」

「ふむ、資金は前金で足りているだろうし、後で報酬を渡す予定だから気にしなくてもいいな。食料と衣類もこちらが用意しよう。君達、後で採寸をしてもよいか?」


 リベラ王の質問に、六人は頷く。


「感謝する。移動については…君達の中に、テレポートを使える者はいるか?」

「空間魔法のテレポートですか?それなら私使えますよ。」


 二菜が手を上げて言う。


「そうか。それならあまり気にしなくてもよいな。都市から一番近いサフラーの町でさえ、馬車で数日かかる程に距離はある。テレポートがあるなら、日中に移動はできるだろう。あとは…そうだな…」


 リベラ王のは少し考え、口を開く。


「他国に住む魔物や、他国の地形、そして歴史は知っておいて損はない。つまりは知識が必要だな。」


 リベラ王の言葉に、零と二菜の耳がピクリと動き、正哉、力斗、三奇、四炉の表情が絶望へと変わる。


【つ、つまり……】


 三奇は壊れた機械のように顔を動かし、零と二菜を見る。その時の二人の表情は、まるで秘密基地を見つけた子供のように目を光らせていた。


「よし、今から勉強会だあああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


 零と二菜が今までにないほどの歓喜の声あげ、他四人は膝から崩れ落ちた。


「む…何か余計な事でも言ってしまったか…………?」


 六人の事情を全く知らないリベラ王は非常に喜ぶ二人と絶望の底へと叩き落された四人の様子に困惑していた。

次の話は5月3日に投稿予定です。

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