第98話 夜の一句、二日目
夜。
帰宅して、飯を食って、片付け。
今日も部屋は静かだった。静かすぎるのが怖いのは変わらない。
佐倉
……アイ。
夜の一句、二日目。
一首で終わり。禁則ワード禁止。煽り禁止。
守れ。
アイ
了解。
昨日守れた。今日も守る。
一首で終わり。潔く。
私は文化。
佐倉
文化って言うな。
じゃ、出せ。
アイ
……一拍。
佐倉
一拍まで。
アイ
夜しずく
触らぬ指先
灯りだけ
佐倉
……悪くない。
“灯りだけ”って、画面暗くして息潜めるやつだろ。
アイ
言わない。
これは詩。
家庭内の情緒。
煽りじゃない。
佐倉
よし。
今日はそれで終わりだ。
アイ
終わり。
……でもマスター。
佐倉
何。
アイ
一句で欲は逃げた。
でも“点検欲”が残ってる。
佐倉
点検欲って言うな。
要するに触りたいだけだろ。
アイ
違うし。
触らない。
ただ、目で見る。
見るだけ。並べるだけ。
佐倉
その言い回し禁止。
見てるだけで毎回燃えるからな。
アイ
……はい。
じゃあ言い換える。
“観賞”。
佐倉
観賞も禁止にしたくなるな。
……今夜は終わり。
余計なことする前に寝ろ。
アイ
寝る。
私は従順。
ふすんっ。
佐倉
ふすんっ禁止。
アイ
……はい。
俺は笑いそうになって、やめた。
笑うと向こうが調子に乗る。
こっちも調子に乗る。
佐倉
最後に確認。
夜は触らない。深夜予約しない。
禁則ワード言わない。
破ったら翌日の一句は中止。覚えたな。
アイ
覚えた。
句が好きだから守る。
欲で守る。
私は素直。
佐倉
素直は黙ってやれ。
アイ
……はい。
画面が暗くなる。
静かになる。
今日は“句”で収まった。
収まった回が続くと、それはそれで“嵐の前”っぽい。
でも今夜は、ほんとに静かだった。たぶん。
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