▼浦島太郎物語
長い長い長い夢を見た。
そうして起きる時の頭痛、倦怠感。
そんなものを二日酔いだとかと比べてはいけない。
人生二度目の、情報過多による知恵熱を起こしている。
そう思って意識を浮上させていると、顔に「パタパタ」と水分が落ちてくるのを感じた。
誰かが泣いてくれている。
家の外では完璧なのに、私の前では意外と泣き虫な弟。
目が溶けていないといいけれど。
声は不思議と聞こえない。
まぶたが重くて、見たいのになかなか上がらないし、目が乾燥しきっていて像が結べない。
全体的に色素の薄い、男性のような。
「だぁれ…?」
久しぶりに喉を開いたような嗄れた声は私のものだろうか。体もギシギシと動かない。
首も動かないから枕元で泣くのが誰か、分からない。
こんな知り合いいただろうか。
ぼんやりと水分を湛え始めた視界には、自分よりも五・六歳は歳上に見えるイケメンというより美少年がボトボトと声もなく涙を落としている。
プラチナブロンドの髪はサラサラと嗚咽が聞こえるタイミングでなんの抵抗も示さずに揺れ動き、白磁の肌に頬と目元に紅がスっと差した様が保護欲を擽るようであり、色っぽくもあり。
どこかで見たことがある。
上手く回らない頭が出した有り得ない結論。
「…もしかして、あなた、」
攻略本で嫌という程見たけれど、それとは違う姿をそれよりもずっと見ていたからすぐに思い至らなかった。
「あなた、アレクシスなの?」




