▼パレット
2人から漂うのは混乱。黒と緑とピンクとグレーをぐちゃぐちゃに混ぜたみたいな感情の爆発だった。
「アリシアちゃんは何を言っているの?」
「アリシア、それでは君があまりに、」
「問題ないわ。」
アレクシスが口を挟むが、無視し、ミッチェルの言葉を断ち切った。
もともと、魔法を使うのに供物が少なくて済む程度の恩恵しか与れなかった魔法のセンスだ。これから大魔法使いになるわけでもない。魔法が使えなくなるほど渡すつもりもない。なら使わない分の魔力全てを渡したって、なんの問題もない。
ただ黒い瞳が虚兵になるくらいだ。
「私とエイベル様は1歳違いですし、恐らく女性である私の方が長命。エイベル様が亡くなるまで魔力が持てば、この連鎖は断ち切られる。そうでしょう?」
「そうだが…!」
「ならば、答えなど1つでしょう。」
じりじりとまだ決断できない大精霊の手を取って、手のひらを合わせる。
この間会った時と同じ存在とは思えない大きな手。広い肩幅。高い背丈。なのに、感じる同じように人を思う気持ち。
「契約なさい、ミッチェル・ディオン。エイベル・ディオンの天命尽きるその時まで、私、アリシア・カーティの魔力を必要なだけお貸しします。見返りは、」
キュッと視線が絡まった。
「偶に午後の紅茶に付き合うこと。」
ピンクの波紋が部屋中に広がって、右手首に収束し、小さな紋様を刻んだ。
これでミッチェルとの契約は完了だ。
ふと、力が抜けてミッチェルに崩れ落ちた。目は開かなくて何も見えない。
アレクシスの声だけが聞こえた。




