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第九話 上杉謙信が俺の米を買いに来た
越後から使者が来た。
「米を買いたい」
俺は驚いた。
「越後からですか?」
「はい」
越後は米どころだ。
それなのに、米を買いたいという。
理由を聞くと、すぐに分かった。
「軍勢を動かすため、特定の場所に米を集めたいのです」
なるほど。
米があることと、必要な場所に米があることは違う。
俺は地図を広げた。
「どこまで運びますか?」
使者が場所を示した。
俺は計算した。
「……運べます」
使者は驚いた。
「本当ですか?」
「ただし、条件があります」
「何でしょう?」
「代金は期限どおりにお願いします」
使者は笑った。
「上杉家を疑うのですか?」
「いいえ」
俺は答えた。
「誰に対しても同じ条件です」
数日後。
上杉謙信から書状が届いた。
『商いに敵味方なしとは、まことか』
俺は返事を書いた。
『商売には信用が必要です。信用は敵味方で変えるものではありません』
その返事を読んだ謙信は、笑ったという。
そして。
「一度、会ってみたい」
またしても、大名からの招待状が届いた。
俺はため息をついた。
「……商人って、こんなに大名に呼ばれる仕事だったか?」




