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第五十八話 俺が死んでも商会が続くと知って、ようやく安心した
さらに数年が過ぎた。
俺は、すっかり年を取っていた。
昔のように、全国を歩き回ることはできない。
だが、天下商業連合は動き続けている。
俺がいなくても。
源兵衛がいなくても。
各地の商人たちが、自分たちで考え、商売を続けている。
ある日。
若い商人が訪ねてきた。
「佐倉様」
「はい」
「新しい交易路を作りました」
俺は驚いた。
「どこです?」
若い商人が地図を広げた。
俺が知らない道だった。
「……すごいですね」
若い商人は笑った。
「学校で学んだ方法を使いました」
俺は地図を見つめた。
俺が作った仕組みが、次の世代に受け継がれている。
しかも、俺の知らないところで、さらに発展している。
「……いいですね」
若い商人が尋ねた。
「何がです?」
俺は笑った。
「私がいなくても、商売が続いていることです」
若い商人は不思議そうな顔をした。
「当たり前では?」
俺は笑った。
「……そうですね」
その言葉が、何より嬉しかった。




