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第五十六話 天下を統一したのに、俺の店は赤字だった
ある朝。
俺は久しぶりに、自分の小さな店の帳簿を開いた。
そして、固まった。
「……赤字?」
源兵衛が笑った。
「はい」
「なぜです?」
「新太郎さんが、安く売りすぎるからです」
俺は帳簿を確認した。
米。
塩。
農具。
日用品。
近所の人々に安く売っていた。
しかも、困っている人には支払いを待っていた。
「……なるほど」
源兵衛が笑った。
「天下商業連合を作った人が、自分の店を赤字にするなんて」
俺は頭をかいた。
「……面目ない」
「どうします?」
俺は考えた。
そして答えた。
「値段を見直しましょう」
源兵衛が驚いた。
「……普通ですね」
「商売ですから」
俺は笑った。
「赤字では続きません」
その日。
俺は久しぶりに、店の値札を書き直した。
天下を動かした商人。
全国の物流をつないだ男。
大名たちと交渉した男。
その男が、今は小さな店の利益を計算している。
俺は思わず笑った。
「……結局、商売ってこういうことなんだよな」
大きな商売も、小さな商売も。
基本は同じだ。
仕入れて。
売って。
利益を残して。
また次の商品を仕入れる。
俺は帳簿を閉じた。
「……明日も頑張るか」




