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第五十話 天下統一の仕組みが完成したので、最後の仕事を始めた
天下商業連合は、全国規模の組織になっていた。
商人たちは、共通の帳簿を使う。
遠方との取引も、信用によって成り立つ。
物流網が整い、商品が動く。
金融が商売を支える。
学校では、新しい商人が育っている。
そして、交易協定によって、戦争を避けるための交渉の場も生まれた。
俺は帳簿を見つめた。
「……ここまで来たか」
源兵衛が尋ねた。
「新太郎さん、次は何をするんです?」
俺は少し考えた。
そして答えた。
「最後の仕事です」
「……最後?」
「はい」
俺は一冊の帳簿を取り出した。
そこには、天下商業連合のすべての仕組みがまとめられていた。
輸送。
倉庫。
金融。
信用。
教育。
仲裁。
監査。
組織運営。
俺はその帳簿を源兵衛に渡した。
「これを、各地域の代表に配ってください」
源兵衛が驚いた。
「……全部ですか?」
「はい」
「新太郎さんの商売の秘密ですよ?」
俺は笑った。
「秘密にしておく必要はありません」
「……なぜ?」
「誰でも使える仕組みにしたいからです」
源兵衛は帳簿を見つめた。
俺は続けた。
「私がいなくても、天下商業連合が続くように」
源兵衛は黙った。
そして、静かに頷いた。
「……分かりました」
こうして、俺は最後の仕事を始めた。
天下を、一人の商人の手から解放する仕事だ。




