第四十七話 商会が大きくなりすぎたので、俺がいなくても動くようにした
天下商業連合。
参加する商人は、数え切れないほど増えていた。
倉庫。
輸送。
金融。
教育。
商業仲裁。
さまざまな仕事がある。
だが、問題もあった。
「新太郎さん!」
「はい」
「堺の支店から相談です!」
「新太郎さん!」
「はい」
「甲斐の取引先が、支払期限の変更を求めています!」
「新太郎さん!」
「はい」
「越後の倉庫を増やしたいそうです!」
俺は頭を抱えた。
「……全部、俺に聞かないでください」
源兵衛が笑った。
「皆、新太郎さんを頼りにしているんですよ」
「それでは困ります」
俺は帳簿を閉じた。
「仕組みを変えましょう」
「どうするんです?」
「各地域に責任者を置きます」
俺は組織図を描いた。
地域ごとの商会。
各地域の代表。
共通の会計基準。
定期的な監査。
そして、重要な決定は合議で行う。
「……新太郎さんは?」
源兵衛が尋ねた。
「全体の方針を考えます」
「今までと同じでは?」
「いいえ」
俺は笑った。
「最終的には、私がいなくても動くようにします」
源兵衛は驚いた。
「……いなくなるんですか?」
「いつかは、そうなります」
俺は静かに言った。
「人間は、永遠には働けませんから」
その言葉に、源兵衛は黙った。
俺は続けた。
「一人の天才が全部決める組織より、普通の人が協力して動かせる組織の方が長続きします」
こうして、天下商業連合は、創業者一人に依存しない組織へ変わり始めた。




