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第三十八話 黒田商会が破産しそうなので、買収することにした

数か月後。

米の相場が下がり始めた。

一部地域で収穫が回復したこと。

輸送路が再開したこと。

そして、黒田が買い集めた米が市場に出始めたこと。

さまざまな要因が重なった。

黒田商会の資金繰りは悪化した。

「新太郎さん!」

源兵衛が言った。

「黒田商会が、倉庫代を払えなくなりそうです!」

俺は帳簿を見た。

「……そうですか」

「どうします?」

「契約どおり、支払いを求めます」

「払えなかったら?」

「交渉します」


数日後。

黒田宗一郎が俺の店に来た。

以前の余裕はなかった。

「……佐倉さん」

「はい」

「倉庫代の支払いを、少し待っていただけませんか?」

俺は頷いた。

「事情は分かりました」

黒田が驚いた。

「……待ってくれるんですか?」

「条件次第です」

俺は契約書を出した。

「黒田商会の物流部門を、こちらに譲ってください」

黒田の顔が変わった。

「……何?」

「倉庫と運送人の契約を引き継ぎます」

「それでは、商会の力が……」

「残った部門で、商売を続ければいいのです」

黒田は黙った。

俺は続けた。

「あなたの米の取引には、まだ価値があります」

「……何?」

「ただし、独占契約は見直してください」

黒田は長い間、考えていた。

そして「……負けました」

俺は首を振った。

「勝ち負けではありません」

「……また、それですか」

黒田は苦笑した。

「あなたは、本当に甘いですね」

俺は笑った。

「甘いかもしれません」

そして、続けた。

「でも、商売相手がいなくなったら、私も困りますから」

黒田は静かに頭を下げた。

こうして、黒田商会の物流部門は、天下商業連合に加わった。

だが、黒田自身は商売をやめなかった。

そして、彼の背後にいた大名の存在が明らかになった。

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