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第三十六話 黒田商会が全国の米を買い占めたので、米以外で儲けることにした

黒田の攻撃は続いた。

米の買い占め。

倉庫の買収。

運送人の引き抜き。

大口商人との独占契約。

源兵衛が報告した。

「新太郎さん、米の取引が減っています!」

俺は帳簿を見た。

確かに、減っている。

「……仕方ありませんね」

「仕方ない!?」

「はい」

俺は笑った。

「米だけが商売ではありません」

「……え?」

「塩があります」

「はい」

「鉄があります」

「はい」

「布も、木材も、農具もあります」

源兵衛は目を丸くした。

俺は続けた。

「黒田が米に資金を集中させているなら、こちらは他の商品を増やします」

「……なるほど」

「さらに、運送人には米以外の荷物を運んでもらいます」

俺は地図を広げた。

「黒田は米を押さえました」

「はい」

「ですが、街道そのものを押さえたわけではありません」

俺は笑った。

「物流網は、米だけのためにあるわけではないんです」

数週間後。

俺の商会では、米の売上が減った。

だが、塩と鉄と布の取引が増えた。

さらに、農具の需要も伸びていた。

一方。

黒田商会の倉庫には、大量の米が積み上がっていた。

黒田は帳簿を見つめた。

「……なぜだ?」

部下が答えた。

「佐倉商会が、米の取引を減らしています」

「何?」

「他の商品に力を入れているようです」

黒田は舌打ちした。

「……逃げたか」

だが、俺は逃げたわけではない。

米の独占を崩すための準備をしていた。

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