第二十五話 織田信長が天下布武を語ったので、俺は全国市場を提案した
岐阜城。
信長は地図を見ていた。
「新太郎」
「はい」
「わしは天下を取る」
俺は頷いた。
「存じております」
「武力で、この乱世を終わらせる」
「……なるほど」
信長が俺を見た。
「お前はどうする?」
俺は少し考えた。
そして、地図を広げた。
「私は、全国を一つの市場にします」
「……市場?」
「はい」
「天下を市場にするだと?」
「そうです」
俺は説明した。
全国の街道。
港。
倉庫。
商人。
金融。
物流。
それらをつなげる。
どの国でも、商品を売り買いできるようにする。
商人が安心して移動できるようにする。
支払いの仕組みを共通化する。
「……それで天下が取れるのか?」
信長が尋ねた。
俺は答えた。
「天下を取るというより、天下を一つにするのです」
信長は黙った。
俺は続けた。
「殿が武力で国を統一しても、商売が分断されたままでは、人々の暮らしは豊かになりません」
「……うむ」
「私は、どの国の人間も商売できる仕組みを作ります」
信長は長い間、地図を見つめていた。
そして。
「……面白い」
信長が笑った。
「わしは城を取る」
「はい」
「お前は市場を取る」
「はい」
「どちらが先に天下を統一するか、勝負だ」
俺は苦笑した。
「……勝負ですか?」
「そうだ!」
信長は大笑いした。
「天下を賭けた勝負だ!」
俺は頭を下げた。
「承知しました」
こうして、俺と信長の奇妙な競争が始まった。




