第二十四話 戦国大名たちに借金を返してもらおうとしたら、天下が動いた
商会の融資は、各地に広がっていた。
商人。
職人。
運送人。
そして、領主。
俺は、領主への融資には慎重だった。
戦争に使われれば、返済できなくなる危険がある。
だから、貸付の目的を限定した。
街道整備。
倉庫建設。
市場整備。
用水路。
生産設備。
それでも、問題は起きた。
ある領主が、返済期限を守らなかったのだ。
「金がない」
領主は平然と言った。
俺は帳簿を見た。
「ですが、期限は過ぎています」
「戦費がかさんだ」
「それは困ります」
「商人のくせに、わしに意見するのか?」
俺は黙った。
武力を持つ領主に、無理やり返済を迫ることはできない。
だが、何もしなければ信用制度が壊れる。
俺は考えた。
そして、静かに言った。
「分かりました」
領主が笑った。
「物分かりがよいではないか」
「ただし、今後の融資は停止します」
「……何?」
「返済計画が決まるまで、新しい資金はお貸しできません」
領主の顔色が変わった。
「待て!」
「申し訳ありません」
俺は続けた。
「他の商人にも、返済が遅れている事実は正確に伝えます」
「……それは困る!」
「なぜです?」
「金を借りられなくなる!」
俺は頷いた。
「信用とは、そういうものです」
領主は黙った。
数日後。
返済計画が提示された。
俺はそれを確認し、条件付きで取引を再開した。
この一件は、各地の領主に衝撃を与えた。
武力で商人を脅しても、信用を失えば金が集まらない。
その事実が、少しずつ広がり始めた。




