第二十三話 戦争をやめた大名が儲かり始めたので、周囲が焦り出した
ある小大名が、俺の提案を受け入れた。
軍事行動を一時的に控え、領内の整備を優先する。
街道を直す。
市場を広げる。
関所の通行料を見直す。
農具を普及させる。
倉庫を整備する。
最初の半年。
大きな変化はなかった。
だが、一年後。
商人の往来が増え始めた。
市場の取引量が増えた。
農民の収入も、少しずつ改善した。
そして、領主の財政にも余裕が生まれた。
「……本当に増えた」
領主は帳簿を見つめた。
俺は笑った。
「戦争をしなくても、国は強くなります」
「……なるほど」
その噂は、周辺の大名にも広がった。
「隣の領地は、最近豊かになっているらしい」
「戦争をしていないのに?」
「商人を集めているそうだ」
「……どういうことだ?」
大名たちは不思議がった。
そして、次々に俺の商会へ使者を送ってきた。
「我が領地にも市場を作ってほしい」
「街道を整備したい」
「財政を立て直したい」
俺は忙しくなった。
だが、ある日。
信長から呼び出された。
「新太郎」
「はい」
「お前、戦争をやめさせているそうだな」
「一部の領主には、そう提案しました」
信長は笑った。
「面白い」
そして、真顔になった。
「だが、戦わねば滅ぼされる国もある」
俺は頷いた。
「その通りです」
「では、どうする?」
俺は答えた。
「戦争をしなくても、攻められにくい国を作ります」
信長の目が鋭くなった。
「……どうやって?」
俺は地図を広げた。
「周囲の国が、その国と商売をして儲かるようにするのです」
信長は黙った。
俺は続けた。
「攻めれば、自分の商売も止まる。そんな関係を作ります」
信長はしばらく考えた。
そして笑った。
「……お前は、本当に変わった天下を作ろうとしておるな」




