第二十二話 大名の財政を調べたら、戦争より借金が怖かった
相模。
俺は大名の家臣から帳簿を見せられた。
収入。
年貢。
支出。
軍費。
借金。
俺は計算を始めた。
そして、思わず呟いた。
「……これは厳しいですね」
家臣が顔をしかめた。
「何がだ?」
「軍費が大きすぎます」
「戦国の世だ。仕方あるまい」
「ですが、借金が増えています」
「……それも仕方ない」
俺は首を振った。
「このままでは、戦争に勝っても財政が苦しくなります」
家臣は黙った。
俺は続けた。
「戦争で領地を増やしても、統治や防衛に費用がかかります」
「……うむ」
「しかも、戦争中は農民が田畑を離れます」
「……そうだ」
「商人も街道を避けます」
「……そうだな」
俺は帳簿を閉じた。
「つまり、戦争は勝っても高くつく場合があります」
家臣は考え込んだ。
「では、どうすればよい?」
「まず、収入を増やしましょう」
「年貢を上げるのか?」
「いいえ」
俺は笑った。
「商売を増やします」
市場。
街道。
倉庫。
農具。
物流。
金融。
それらを整えれば、領内の経済活動が増える。
そして、商売が増えれば、領主の収入源も広がる。
「……戦争をしなくても、国が豊かになるのか」
家臣が呟いた。
俺は頷いた。
「少なくとも、戦争以外の選択肢はあります」
その報告は、相模だけでなく周辺の領主にも広がった。
そして、俺の商会には、新しい依頼が増え始めた。
『国の財政を見てほしい』
『市場を整えてほしい』
『街道を改善してほしい』
俺は思った。
「……天下統一って、こういうことなのかもしれない」




