第十二話 鉄の値段を調べたら、戦国大名たちが困っている理由が分かった
俺は次の商売を考えていた。
鉄だ。
戦国時代。
鉄は重要な資源だった。
刀。
槍。
鎧。
鉄砲。
農具。
釘。
鍋。
さまざまなものに使われる。
俺は鍛冶屋を訪ねた。
「鉄はいくらですか?」
鍛冶屋の主人が答えた。
「高いぞ」
「なぜです?」
「材料がなかなか届かん」
「どこから仕入れていますか?」
主人は説明した。
鉄の産地。
商人。
輸送経路。
関所。
俺は帳簿に書き込んだ。
そして気づいた。
「……また物流か」
鉄そのものが足りない場合もある。
だが、それ以上に、必要な場所へ必要な量を届ける仕組みが弱い。
俺は商人たちを集めた。
「鉄の共同仕入れを始めます」
「鉄?」
「はい」
「武器を作るのか?」
「いいえ」
俺は笑った。
「まずは農具です」
商人たちが首を傾げた。
「農具?」
「鍬、鋤、鎌。これを安く作れるようにします」
「なぜ?」
「農業の生産性が上がれば、米が増えます」
「米が増えると?」
「商売が増えます」
俺は続けた。
「そして、米が増えれば、飢える人も減ります」
源兵衛が笑った。
「新太郎さんは、何でも商売につなげますね」
「商売は、暮らしとつながっていますから」
こうして、鉄の共同仕入れが始まった。
だが鉄の取引が増えたことを知った信長から、また呼び出しが来た。
「新太郎!」
「はい」
「鉄を大量に仕入れているそうだな!」
「はい」
「鉄砲を作るのか?」
「農具です」
信長は固まった。
「……農具?」
「はい」
「鉄があるなら、武器を作れ!」
俺は少し考えた。
そして答えた。
「殿。農具を増やせば、米が増えます」
「それがどうした」
「米が増えれば、兵糧も増えます」
信長が黙った。
「……なるほど」
俺は笑った。
「武器を増やす前に、国を豊かにしましょう」
信長は頭をかいた。
「お前と話していると、戦の話がいつの間にか商売になるな」
「商人ですので」
「……まったく、変な奴だ」




