表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いじめられっ子ダンジョン  作者: センチメンタルアスパラガス
ダンジョンマスターを守ろう
20/38

Battle Against True Heroes

評価、感想、ありがとうございます


まさか、自分の部屋に男の子を上げる時が来るとは思わなかった。


謝罪とかならば玄関で充分である。


だが、まさかのパーティ勧誘である。

しかも私を無視していた人たちから。

脈絡もなく。


どんなことを言い出すのか、私は興味を惹かれてしまったのだ。



○○○



「家にまで上げていただき、誠にかたじけない。一ノ宮氏」

「澤本くん。その喋り方は引かれるかもよ」


いかにもな喋り方は、澤本くんだ。


まぁ、いつもの調子で良いのだが。



「同じクラスとは言え、我々は喋ったこともない。お互いに相手のことを知らないのでは、物事はうまくいかない。なので、まずは自己紹介をさせて欲しい」


喋ったことがない、というより連絡事項があった時も無視していたじゃあないか。


まぁ、話は最後まで聞いてから返事をしよう。


「君も体験しているだろう、毎晩。裏世界(リバースサイドワールド)を」


「リバースサイドワールド......」

なんか恥ずかしい名前になってしまっている。


「あの世界は、我々の世界と結合(リンク)しており、向こうで受けたダメージが魂を通して、肉体へ移動する」


「リンク......」


「このまま攻略しなければ、いずれ精神が向こうの世界に引っ張られ、この世界での肉体を手放さなくてはいけなくなる。魂への負荷に耐えられなくなる前になんとかしなくてはいけないと考え、我々は、探索者同盟(ユニオン)を組んだのだ」


「ユニオン......」



いちいちカッコいい言い方をしないといけない呪いでもかかっているのか、とツッコミたくなる。


だが、それ以上に気になっていることがあり、気にしていられないのだ。


ネーミングセンス以外、全て真相を突いている、と。



「......その名も“虐げられし者同盟”!」



「ダサッ!」

ついにツッコんでしまった。

耐えられなかったのだ。



○○○



「いや、ごめんなさい。でも」


「一ノ宮氏のいうことも尤も。だけど、この同盟名には意図があるのですぞ」


「意図?」


「我々は、裏世界(リバースサイドワールド)に、創造主(マスター)がいると考えている」



「えっ?」



......何この人たち怖い。

普通に考えたら、ただの妄想なのだが、答えを知っている側からしたら、全てを当てに来ている。


恐怖以外の何者でもない。


ダンジョンマスターである私を、現実世界で倒しに来たのだろうか。



創造主(マスター)を倒すのは、虐げられた者の一刺し。何故ならば、この裏世界(リバースサイドワールド)は虐げられられた者たちの怨念で生み出せれたものである、と考えるからだ」


「......そう思った根拠を聞いて良いですか?」

コイツら怖い。

狂人の洞察力というか、SAN値が低い分高いクトゥルフ神話技能で最初から答えに辿りつけてしまったというレベルだ。


「簡単だ。我々、いじめられっ子が望んだことがある展開だからだ!」



○○○



「自己紹介といこう。僕は竹井 ムサシ。4年生の時に君と同じように斎藤の奴に目をつけられてね。わざとゴールキーパーにされて、シュートの練習とか言ってボールをぶつけられたりしたよ。1年間くらい続いたけど、クラス替えを契機にいじめられなくなったよ」

そう竹井くんは言う。


「そんな自己紹介ある?」

いじめられヒストリーを自己PRにするのは聞いたことがない。不幸自慢とも違うし。



「僕は秋 ハヤト。よろしく。あー、いじめられヒストリーだね。えーっと、去年だね。覗いてもいないプールの着替えを覗いたことにされて、女子から総スカンを受けるようになったよ。親も呼び出されてね。最悪だったよ。噂の出本は桜田だったね。クソだよ、あいつ。踊らされてる女どももクソだよ。あ、一ノ宮さんは違うクラスだったね。ごめんね。気にしないで」


桜田......桜田 カスミか。


5年生の時は違うクラスだったから、噂程度にしか知らなかったが、そんなことがあったのか。



「5年生の時に斎藤にいじめられていたのが拙者でござるよ、一ノ宮氏。澤本 リュウトというでござる」


「澤本くん、喋り方」と秋くんが嗜める。


「あっ、あー。ごめんでござ......なさい」


「いいよ、喋りやすいように喋れば」


「すまぬ!あー、一ノ宮氏の机に入っていた玩具は、拙者が去年斎藤たちに借りパクされた物でござる。迷惑をおかけした」


「そう......、返ってきたの?」


「いや、無念でござる」



沈黙が流れる。



「で、今年は一ノ宮さんがターゲットにされているからね」


「1人では攻略が難しいのではないか、と心配をしたのだ。攻略には情報が不可欠。エラー&コンティニューで情報を稼ぐしかないのであるが......。一ノ宮さんは1人ぼっち。しかし、我々と同じ境遇であるというシンパシーで魂の共鳴(シンクロ)が出来るのではないか、と考えたのだよ。どうも攻略への足並みを揃えようという共鳴(シンクロ)が、同志を同じ世界に導いてくれるようなのだ」


「我々はこれを“夢の共有”と名付けたのだが、一ノ宮氏も我々と同じ、虐げられた者。共に組もうではないか」


「今ならオタサーの姫だよ?」


「......それは嬉しくない」



怖いわ、この真理への近づき方。

アバドゥンが言っていた、乱世なら英雄、の意味が分かった。

コイツらのポテンシャルを、現代日本が活かしきれていないんだな。



1人ぼっちの寂しさを知ってるから、声をかけてくれた、か。



「その前に聞きたいことがある」



○○○



「3人はいじめられていたのに、なんで仕返ししなかったの?」


「......一ノ宮さんはキツいなぁ」

「答えは決まっているじゃあ無いですか」

「力がないから、ですぞ」

3人が困ったような笑顔で返事をする。



簡単だった。


今の私だって、アバドゥンの力があるから仕返しが出来ている。

彼らにはそれが無かった。


それだけだ。



「澤本くんは、私の机に玩具が入っていたのに、私を助けてくれなかったよね。なんで」

すごく意地悪な質問だ。

返答なんて予想がつくのに。



「もう2度と自分に矛先が向くのは、ごめんなのでござるよ。一ノ宮氏の辛さは分かるのでござるが。......ごめんでござる」

「我々もそうだ。嫌がらせや無視なんて、通過点なのだから。だから、一ノ宮さんがどれだけ傷ついたかは分かる。だが、我々にはこれ以上傷つく勇気はない。すまなかったね」

「ごめんね」


更に困ったような笑顔で返す。

泣きそうなのに、無理に作った笑顔だと分かるくらいだ。



「だが!我々は勇気を持って立ち上がることにしたのだ!いじめられた者どうし、せめて夢の中では胸を張っていたいのだ」

「桜田とかは別にどうなっても良いんだけど、一ノ宮さんは、ね」

「夢の中なら斎藤にも桜田にも馬鹿にされないのだ!」

さっきの笑顔と違う、本当の笑顔で吼える3人。



ああ。



この人たちは巻き込むんじゃなかったな。



力が無くても、何か出来ることがないか模索できる人たちだ。



少なくとも、私なんかよりもずっと勇気のある人たちなんだから。



謝罪を受け入れる?

傲慢だ。

私が謝らなくてはいけない人たちなんだから。



「ごめんなさい。あなたたちとは組めません。私はもう、クリアしてしまったから」



○○○



「まさか、一ノ宮氏がすでに攻略していたとは思わなかった。だが、流石我々が誘おうと思った女傑でござる」


「念など押さなくても、僕らが他の人たちに攻略法を教えられるわけないじゃないか。他に友達がいないんだから」


「一緒に攻略は出来なくても、仲間と言い、攻略法を授けてくれた。言わば心の友!今夜でクリアしてしまおうぞ!」



「重曹、チョーク、準備良いでござる!」

「邪神像の頭部、問題なーし!」

「では、行くぞ!3つの心を1つにするんだ!」



○○○



竹井 ムサシ


テナガアシナガサマへの対処法発見済

校舎からの脱出達成

火喰いグールへの対処法発見済

ダンジョンからの脱出法発見済

スルトへの対処法発見


いじめられっ子ダンジョンからの脱出成功



秋 ハヤト


テナガアシナガサマへの対処法発見済

校舎からの脱出達成

火喰いグールへの対処法発見済

ダンジョンからの脱出法発見済

スルトへの対処法発見


いじめられっ子ダンジョンからの脱出成功



澤本 リュウト


テナガアシナガサマへの対処法発見済

校舎からの脱出達成

火喰いグールへの対処法発見済

ダンジョンからの脱出法発見済

スルトへの対処法発見


いじめられっ子ダンジョンからの脱出成功

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ワロタ
[良い点] 寧ろ謝るのはこっちの方か。 改めて、これは復讐の話ではないんだな。 [気になる点] この話のジャンルはハイファンタジーなんだ。 [一言] 庇おうとするとどうなるか、か。 この「感覚」は当事…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ