Strange Solicitation
評価、感想、ありがとうございます
私が家からいなくなった後も特に話は進まなかったらしい。
進むはずがない。
彼らは解決したいのではなく、臭いものに蓋をしたいだけなのだから。
おそらく「めんどくさいなぁ」と謝罪をしながら舌を出していたことだろう。
父が担任にキレ、ただただ罵倒と謝罪で終わった話し合いだったそうだ。
玄関の外に塩が振られていた。
○○○
「もしメイが望むのなら、転校しても大丈夫だからな。あんな学校になんか行かなくても良い。小学校なんて義務教育だからな。代わりに塾に行くのでも大丈夫な時代だ。父さん、それくらいは稼いでるから心配ないぞ」
夕食の時に父が私に提案してきた。
「大丈夫よ。悪いことをしていない私の手間が増えなくちゃいけないのかが、わからないわ。なんなら私以外が全員転校すべきだし、全員が卒業式が終わるまで自宅謹慎するべきなのだわ」
と私が言い放つ。
「無理しなくてもいいのよ?」
「無理してないわ。それに、夏休み明けに何人が登校出来るかも気になるところよ」
本当に無理していない。
「父さん、そこが気になってたんだがな、メイ。話し合い中に言ってた『手を打った』って何なんだ?」
父が食事の手を止めて私に問う。
アバドゥンのことを言っても、当事者以外は絶対に信じない。
それに、言ったら言ったで頭の病院に連れていかれるかもしれない。
まぁ、この質問は想定内だ。
「今日の話し合いは携帯のボイスメモに録音してるわ。1学期にされたことの一覧表もあるし、ゴミで捨てられた反省文の原本もある。それにクラス名簿も、学校の紹介も住所付きであるわ。物的証拠がこれだけ揃えば、マスコミやネットを介して、こういうが好きな人権保護団体が飛びついて来て、勝手に相手を滅ぼしてくれるってもんよ。“毒をもって毒を制す”って言う奴ね」
作ったドヤ顔で言い放つ。
我ながら中々の演技である。
「そういうことか」
父と母が私をみて、そう言う。
「ただ、それは記録に残るからな。よくよく考えてメイの好きにしなさい」
そう、記録に残る。
これはネックだ。
だが、これはあくまで建前。
根本的解決法は秘密だ。
「はーい」
そう言って食事を再開した。
○○○
「おお!我が輩のことを友人に紹介してくれたのか、お嬢さん」
アバドゥンにアイナちゃんと小林くんのなことを伝える。
「言わない方が良かった?」
「いや。是非に伝えてくれて構わない。我が輩、信用でも信仰でも畏怖でも、どんな取られ方をされても構わないのでな」
そう言いながら笑うアバドゥン。
「信仰?アバドゥンって神様とかなの?」
私の質問にアバドゥンが笑いを止め、キョトンとした顔になる。
「そういう類いのものではないが、うーん。うむ、人間には説明が難しいな、我々の定義は」
「我々?」
やはりアバドゥンはよく分からない。
「そのうち、タータロウスやケケトの奴も紹介してやろう。それこそケケトの奴は、神様として人身掌握のなんたるかを突き詰めた奴であったしな」
まぁ、友達がいるのいうのは良いことだ。
「アバドゥン、本題よ。みんなの攻略進捗ってどう?」
○○○
「言うて大半は進んでいない。グールたちの火炎吐息の餌食になっておる。が、1パーティが今挑んでおるのだが、其奴らが良い線を行きそうなのだ」
「へー」
「ほれ、アシナガサマを撤退させた後、安全を確認して教室内の再探索をする、というところに至っておる。じきにお嬢さんの机を見ることになるじゃろう」
「あー、オタクくんたちかー。ゲーム好きって聞いてたし、いつかは攻略出来る人たちだったんだろうねー」
「最初こそ恐怖に慄いておったが、今では完全に攻略を楽しむ様になっておる。何なんじゃろうな、コイツら」
「面白い人たちだね。あっ、見つけた」
オタクくんこと、竹井くんが机から邪神像の首を見つけ出した。
その後、他の2人、秋くんと澤本くんとで話し合いが行われ、教室を出て行った。
作戦会議の仕方もなんだか芝居じみていて、見ていて面白かった。
「楽しそうだね、本当」
「此奴ら、生まれてくる時代を間違えておる気がするの。乱世で生まれておれば、面白い道を辿れたであろうに」
その後、餓鬼さんたちを抜けれたものの、テナガサマのお堂で敢えなくリタイアとなった。
○○○
朝、ラジオ体操のため公園に着いた。
私よりも先にアイナちゃんと小林くんが来ていた。
2人で何やら話している。
もしかして、これはカッポーが出来る前兆なのではないだろうか。
アイナちゃん取られるのはなー。
私がスルトなら、嫉妬でメラメラ燃えて熱量が増してしまいますぞ。
まぁ、そんなことが出来るわけでもなく、普通に合流して体操をした。
「本当に夢を見なくなったよ、一ノ宮さん」
体操が終わった後、小林くんが私に話しかけてきた。
「そりゃあ、解呪の呪文を使ったから、迷宮からは抜けれるよ」
私がなんの気無しに答える。
「それ、魔法の類いだからね、一ノ宮さん。現実が侵食されているのを自覚してよ?」
「メイちゃん、だんだんアッチ側になって来てるからね?心配だよ」
oh...。
体操参加のハンコをもらった後、アイナちゃんと小林くんと別れ、帰路についた。
曲がり角を曲がり、後40mというところで家の前に誰かがいることに気づいた。
よく見ると、竹井くん、秋くん、澤本くんのパーティだった。
私が黙ってみていると、視線を感じたのか、私と目があった。
「あっ、一ノ宮さんだ」
澤本くんが声を出す。
だが、その後は「どうする?」「いや、まだ心の準備が」「女の子に話すのは慣れていないぞ、竹井氏が行くべき」と会話をしている。
なんなのだろうか。
意を決したのか、3人が私の方に歩いてきた。
わざわざこのタイミングで嫌がらせに来たりはしないだろうし。
謝罪?
彼らからは無視以外には特に何もされていないし、解呪は全然受け入れる。
私が構えていると、秋くんが私に声をかけた。
「......一ノ宮さん。僕らとパーティを組みませんか」




