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いじめられっ子ダンジョン  作者: センチメンタルアスパラガス
冒険者ギルドを破壊しよう
13/38

更にバラバラになりゆく者たち


『お地蔵さんの祟り?』


『えっ、首が無いの?マンマじゃん』


『首はあったけど、折られてた。くっついてはない。置かれてるだけ』


『じゃあ、折られた祟り?』


『1学期、ブス子がお地蔵さんの首持ってるの見たぞ』


『ブス子のせい?』


『アイツ、死んだ方がいいな』


『でもブス子が持ってたなら、首無いまんまじゃね?』


『ブス子が返した?』


『ブス子はお地蔵さんの首にびびってただけじゃね?折った奴は別の奴?』


『じゃあ、そいつのせい?誰だよ』


『書き込み遡ったら6月のブス子への嫌がらせ報告に、地蔵で涙目になるブス子って報告あったぞ』


『誰だよ、罰当たりなことした奴』


『そいつのせいじゃん、死ねよ』


『斎藤、知らねえの?お前、“ブス子ハントポイント”とかつけてたじゃん』


『斎藤、書けよ』


『斎藤なの?お前のせいじゃん』



『俺じゃねーし、野村だし』



○○○



「お前、マジないわ。お前が乗せたんだろうがよ!」


「俺、関係ないし!やったのお前じゃん」


サッカークラブの部室で殴り合いの喧嘩が始まった。

斎藤くんと野村くんが取っ組み合いになっているのを、僕や監督が引き剥がす。



「お前が書き込んだから、無言電話とかめっちゃ来るんだぞ!」


「お前が、“俺と話し合ってやった”とか嘘書いたから電話来てんだよ!何嘘書いてんだよ、クソが!」


「嘘じゃねーだろ!おい、離せよ、小林!」



捕まえているが、めちゃくちゃ動く。少しでも力を抜くと、斎藤くんに殴りかかりかねない状況だ。

僕も殴られそうになる。


監督がどうなっているのか、聞いて来たが、2人は罵詈雑言を言い合うだけで、何も状況は進まない。


結局、斎藤くんと野村くんの親に来てもらい、大人しくなった後、話し合うことになった。



毎日見る悪夢の話。


悪夢の原因がお地蔵さんにいたずらをしたことかも知れない話。



何でそんなことをしたのか、と聞かれるが言い淀む2人。

だが、もう隠せないだろう、と思い、僕は、1学期の間の一ノ宮さんに行った嫌がらせのことを話した。



○○○



「アンタは何を考えてんの!」

斎藤くんのお母さんが斎藤くんにビンタをする。


野村くんはお父さんに殴られていた。


「ちょっとふざけただけで」と斎藤くんが言うと、またビンタされていた。


監督も止めたりはしない。


「小林だって、一ノ宮のこと無視したりしてたし!何で俺らだけ!」というと野村くんもお父さんにビンタをされていた。


泣き喚きながら何かを言っている。


僕も親から「アンタは何したの!」と言われ、「1回話かけられたけど、みんなに合わせて無視した。それからは話かけられたりはない」と答えたら叩かれた。



監督から「学校でのことのようですので、学校の先生とも話し合われた方が良いと思われますな」と言われ、一旦話し合いは終わった。



帰り際、監督から「チームプレイが1番大事なサッカーに、君たちみたいな選手は要らない」と言われ、僕らはクラブから除名された。


斎藤くんは何か言っていたが、親に車に連れ込まれていた。


監督が連絡をとってくれ、僕ら3家族で学校へ行くことになり、担任の先生と僕らと家族とで、会議室で話し合いとなった。



○○○



「必要に応じて、校長先生も呼ぶことにします。まずはどれくらいの事態なのかを把握させてください」

と先生が言った。


校長先生や教育委員会など大事になりそうな単語が先生の口から出る。


「一ノ宮さんの家には連絡は?」と斎藤くんのお父さんが言う。


「私もそのような事態になっていたとは、知りませんでした。不徳とするところです。そこに関し謝罪申し上げます。ただ、まずはどういったことがあったのかを把握させて下さい」



ん?



知らなかった?



知らないはずはないだろ、一ノ宮さんが何回も相談しているのを僕は見た。



もしかしてなのだが、コイツは“学校側の確認不足でした”で逃げるつもりなのではないだろうか?もしくは、生徒間のいざこざで片付けるつもりなんじゃないか?


そんな考えでいっぱいになった。



○○○



「裏サイトの書き込みなどもコピーさせていただきます。クラス全員で一ノ宮さんをいじめていた、という感じですね」

先生はそう言いながらパソコンで、掲示板のスクリーンショットを撮り、プリントアウトしていく。


「学校の内部での話は、だいたい把握出来ました。しかし、仏像に対する器物破損に関しては学校内での管轄ではありません。市役所への問い合わせが必要です。立派な犯罪ですので、校長、警察の方にも報告が必要ですね」


「警察!?」と野村くんが声を上げる。


「大事なんだぞ!」と野村くんのお父さんが声を荒げる。野村くんのお母さんは泣いていた。


「そちらからまず動きましょう。少し失礼します。校長へ連絡を致しますので」



そう言って、先生は会議室から出ていった。



少し変だな、と思ったのは、お地蔵さんの首の話と夢の話をし始め、先生が裏サイトの書き込みを確認してからだ。



それまで、大事にしないようにしようとしていた流れだったのだが、急に野村くんに対して、厳しい感じになった。


懲罰的になったのだ。



それに、いじめの話よりも、器物破損に話のウェイトが置かれるようになった感じもした。



夏なのに、長袖の先生を見て、僕はふと考えた。


先生も僕らのように皮膚炎や足の怪我、口内炎があるのではないか、と。

悪夢の原因かも知れない一ノ宮さんのことを後回しにして、根源かもしれない野村くんにストレスをぶつけているのではないか、と。

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