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「たっだいま~、銀華ちゃん。緋色きゅんとのデート、楽しかったよ。い~っぱい奢ってもらっちゃったしね。それからぁ、人気の無い所を二人で歩いた時なんて、うふふふ……。も~、ちょードキドキっしょ!ちょっと襲われかけちゃったしね」
「ちょっと金華さん!人気の無い所って、あれは金華さんが……。そ、それに、襲われかけたって言っても……」
俺は慌てて、金華さんの含みを込めた言葉を訂正しようとする。しかし、あれをどう説明するべきか言葉に詰まる。襲われたのは妖怪にで、まさか金華猫と陰陽師が協力して、それを退治していましたとも言えない。
「や、やあ。お帰り……」
だが、わざとらしく煽るような金華さんの言葉も、今の銀華さんの耳には届いていないようだった。なぜなら、目の前の銀華さんは、汗と埃にまみれ、息も絶え絶えという状態である。
おそらくは、今までにないくらいに必死で、部屋の片付けと掃除をしたのであろう。
「あれ~、どしたの銀華ちゃん?そんなにボロボロになって。そんなにお部屋の掃除が大変だったの?」
「ちっ、違うよ!部屋の掃除はすぐに終わったさ。なんたって、僕の部屋はいつも綺麗だからね。依頼……、そう!母様達が出かけたすぐ後に、急な依頼を受けたんだ。迷子の猫を探して欲しいってね。たった今それを解決してきたところさ!」
「ふ~ん、そうなんだ。それで、どんな猫だったの?」
「えっ!?えーっとね……、ヨッ、ヨークシャーテリア……?」
「ふ~ん、そんな種類の猫いたっけ?」
いや、それって犬ですよね?そんなツッコミを入れたかったが、銀華さんの名誉のために我慢する。
しかし金華さんも、銀華さんの明らかな嘘をわかっていながら楽しんでいるようだ。助け舟を出すべきかとも思ったが、久しぶりの再開に銀華さんもどことなく楽しそうだし、赤の他人が口を出すのも野暮だろう。
「そうだ、夕飯も作らなきゃいけませんし、その間にお二人で風呂にでも入ってきたらどうですか?金華さんも歩き回って疲れたでしょうし」
「おっ、いいこと言うね~。うん、じゃあ一緒に入ろっか。お風呂でゆっくり銀華ちゃんの武勇伝を聞かせてもらおっかな~」
「こ、子供じゃないんだから、一緒にお風呂なんて……。ま、まあいいけど……」
言葉とは裏腹に、この提案に銀華さんもまんざらではないようだ。さて、俺はその間に夕飯の用意をしようと、キッチンに向かいかけた時だった。
「せっかくだし、緋色きゅんも一緒に入ろっか」
「はい!?」
言うが早いか、金華さんはしがみつくように俺の腕を取ると、お風呂場へと引っ張っていこうとする。
「ちょ、ちょっと待ってください」
そして俺の腕に、えもいわれぬ柔らかで暖かい感触が伝わってくる。
いや、だからどことはいいませんが、ヤバイものが当たってますって!
「かかか、かーさま!何考えてんのさ。ダメに決まってるだろ!それに、ヒッ、ヒロ君から離れなよ!」
「でも、二人とも同棲してるんだし、お風呂くらい一緒に入ればいいっしょ?それに、一緒なら銀華ちゃんの好きな節約にもなるし。一石二鳥じゃね?」
「「同棲じゃなくて同居!!」」
思わず叫んでしまったが、意図せず銀華さんとハモる形となってしまった。
「な~んだ、つまんないの。まあいいや。じゃあ緋色きゅん、気が向いたらいつでも入ってきていいからね。」
「いっ、いいわけないだろ!」
そして銀華さんは俺をジト目で睨む。その目付きはやはり、喫茶店で見た金華さんにそっくりで、俺は少しばかり笑ってしまう。
「な、なんで笑ってるんだい!?ま、まさか入ってくる気じゃないだろうね。ヒロ君はそんなことはしないと思ってたのに……。エ、エッチなのは……、ダメなんだからね!」
「そんなことするわけないでしょ!」
「ふー、やれやれ」
ようやく二人が風呂場へ向かい、騒がしい時間が過ぎ去った後、俺は夕飯を作っていた。せっかくだし、今日のメニューは銀華さんの好きなハンバーグだ。
金華さんの好みかはわからないが、あの食べっぷりを見る限りでは、好き嫌いはないだろう。必要な材料は帰り際に商店街で買っておいたし、その際には金華さんのことも紹介して、俺への誤解もきっちりと解いておいた。
はずだったのだが……。
「お、おい。緋色君、銀華ちゃんのお母さんにまで手を……」
「そりゃああんな若いお母さんなら、間違いがあってもおかしくはないけど……」
「なんだって!緋色君が人妻に手を……!しかも、銀華ちゃんのお母さん!?」
「ど、どうすんだい。何か事件にでも発展したら……。やだよあたしゃ、銀華ちゃんがお母さんを刺して……、なんて見たくないからね」
去り際に背中から聞こえてくる声は、俺への評判が悪化するという、さらなる悲劇が起こっていることを示していた……。
「ふぅ~、気持ちよかった。緋色きゅんも入ってこればよかったのに」
「かっ、母様!ひっ、ヒロ君はそんなことする人じゃないから!」
ちょうど夕飯が出来上がる頃、濡れた髪にタオルを巻いた銀華さん達が戻ってきた。
「へぇ~、信頼してるんだね。それになぁに?お風呂じゃ『ママ』って呼んで甘えてたのに、緋色きゅんの前じゃ大人ぶっちゃって」
「なっ……!あ、あれはマ……、母様が呼んで欲しそうだから仕方なく……。今回だけだよ!それに……」
しかし、銀華さんの言葉は最後まで続くことはなかった。言葉を止めた後に鼻をヒクヒクとさせると、嬉しそうに叫んだ。
「この匂い……、もしかして、ハンバーグ!?」
「そうですよ。あとは仕上げのチーズを溶かせば完成ですから、早く髪を乾かしてきてください。風邪ひきますよ」
「わかった!速攻で乾かしてくるよ。ほら、母様早く!」
銀華さんは、大慌てで金華さんの手を引いていく。
「すぐに済ませるからね!戻ったらすぐに食べられるようにしておいてよ!」
「はいはい、すぐに準備ができますから、暖かいうちに食べましょう」
「うん、ヒロ君の料理は、やっはりおひひいね」
「むむ、ほれはなはなはのもんっひょ」
「二人とも、ハンバーグは逃げませんから、落ち着いて食べてください」
あれからあっという間に髪を乾かしてきた銀華さん達は、一心不乱にハンバーグを味わっている。はたして量が足りるか心配していた金華さんも、飲み込むようにではなく、味わって食べているようだ。
言っていたとおり、自制を持った食べ方も出来るのだろう。
だが、やはり食べるスピードは早いようで、銀華さんの皿の上にはまだ半分以上料理が残っているうちに、自分の分を食べ終わってしまった。
そしてしばらくはお茶など飲んでいたのだが、ふと銀華さんに声をかけた。
「あれ、銀華ちゃん?周りのお野菜が減ってないんだけど……。もしかして、お野菜残す気じゃないでしょうね?」
金華さんのその言葉に、銀華さんの箸の動きがピタリと止まる。
「そそ、そんなことあるわけないだろ!これは最後に味わって食べようと、取っておいたのさ」
「ごめ~ん。そうだよね。その歳でお野菜が嫌いなんて、子供みたいなことあるわけないよね~」
「そうだよ!もー、やだなー母様ったら。あれ?でも、なんだかお腹がいっぱいになってきちゃったな。これ以上は食べられないかも……」
大人なはずの銀華さんは、子供のような言い訳をしたのだった……。
「でも、好き嫌いなく食べないと、ママみたいにナイスバディになって、緋色っちを誘惑できないぞ」
そう言うと金華さんは、大きく開いた胸元をグイッと寄せると、谷間を見せ付けてきたのだった。
もともと、銀華さんのパジャマではサイズ的に(主に胸の部分が)キツくて苦しいため、俺のシャツを貸していたのだが、やはり男物は大きすぎるようで、胸の部分がダブダブで大きく開いていたのだ。
「ちょっと、何やってんのさママ!僕は別にゆっ、誘惑なんか……。それにヒロ君も、エッチな目でマ……、母様を見ないでよ!」
「いや、今のは金華さんが……。それに、そんな目で見てませんから!」
そんなやり取りを、金華さんは面白そうに見ている。
「でも、満腹じゃあしょうがないね。残りのハンバーグはママが食べてあげよう」「えっ!?」
その瞬間、再び銀華さんが固まった。
「い、いや~。よく考えたら、昼間の猫探しでお腹が空いてたんだった。大丈夫!ちゃんと食べられるから」
銀華さんは、大好物のハンバーグのために、苦手な野菜を食べることを選んだようだった。しかし、意地でも猫探しの件はあったことにするつもりらしい。
「うっ……、うぐ……。」
銀華さんは百面相をしながらも、何とかニンジンやピーマンを飲み込んでいく。頼むからリバースだけは勘弁して欲しい。
そんな賑やかな団らんを過ごしながら、夜は更けて行ったのだった。
「えっ!?もう帰るんですか?せっかくですので、もう少しゆっくりしていかれたらいいのに」
翌朝、朝食後に金華さんから発せられたのは、今から帰るという意外な言葉だった。
「そうしたいのはやまやまだけど、何かと忙しい身だしね。それともな~に?もしかして緋色きゅん、あーしと離れるのが寂しくなっちゃったとか?ふふん。やっぱりあーしは罪な女だね~」
「マッ……、母様!ヒロ君はそんな誰かれ構わず手を出すような、エッチな人じゃないからね!」
「あれ~?昨日は緋色きゅんをエッチ呼ばわりしてたのに?じゃあ、銀華ちゃんなら手を出してもいいのかにゃ?」
「なななっ……、何言ってんのさ!ぼぼぼ、ぼきゅはしょんなこと……」
金華さんの心境はわからないが、周りに力が影響するまでには、まだまだ猶予はあるはずだ。もう少し娘といてもいいのではないか。
何か事情があるのかと、銀華さんのいない時にそれとなく尋ねてみるが、
「なに、こういうのはタイミングじゃ」
金華さんは、あっけらかんと言い放ったのだった。
「じゃ~ね。銀華ちゃん」
「うん。また遊びにおいでよ。僕の武勇伝をたっぷり聞かせてあげるから。じゃあヒロ君、母様の見送りをよろしくね」
朝食後の別れは、ずいぶんとあっさりしたものだった。
毎度のことで慣れているのか、銀華さんは右手どころか尻尾まで振って、元気に金華さんを見送っていた。
そしてそんな銀華さんを背に、俺と金華さんは駅へと向かって歩いていた。
だが、別れ際に俺の視線は、銀華さんのある一点へと釘付けになっていたのだった……。
「やれやれ、親の心子知らずとは、人間はうまいことを言うもんじゃのう。まさに今実感しておるわ。別れにもあっけらかんとしおって。昔からあの子は、何でも一人でやりたがる。親としては頼もしい反面、寂しい気持ちもあるの」
金華さんはやはり気にしていたのだろう。駅へと向かいながら、そんな言葉を口にする。
だが、俺はどうしても気になっていた。
「本当にそうでしょうか。金華さんは、娘さんのことは何でもお見通しだと思っていました。でも、本当に大事なことは、意外に見えないものなんじゃないでしょうか」
「なんじゃと?どういうことじゃ」
差し出がましいかもしれないと思ったが、気付けば俺の口からは自然と言葉がこぼれていた。このまま、誤解したまま別れてしまうのがいいとは、どうしても思えなかったからだ。
「すみません、唐突に。確かにあれは、いつもの銀華さんのように、元気一杯の態度に見えました。でも、俺から見たら元気すぎるんです。まるで、無理をして明るく振舞っているような……」
「……」
「銀華さんは子供の頃から、金華さんと一緒に暮らせない理由がその体質と、怪に狙われるせいだと聞かされていたんですよね?」
「ああ、そうじゃ」
「これは、あくまで俺の想像なんですが……」
俺は一呼吸置くと、金華さんへと話し始めた。それは先ほどの銀華さんを見て、確信に変わったこと……。
「銀華さんの自立したい理由……。それって、自分のためじゃなく、お母さんのためじゃないんでしょうか」
「…………。続けよ……」
「初めは俺も、銀華さんの自立心の強さは、自分で好き勝手に生活したいからだと思っていました。ご存知だとは思いますが、銀華さんの部屋は普段は目も当てられないような散らかりようです。そんな、誰にも怒られない自由な生活を楽しみたいためなのかと……。でも、金華さんの話を聞いて思ったんです。幼い頃から周りから狙われ続け、娘とも一定時間以上を一緒に過ごせない母親を見てきた彼女は、誰よりも早く大人に、それも、強い存在になろうとしたんじゃないでしょうか。お母さんに心配をさせないために」
「…………。なぜ、そう思う」
金華さんの問いに、俺は先ほど見た光景を思い出す。
「あの左手です」
「左手?」
「はい、右手に加えて尻尾まで嬉しそうに振っているのに、左手は硬く握り締められたままでした。不自然に、まるで何かをじっと我慢している子供のように……。本当は、お母さんに『帰らないで。もう少し一緒にいて』って言いたかったんじゃないでしょうか」
「…………。ふん……、くだらぬ」
「え……?」
だが、金華さんから発せられたのは、意外な言葉だった。
「儂等の世界の常識を、人間と同列に見るでないわ。そんなお涙頂戴の物語など、儂等にはありえぬ」
価値観の違う怪にとって、俺の言葉は余計なお世話だったのだろうか。だが、
金華さんは不意に俺に背を向けて言った。
「だが……、あの子は生まれてからほとんどの時間を、人の世界で過ごしてきた。儂とは違ってな。じゃから、感情はほとんど人に近しいのかもしれぬ……」
背中越しに聞こえる金華さんの声は、鼻声となっていた。背を向けているため表情を伺うことはできないが、おそらくは……。
しかし、こういう変に意地っ張りな所は、まさに銀華さんにそっくりである。いや、銀華さんが金華さんに似たのか……。
「ふん!そこまで銀華のことを見ておるとは。あの子は我が娘ながら、男を見る目はなかなかのようじゃの。まあいい。しばらくは銀華のそばにいることを許してやろう。ボディーガードとしても使えるようじゃしの」
「あ、ありがとうございます」
つまり俺は、母親公認で居候を許されたわけである。これは素直に喜ぶべきであろう。
「じゃがな……」
不意に金華さんは、今までの強気な態度が嘘のように。愁いを帯びた表情になった。
「儂は金華猫で、あの子は猫又じゃ。怪としては別種とはいえ、あの子は儂の血を色濃く引いておる。それがどういう意味か、ヌシも気付いておろう?」
「……。はい」
「すでにわかっておるようじゃな。それはつまり、儂の能力があの子に遺伝しておるかも知れぬことを意味しておる。それがいつかは知れぬが、この力が表立って現れることがあれば、あの子も儂と同じ苦労を味わうことになる。そうなれば、人の世で育ったあの子では、人間のそばにおれなくなるのは耐えられぬであろう。そして、そうなったらいくらヌシとて、あの子と共にはおれぬのだぞ」
そう言い放つ金華さんの口調は、娘を気遣う母親のものだった……。
「俺は、陰陽師であることが嫌でした」
「なに?」
唐突に俺が何を言い出したのか、金華さんはいぶかしんでいるようだった。
「幼い頃から修行を重ね、学校にもろくに行かなかった俺には、気付けば周りに現れる怪達が友達でした」
だが、金華さんは何かを察したのか、黙って聞いてくれている。
「でも、いくら友達とはいえ、彼等が人間に害成した時は始末せねばなりませんでした。本来なら御門の教えは、怪は見つけしだい殲滅せよとのことです。でも、実際はそこまでのことはめったにありませんでした。そしてそれは、うろ覚えですけど、俺の母さんの存在が大きかったのかもしれません」
「ヌシの母の存在……、とは?」
「幼かったためにはっきりとは覚えていませんが、母さんは人と怪は共に生きられると信じていたし、実際に行動で示していたと思います」
「その母親は、今はどうしておるのじゃ?」
「…………。亡くなりました。怪に……」
「そうか……」
金華さんは、それ以上語らずとも察してくれたようだ。
「でも、俺は怪達を恨んでいるわけではありません。確かに今回の白骨婦人のように、己の欲望を満たすためだけに存在するモノはいます。でも、俺は母さんの信じたことは間違っていないと思うし、それは銀華さん達に出会えたことが証明してくれています。それに、金華さんに出会ったことで、今まで嫌っていた俺の力でも、役に立てるかもしれないことを見つけました」
「儂の役に……、じゃと?」
「俺の力ではまだまだ不可能ですが、いつか金華さん……、そしてもしも銀華さんの力が発現してしまった時に、その力をを封じる符を作りたいんです。もちろん、その無意識に発祥してしまう能力だけを封じるものです。もっとも、金華さんが陰陽師……、いえ、俺のことを信じて使ってくれることが前提ですが。そうすれば、銀華さんと一緒に人の世で暮らすことが出来るはずです。あ、でも怪達に狙われるのは、もう少し考えないと解決策が思い浮かびませんが……」
「ふん……!おせっかいな奴じゃ。しかも詰めが甘いわ」
俺の案にさしたる期待も持たなかったのか、金華さんは真っ直ぐに駅へと向かい歩みを進めて行った。
「じゃあ、俺はここで」
「うむ。しばらくは銀華のことは任せるぞ」
俺は駅のホームで、電車に乗り込む金華さんを見送っていた。金華さんの両腕には、駅で買った大量の弁当がぶら下がっている。
電車に乗り込んだ金華さんは、不意に振り向くと、
「それと、おせっかいじゃが悪くはない。ヌシには少しばかり期待しておるぞ」
「えっ?」
そして、優しい笑顔で微笑んだのだった。それはなぜか、忘れてしまったはずの母親の顔を思い起こさせるものだった。
「それと銀華を任せると言ったが、子を産ませるのは少々早いからな」
「なっ!そ、そんなことするわけないでしょ!そもそも、俺と銀華さんはそんなんじゃないって……」
「くくく。一寸先の男女のことなどわからぬものよ」
金華さんの笑顔は一転して、悪戯っぽいものに変わっていた。
その時、出発を告げるベルが鳴り響く。
「では行く。世話になったな、ヒロ君」
「はい。お気をつけて」
ドアが閉まり、電車が速度を上げていく。そして窓越しの金華さんの姿も小さくなって行き、やがて電車も見えなくなった。
「えっ!?今……」
その時になって、俺は自分が『ヒロ君』と呼ばれたことに気付いたのだった。そう、銀華さんが俺を呼ぶ時と、同じ呼ばれ方をしたことに。
「そういえば、クーコのお母さんはどんな人……、狐だったんだ?」
俺は胸元のクーコに語りかける。
「はて、遠い昔すぎて覚えておりません」
「そうか……」
いつか、猫の親子が仲良く暮らせる日がくるのだろうか。いや、それはただ待てばいいのではない。きっとそれは、俺の努力しだいだ。
「さて、帰るか。昼飯も用意しないといけないしな」
俺達は『我が家』へと向かい歩いて行く。次に合うときは、金華さんはどんな姿でやってくるのか、期待と不安に胸を膨らませながら。
~ 『ゴッドマザー!? 母 襲来!!』編 完 ~




